R-18…紲星ェ…

 前もって断りを書かせていただく。私、紲星あかりの本日の日記であるが、寝起き一時間もしてない私が書く。内容は今朝見た夢である。読む者(特に私だ。紲星あかり、お前だよ)はその点を留意して読むにあたっていただきたい。

 まだ新しい真緑の畳が敷き詰められた和室に私はいた。見覚えがある。東北家の客間だ。
 ふと、後ろに気配を感じて振り向くとそこにはきりたんが立っていた。彼女は下着しか身につけていなかった。

 ここでカットインを入れておく。これは私の夢の中の話である。わざわざ中断したのは官能小説まがいにならないためであり、この日記の目的は浅慮で業深い私の懺悔のためであるからだ。邪な気持ちは捨てていただきたい。

 きりたんは黒い、扇情的な下着を身につけていた。私とクリスマスに選んだものだった。幼げな体躯と年相応の童顔であまりにも妖艶な雰囲気を出す彼女に見惚れてしまい、喉を鳴らすようにして唾を飲み込んだ。
 この音を合図に、彼女は私に背を向けブラジャーのフックを外しきめ細やかな美しい背中を晒した。
 この一連の動作がまた官能的で、私の脳の奥の方が明滅する。
 ここにきて、私の右手にムチが握られているのに気付いた。

 はいストップ。ここでカットイン
[中略]

 ハンドル部分に宝石を模した石があしらわれたフェイクレザーのフロガーが私の手の中にあった。まずそれできりたんの背中を力を込めてひと叩きした。
 彼女の押し殺すような悲鳴で鳴く。この鳴き声が私をどうしようもなく喜ばした。
「ねえ、きりたん。何発耐えられそう?」
「…じ、10」
 彼女はか細い声で答えた。
「じゃあ行くよー。いーち、にー。…ねえ、きりたんが数えてよ」
 私の口角が抑えられていないのがわかる。
「ひゃあん、ひぃ…」
 呂律が回っていない数える声が、私の加虐心を焚きつける。

 きりたんの指定した10発を打ち終えると、彼女の背中にわざと胸が当たるように抱き寄せ、左手で頭を撫で右手で女性器をいじめた。
 押し殺しても漏れてしまう彼女のか細い嬌声が愛くるしい。脳が痺れていくのを感じながらその頭で10数えた。
 0まで数え終えると、わざときりたんから身体を離した。
「な…なんでぇ」
 至極真っ当な彼女の疑問に私はひどく冷酷に淡々と言い渡した。
「10発しか耐えてないんだからご褒美も10秒だよ」
 それから背を向けたまま震える彼女を愉しむように背中を人差し指でなぞった。
「ねえ、きりたん。次は何発耐えられそう?」
「あ、ひ…100…」
 そんなにやったら疲れちゃうよ、と呑気な自分と打てば鳴く貪欲なオモチャに心を焦がす自分がない交ぜとなって私の口角を吊り上げる。
「じゃあ、いくよ」

 何十発と打ち、きりたんの数える声が解読不能になったあたりである。座り込んだ彼女の股下の畳が濡れているのが目についた。失禁させたのだ。
 この子は、なんて私を悦ばせるのが上手なんだろう。
 留まることのしらない肉欲に私の最後の理性が焼き切れた。
 きりたんの首根っこを引っ掴んで畳に背中を打ち付けるように引っ張った。私は仰向けになった彼女の顔面にまたがり、秘部を押し付けるようにして頭部に体重をのせる。
「きりたんばっかり楽しんでてずるいよ」
 嘘だ。楽しんでいるのは私だ。
 そしてそれから、彼女の顔面に向けて、

 ここで目が覚めた。夢か現かの狭間で尿意にやられた。というより少し漏らした。そうだ。寝小便しかけたのだ。
 品のない文字選びは自分の行い、こんな夢を見た自分の心を辱めるためだ。
 夢の中ではあのままきりたんめがけて…やっぱりカットインが欲しい。私の、書き手の心が正しい位置にない。
 余談だが上記の夢の書き出し途中のカットインは、実は書き手の私のためにある。居ても立ってもいられなくなったのだ。特にムチを手にしたところでは通販サイトでムチを検索してカートに入れてしまうところまで行った。ムチが詳細になったのはそのせいだ。実際の夢ではどんなだったかなんて記憶にない。
 閑話休題。
 誠にひどい夢である。罷り通ってはならない欲望だ。私がきりたんにこんな酷いことするわけが無いだろう。それでも、したいんだろうなぁ。なんでこんな好きになっちゃったんだろ。
 いけない。乙女チックな愚痴を書いてしまった。ボールペンで日記を書くんじゃあなかった。煩悩にまみれた加虐心の塊の乙女がどこにいる。
 彼女に会えない理由ができてしまった。この煩悩に遺憾の意を覚える。

 ちょうど圧力鍋にかけたタイマーが3分前を告げたのでこの辺で筆を置くこととする。
 紲星あかり特性カレーは圧力鍋で野菜が固形物だと分からなくなるレベルまで煮込んで作る。朝からこれでご飯かけつけ三杯と行こう。
 「柔能く剛を制す」ならぬ「食欲、業を制す」だ。適当に書き連ねたがなかなかいい言葉だ。座右の銘としよう。

以上。

 

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