見出し画像

ビットコインは中東リスクを背景にリスクオフトレードが活発化するなか急落 ビットコイン・デイリーレポート2024.10.2(2024. 10.1)

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 1日のビットコインは続落。BTCUSDは日本時間早朝に62,900ドルまで下落して始まったが、安値修正や日本時間午後に出揃った30日の米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のトータルキャッシュフローが8営業日連続で流入となったことが好感され一時は64,100ドル付近まで上昇した。尚、30日の米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のトータルキャッシュフローはプラス6129万ドルだった。また、東証スタンダードに上場しているメタプラネットが107.913BTCを追加購入したと発表したことも下支え要因になった模様。同社に発表によると、購入資金は10億円で1BTC当たりの平均購入価格は9,266,724円。同社が現在保有するビットコインは506.745BTCとなった。

※30日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス6129万ドル。流入は8営業日連続。

 欧州時間帯に入ると、ユーロ圏の経済指標悪化を受けたユーロの下落主導でドルが上昇し、ドル建てで取引されるBTCUSDは売りが優勢となり下落が再開した。米国時間帯では複数の経済指標が発表されたものの、内容的にはまちまちとなり、市場への影響は少なかったが、中東情勢の悪化や米東部港湾労働者の大規模ストライキを背景としたサプライチェーン寸断への警戒感から米株主要3指数が揃って下落するなどリスクオフトレードが活発化し、下落幅を拡大する展開となった。その後、NYクローズにかけて一時60,240ドル付近まで下落した。暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、この日のリスクオフトレードによる急落でビットコインのデリバティブ・ロングポジションの清算は1億2284万ドルに達した。また、暗号資産全体ではデリバティブ・ロングポジションの清算は4億4864万ドルとなった。
 リスクオフトレードのきっかけとなった米東部港湾労働者のストライキは1日から開始された。国際港湾労働者協会(ILA)に加入している4万5000人が参加すると見られ、米東部海岸やメキシコ湾の物流に混乱が生じており、サプライチェーンの寸断によるインフレ再燃や供給不安が世界的に拡大することが警戒されている。尚、ILAがストライキに突入するのは1977年以来。また、中東ではイランがイスラエルへ向けて約180発のミサイルを発射したとイスラエル軍が発表した。また、ロイター通信によると、イラン革命防衛隊も国営テレビを通じてイスラエルへの攻撃を発表した。イスラエルによるハマスやヒズボラ指導者暗殺に対する報復攻撃と見られる。一方、発射されたミサイルはイスラエル軍と米軍が迎撃したと伝わっているが中東情勢悪化に対する市場の警戒感が強まっている。また、商品市場では中東の地政学リスクを背景にWTI原油先物11月限が前日比1.66ドル高の69.83ドル、COMEX金先物12月限は前日比30.9ドル高の2690.3ドルと急騰した。
 この日、S&Pグローバルが公表した9月のユーロ圏HCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.0となり、速報値の44.8から上方修正されたものの、前月の45.8%から低下し、9カ月ぶりの低水準となったほか、市場予想の45.8を下回った。また、 欧州連合(EU)統計局が発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は前年同月比1.8%上昇となり、前月の2.2%上昇から鈍化したほか2021年6月以来の2%割れとなった。また、市場予想の1.9%も下回った。コアHICPは前年同月比2.7%上昇となり、前月の2.8%上昇から鈍化し、市場予想の2.8%上昇を下回った。ユーロ圏では経済指標の悪化が続いており、これらの結果を受けて10月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げが意識される展開となったほか、リスクオフトレードのドル買いがユーロを圧迫した。

 また、米労働省が発表した8月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が804万件となり、前月から32万9000件増加し、市場予想の766万件を上回った。一方、8月の採用件数は531万件となり、前月から9万9000件減少した。米供給管理協会(ISM)が発表した9月の製造業景気指数は47.2となり、前月から横ばいとなり、市場予想の47.2とも一致した。ただ、景気判断基準の50を引き続き下回った。新規受注が上昇したものの、雇用が低下した。

※日本時間10月2日AM6:00現在のドミナンスは57.502%。

 1日のBTCJPYは続落。日本時間帯はBTCUSDの上昇や外国為替市場での円安が支援要因となり927万円付近まで上昇した。ただ、その後はユーロ圏経済の悪化や中東の地政学リスクが意識される展開となり、リスクオフトレードが活発化するなか下落へと転じた。米国時間帯には節目の900万円を割り込むと、NYクローズにかけて一時865万円まで下落した。また、終盤の取引では外国為替市場でリスクオフトレードのドル買いと円買いが共存したため、ドル円の影響はほとんど見られなかった。

市況概況(イーサリアム)
 1日のイーサリアムは続落。ETHUSDは、日本時間帯は安値修正から2663ドル付近まで上昇したが、その後はユーロ圏経済指標の悪化を受けドルが上昇したことや中東の地政学リスクが意識される展開となり下落へと転じた。米国時間帯にはリスクオフトレードが活発化するなか、デリバティブ・ロングポジションのストップロスを巻き込みながら、NYクローズにかけて一時2419ドルまで下落した。暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、1日のイーサリアムのデリバティブ・ロングポジションの清算は9607万ドルに達した。また、オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると、米国政府は74.519ETHと220.67USDTをCoinbaseへ送金した。尚、市場への影響は見られなかったものの、日本時間午後に出揃った米国のスポットイーサリアムETFの30日のトータルキャッシュフローはマイナス82万ドルだった。

※30日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはマイナス82万ドル。
※転換型のGrayscale のETHEのキャッシュフローはマイナス1181万ドル
※日本時間10月2日AM6:00現在のドミナンスは14.129%。

 1日のETHJPYは円安を支援要因に385,000円付近まで上昇する場面も見られたが、欧州時間帯以降はリスクオフトレードを背景に急落し、NYクローズにかけて一時347,200円付近まで下落した。

(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

※当社の提供する情報及びレポートは、著作権法により保護された著作物です。著作権は株式会社B.C.Aマネージメントにあります。内容の一部、またはすべてを複製、流用および転載、転売することを禁じます。
※当資料は情報提供を目的としており、お取引を促すものではなく、また将来を約束するものでもございません。売買等のご判断はお客様ご自身でお願い致します。