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【ライブ】現場が社会を支えている

めっちゃピンポイントの感想になるが、12話で、オ・ヤンチョン(ペ・サンウ)が娘に語りかけるセリフがすごく良かった。

娘とその彼氏が車の中でもみ合う場面を見たオ・ヤンチョンは、車から彼氏を引きずり出し、殴って追い返す。「自分も悪かった、彼は良い人なの」と彼氏を弁護する娘に対し、こう言い返す。

「お前は嫌だと言ったし、口でも行動でも"やめろ"と警告した。だがヤツは・・。”嫌だ”と言っているのに何度も無視された。安全だと言えるのか?何の根拠で?・・お前の許可なく、つまりお前が嫌だと言ったら、誰も体に指一本触れてはいけない。分かったか。」

私にも年頃の娘がいるので、このセリフにはとても共感する。娘の彼氏に会う日が来たら、グイっと顔面5センチくらいまで近づけてこのシーンを見せたい。大事な大事な娘ちゃんなんだから、「本人がYESと言わない限りそれはNOやねん!分かってる!?」と言っておかねばなるまい。

ペ・サンウを推します

チョン・ユミ演じるハン・ジョンオは、事件が多発する地域に警官として配属される。酔っ払いの後始末は序の口で、児童虐待、性暴力・・、救えなかった命や被害者の心と身体の傷に直面してショックを受けたり、自分や同僚が命の危険にさらされたりしつつも、仲間とともに成長していく。

そんな最前線にあって命がけで奮闘する警察官たちが、心無いマスコミや利己的な市民、そして警察組織の上層部、国家権力といった幾層もの理不尽に振り回される様子がとてもリアル。日本でも同じようなことはたくさんありそう。

でも、そうやって責任を現場に押し付けて上層部が生き残る企てに対し、分署の同僚たちが連帯して立ち向かう姿が痛快だ。「少数の権力者に対して多数派弱者の連帯で立ち向かう描写」は、韓ドラの定番ですね。だから私はおもしろいと思うんだろうな。

チョン・ユミといえば、「82年生まれ、キム・ジヨン(2019年)」「トガニ  幼き瞳の告発(2011年)」でコン・ユと共演している女優さん。可愛らしさと意思の強さを感じさせる繊細な演技が素晴らしかった。

ペ・サンウについてもちょっとメモしたい。以前「私の耳にキャンディ」というバラエティに出ているのを見たが、その時は低音ボイスが魅力的で温厚な、親しみやすいルックスのおじさんであった。

「ライブ」では、短気だが使命感と情熱を持って働くレジェンド警部を演じている。しかし、家庭を顧みない働き方や、暴力的威圧的に行動する態度によって妻からは離婚を切り出され、子どもたちからは疎まれ、仕事でも肝心な時に捜査から外されてしまう。ペ・サンウの演技からはそんな苦悩が伝わってきてとても沁みた。

ヤンチョンは後輩の純粋さや妻子の思いを受け止めることで次第に変化していく。ヤンチョンは「反省できる男」だった。韓ドラは謝罪と反省を経て和解と再出発を描くストーリーが多いように思う。それもまた、韓ドラを好きになった理由である。

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