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未練の昇華①

私には今お付き合いしている彼がいる。
まだ半年も経っていないけれど、ちゃんと恋していて徐々に愛に変わってきてもいるけれど、どうしても埋めがたい価値観や感性の違いに悶えながら、恋愛にまつわる動画やらエッセイやらを貪る日々が続いている。

ちなみに、私は空回ることも、回り道をすることも、寄り道をすることも、すべていつかは自分の糧になると本気で思っているので、このうじうじタイムを半ば楽しんでいる。

そんなある日、一編のエッセイと出会う。
知的で、引き出しがたくさんあり、感性も似ている彼。話が尽きないほどの意気投合っぷり。必然のように恋に落ちたふたり。しかし彼は突然彼女を置いて身一つで失踪する。しばらくして、ホームレス仲間を見つけて、生き生きと過ごす彼と再会。「責められるのが、焦らされるのがつらかった。消えてなくなろうと思った」とこぼす彼。彼を追い詰めた存在が他ならぬ彼女であった。彼女は、病気になっても支えていきたいと思うほど深く彼を愛していたが、きっぱりと別れを決意する。彼女はまだ彼を愛しているという。彼との愛を失わないために、別れをもって、二人を永遠にしたかったと綴られていた。

はっとした。脳の奥で燻っていた未練が成仏した感覚があった。
正直こんな日が突然来るとは思っていなかった。私はこの未練と一生付き合っていくのだと思っていたからだ。だからこそ唐突に成仏を迎えた私の"未練"を残しておきたくて筆を取った。

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