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米雇用統計 市場の利下げ圧力高まる 次は利下げ時期が焦点

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室

 米労働省が5日に公表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比20万6000人増となり、市場予想の19万人増を上回ったが、5月の非農業部門雇用者数は前月比27万2000人増から21万8000人増へ、4月も同16万5000人増から10万8000人増へそれぞれ下方改定された。平均時給は前月比0.3%増となり、前月の0.4%増から鈍化し、市場予想の0.3%増と一致。失業率は4.1%、前月の4.0%から悪化し市場予想の4.0%を上回った。これらの結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げ期待が高まるなか週末のニューヨーク株式市場は主要3指数(ダウ工業平均、S&P500、ナスダック)が揃って上昇。そのうちS&P、ナスダックは史上最高値を更新した。外国為替市場ではドルが主要通貨に対し全面安となった。一方で米独立記念日を挟むこの週はドルの流動性の低下が警戒されていた。特に雇用統計はその性質上、市場予想と結果の乖離が大きく、流動性が低下しているなかでサプライズとなれば急激なボラティリティの上昇を招く可能性もあった。ただ、今回の雇用統計では大きなサプライズもなく、市場が過度の警戒感を解いたこともリスク選考ムードを強める要因になったと見られる。尚、今回の流動性の低下の要因は、ロイター通信によると米財務省による利付債の大規模供給を受け、それらの入札決済の影響で引受銀行のバランスシートが圧迫された為だという。ニューヨーク連銀が2日公表したデータでは、担保付き翌日物資金調達金利(SOFR)は前月末の5.33%から1日に5.4%まで上昇していた。
 ここまでは雇用統計を中心に前週末の動きについて述べてきた。次に年内の利下げ可能性について雇用統計、物価指標をもとに考察していきたい。

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