未来に備えるための「情報の取捨選択の仕方」を考えてみる

「情報の取捨選択が重要」と聞いて反対する人は今の社会ではだいぶ少なくなったと思います。

その重要性は各所で説かれていますが、一方で「どうやって取捨選択すべきか」についてはなかなか見かけず、「それっぽい」フレーズになってしまっているのは否めません。

それでも私は情報の取捨選択が重要だと思うのです。
私の考える取捨選択のやり方をここでは残したいと思います。


「正しい未来を予測する」ことに最適化した基準

情報を取捨選択する理由はいくつか想定されますが、ここでは「未来の適切な予測」と定めます。更にざっくり言うと「これからの起きることに備えるために」です。

含まれないものとしては、以下です。
・コミュニケーション自体が目的のケース
・娯楽が目的のケース

一般的に「これを知っておいて、後で何かに活かそう」というケースには使えると思います。

「取り方」「捨て方」「その基準」の3つで構成します。

「取」の仕方:結果でなくメカニズムを記憶する
例えば
電車は定刻通り来るではなく、
電車は事前に運行可能なスケジュールが設計されていて、運転手がその通りにコントロールしているから定刻通りに来る
といったイメージです。

最終的に私達の前に現れる結果だけではなく、なぜそうなったのかのメカニズムを記憶しておきます。
「静止画ではなく、動画」と言ってもいいかもしれません。

未来を予測するうえでは、「結果」よりも「メカニズム」の方が情報としては大事です。
メカニズムを理解していれば、未来においても「この状況なら、こう作用するはず」と予測をすることができます。
結果の記憶では、事が起きるまで同じように行くのかどうなのか分かりません。ここでできるのは予測というよりも願望になり、ギャンブルに近くなりますね。

このとき一見すると覚える情報量がかなり増えるように見えますが、「未来を予測する」という文脈においてはむしろ少なくなります。

予測する方法は2つです。
①メカニズムを理解しておいて、都度予測したい条件下でシミュレーションをする
②あらゆる状況のシミュレーション結果を記憶しておく
②はパラメータの数だけ組み合わせの計算で数が増えるのでどうしても①より数が多くなります。そもそも想定される条件を網羅することがまず不可能かもしれないです。
ということでギャンブルではなく予測に取り組むならば、メカニズムを覚えておくのが大事です。

「捨」の仕方:「捨てる」だけでなく、「保留」も

この後出る基準にマッチしななったときは「捨」の選択肢を取ります。
このとき「捨てる」だけでなく、「保留」の選択肢も持って置くことが未来予測には重要です。

鵜呑みにしてはいけない情報であるが、未来は何が起こるか分からないため捨てるのももったいないということです。
当たり前のことに聞こえますが、普段「正しいor 間違っている」の二元論で考えていると思いつきづらいアイデアでもあります。

「現時点では正確だと言い切れない情報」として、頭の片隅に置いておいて、追加情報がわかった時に情報をブラッシュアップするのがお得だと思います。

選択の基準と、見分けるヒント

ここまでをまとめると取捨留を選択する基準は2段階です。
1)「どうしてそうなるか」のメカニズムを分解できるかどうか
2)分解したメカニズムが客観的に見て正しいか

そもそも分解できなければ保留にする。
分解したメカニズムが正しくないと判断できれば捨てる、正しいか間違っているか判断ができなければこれも保留にします。

この1,2の判断をするために意識すると良い4つのポイントを紹介します。
4つは意識のしやすさで紹介しています。一部重複するような要素もありますが悪しからず。

注意する時1 形容詞が多用されている

形容詞を使うと説明が手っ取り早いのでつい使ってしまいます。ですが自分が使われる時には注意が必要です。

形容詞はメカニズムを隠しますし、主観です。
「健康に良い食品」「新しい機種は処理が早いんだ」などと言われると思わずありがたみを感じてしまいますが、なぜそう言えるのかが分かりません。

形容詞の説明文と物事をセットで記憶することは避けるべきです。
次の「良いもの」が来たらそちらがよく見えて踊らされてしまいます。
保留の扱いをしておくのが良いかと思います。

形容詞が登場した際には「どういったメカニズムで、何が変わり、結果的にどういう影響を及ぼすのか/何と比較すると、どう言うことが言えるのか」を考えるようにします。

注意するとき2 不思議アイテムが登場している

不思議アイテムとは、メカニズムが明らかにされておらず、結果だけを紹介されているものを指しています。
「最新のAIが搭載されているので、正確な回答が期待できます」の文章における「最新のAI」が該当します。

どういう仕組みで動いているか分からないものは、今後どうなるか、自分が使った時にどうなるかが分かりません。
日頃からメカニズムの分解を心掛けていると、こうした不思議アイテムに気がつくこともできます。

注意する時3 相手が「完全に理解した状態」のとき

「完全に理解した状態」とは、いわゆるダニングクルーガー曲線で説明される、理解度が0から少し身についた時の、最も自信が高くなると言う状態です。

この法則は科学的に証明されたものではないですが、学びたての人が最近取り入れた知識について実態よりも美化して発言するは傾向があることには頷けます。
ChatGPTが登場した当初に、「使っていない人はヤバい」「世の中が変わる」などと騒いでいた人が該当します。
完全に間違っているわけではないですが、誇張していることは間違いないです。

相手が学びたての時の感想は信じすぎない方がベターです。
あるいは、何事も極端に良い悪いと発言をする人は学びたての人が多いのかもしれません。

注意する時4 流動性が大きい情報

定まらずに変動する情報は覚えておく必要性は小さいと考えます。
なぜならば変動の様子はランダムであることが多く、いくら過去の結果を集めていても未来を予測することは難しいためです。

「今はこれがトレンド」という情報から次のトレンドは予測しづらいです。
何が変化をさせるのかというメカニズムを押さえておくことがポイントだと思います。


木から落ちている葉っぱの現在地を覚えるのではなく、重力と風に影響を受けるという事実を認識しておくイメージです。

さいごに

今回は未来を予測するための情報選択の仕方について考えてみました。

分からないことを鵜呑みにするのでも、聞き入れないのでもなく、保留にしておくのがポイントだと感じます。

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