「普段は気軽に話しかけたりしない」と言う人でも話しかけてくる。Even people who say "I don't usually talk casually" will talk to me.

私は2000年の4月からベスパ(PX200FLホワイト)に乗っています。素晴らしいベスパ屋(モトリーノデルベント)さんのおかげで、トラブルもなく20年も乗り続けることができています。感謝です。そしてこれからも、乗り続けるつもりでいます(目指せ! メーター1周=10万Kロ)。なぜ乗り続けるのか。なぜならベスパにはそれだけの魅力があるからです。でもベスパの魅力を語ると切りがないので、今回は違う話をしたいと思います。

vespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespa

20年前、ベスパに乗り始めたころ、郊外まで遠出をしたときのことです。城跡公園のような場所を見つけました。散策するために、公園入口付近にベスパを停めると、知らないおじさんが話しかけてきました。まずいな。駐輪場は、バイク置場は、どこにある? 今ほどバイクの駐輪規制は厳しくなかったと記憶していますが、注意されても仕方ありません。

「その、バイク、何ての?」「ベスパです」「ベスタ?」「いえ、ベスパです」「ベス、タ?」「いえ、ベス、パです」「日本じゃないね。どこの?」「イタリアです」「イタリヤ」「ええ、イタリアです」「洒落てる」「おしゃれです」「初めて見た、ベスタ」

おじさんは「洒落てるイタリヤのベスタ」というバイクを、しっかりと記憶したことでしょう。

vespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespa

10年前、夜更け、JRの駅に妻を迎えに行ったときのことです。タクシー乗り場の隅に(タクシーの邪魔にならないように気をつけて)ベスパを停めました。ほろ酔いでタクシー待ちの方も、ちらほらいました。そういう感じの、知らないお兄さんが話しかけてきました。まずいな。絡まれるのか?

「松田優作!」「え?」「探偵物語、白の、ベスパ」「あ、はい、なるほど」「良いものを見せてもらった、サンキュウ、ありがとうね」

お兄さんは「松田優作が探偵物語で乗っていた白のベスパ」が、私のベスパ(PX200FLホワイト)だと誤解したようですが(Wikipediaによれば『移動手段はベスパP150X』)、そんなことは「工藤ちゃん」のカッコよさとは関係ないわけで。

vespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespa

2カ月前。近所のショッピングセンターのバイク置場に、ベスパを停めようとすると、背中に熱い視線を感じて振り向きました。知らない若者がこちらを見ています。イタリアンカジュアルなナイスガイです。(在宅勤務だけど、気分転換に料理でもつくろうと思ったら、オリーブオイルを切らしてて、ちょっと買いに来たという感じの)彼はバイクを停めた直後のようです。彼のバイクはベスパでした。私のベスパとほぼ同じですが、マイナーチェンジされたタイプで、サスもマフラーもシートもカスタムしています(お金持ち?)。しかもピカピカ(新車?)です。で、もちろんここまで読んで頂いた方の予想通り、その知らないナイスガイが話しかけてきました。

「こんにちは! PX200FLですよね?」「ええ」「すいません、突然。普段こんなふうに気軽に人に話しかけたりしないんですが、ベスパに乗っていらっしゃるから、ついつい。ご迷惑では?」「いいえ」「ご近所にお住まいですか?」「ええ。そちらはずいぶんカスタムを」「お恥ずかしい限りで。趣味なもので」「ピカピカですね」「半年前に購入して。まだ4千キロなもので。そちらは?」「20年乗って。まだ4万3千キロです」「へえ! 凄いですね。先輩だ! 僕も頑張らないと。本当に、ベスパは楽しいですからね」

ナイスガイが何を頑張るのか私にはわかりませんが、ベスパが楽しいバイクであることは間違いないでしょう。ナイスガイが、この先も乗り続けてくれたらと願います。

vespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespavespa

さてさて。ベスパに乗っていると「普段こんなふうに気軽に人に話しかけたりしない」ような人が話しかけてくることが、ときどき、あります。「あなたは、他のベスパ乗りに、話しかけるの?」と問われたら「もうすぐ」とお答えしておきましょう。まあ、そういったことも含めて、すべてベスパの魅力なのです。CIAO!



この記事が参加している募集

私のイチオシ

もしあなたが私のnoteを気に入ったら、サポートしていただけると嬉しいです。あなたの評価と応援と期待に応えるために、これからも書き続けます。そしてサポートは、リアルな作家がそうであるように、現実的な生活費として使うつもりでいます。