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ビットコイン・デイリーレポート2024.7.9(2024.7.8)ドイツの取引所への送金が続く

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 8日のビットコインは直近の安値圏で方向感を探る展開。BTCUSDはアジア時間帯序盤から再び急落。この時間帯は特にドイツや米国の政府機関、マウント・ゴックス社(Mt社)の新たな送金は確認されていなかったが、引き続き大口の売却に対する懸念から売りが先行し一時54,300ドル付近まで下落した。特に東京時間帯は日本の取引所であったMt社の弁済開始による債権者の売却に対する警戒感が強く、ここ数日は最も下落率が大きくなっている。ただ、東京時間の午前中にこの日の安値を付けた後は売りが一巡した。その後、欧州時時間帯にかけて安値修正の動きから58,000ドル台を回復したが、ドイツの政府機関・連邦刑事警察庁(BKA)がビットコインの送金を再び開始すると下げに転じた。この日のBKAは複数回に渡って取引所へ断続的に送金を行った。一方で米国時間帯終盤にはBKAのウォレットへ複数の取引所からビットコインの入金が確認されている。先週伝えられていたトロン(TRX)・ブロックチェーンの創設者ジャスティン・サン氏の「BKAが保有するビットコインの相対取引(OTC)での購入」やジョアナ・コタル独連邦議員の「政府資産として保有し続けるべきだ」との提案は、BKAが一蹴した格好となった。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると8日、BKAはビットコインを複数のアドレスへ送金した。内訳は、特定されていないアドレス(139PoPE1b・・・)へ4200BTC、Coinbaseへ2050BTC、Bitstampへ2350BTC、特定されていない別のアドレス(bc1qu3jdm・・・)へ855BTC、Cumberland DRWへ133BTC、Krakenへ1250BTC、Flow Tradersへ5200BTC、合計16038BTCを送金した。一方で終盤になってBKAへの入金が続いた。Coinbaseから350BTC、Bitstampから1250BTC、特定されていないアドレス(bc1qu3jdm・・・)から50BTC、Krakenから2023BTC、合計3673BTCの入金が確認されている。この日、BKAは結局、差引で12,365BTCを送金した。現在BKAのウォレットには27,461BTCが保管されている。米国時間帯には55,000ドル付近まで下落したが、終盤にかけて56,000ドル台を回復した。現在、テクニカル的には58,500ドルが目先の上値抵抗として意識されている模様。また、目先の下値サポートは50,000~52,000ドルまで引き下げられている。市場の混乱は落ち着きつつあるが、新たなポジティブな支援材料が出てこない限り、当面は売却懸念もしくは実際の大口売却による下振れリスクを警戒した展開が続くことになるだろう。

※5日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフロー推計値はプラス1億4309万ドル。(8日分の集計結果は本日昼頃の予定)
米商品先物取引委員会(CFTC)Commitments of Traders

 米商品先物取引委員会(CFTC)Commitments of Tradersは週末のNY市場引け後に公表されるが先週は米独立記念日の影響で8日のNY市場終了後に公表された。これはシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物ポジションのみで、デリバティブの一部だがファンドの投資スタンスを見ることが出来る。非商業筋(ファンド、投機筋)のネットポジションは売り越し枚数が減少傾向。また、ロング、ショートともにポジションは縮小しており、これは現物買い・先物売りの裁定取引ポジション縮小や下限レンジへの接近をもってヘッジ売りポジションの解消を進めた結果だと思われる。ただ、ファンドのポジション差はいずれも僅差であり、これまでも他の金融商品のように極端なポジションをとったことはない。CME先物の取組高は今年序盤に急増したとはいえ、現在30,000枚程度で推移しており、ファンドのような大口投機家が自由にポジションを構築できるような流動性が確保されていない為と思われる。今後、CMEの取組高が増加してくれば、ファンドのポジションも相場分析の上で重要なファクターになってくるかもしれない。

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