スクリーンショット_2019-08-07_13

あゝ懐かしや夏場の公園暮らし

去年もそうだったけども雲仙で虫に刺されて酷い目に合う。今年も足首のところから血が吹き出ている。皮膚が弱くなったものだ。

小学生の頃じいちゃんの家に行くとお小遣いを貰えた。いくらだったか忘れたけど、まあ1000円とかくらいだったと思う。うちは色々と厳しいしつけで、ジュースお菓子は基本全面禁止だったし、普段はほとんどお小遣いもなかったのでもらったお金で駄菓子屋さんとかじいちゃんちの近所のお店で買い物するのが楽しみだった。それとその頃毎日寝なきゃいけない時間が夜8時となっており、周りの友達からは大山の家は寺だと噂されるような厳しいしつけの中生きていた為、じいちゃんちに行くと夜更かしできるのでそれも楽しみでしょうがなかった。

お小遣いをくれるにしても掃除したり肩もみしたり、何かしらの労働をしないと貰えないって話はよく聞くけども、うちのじいちゃんは少し変わり者で、その労働も変わっていた。夏にじいちゃんちに遊びに行くと

「わたる、今から10分くらい庭に突っ立ってろー。そしたらお小遣いだー!」

始めの頃、よくわからない俺は何も疑問ももたず庭に突っ立っていたり、ウロウロしてたりした。じいちゃんちは東京の大崎という都心にあるにもかかわらず、広さはそんなでもないが、木がたくさん生えており、ちっこい池もあって、ちょっとした森のような感じで子供の俺としては楽しい遊び場であったのだが、命令されて庭に行かされる時はなんだか遊んでいたらいけない気がしてウロウロしつつも突っ立っていたのだ。

10分ほどして家に戻ってじいちゃんのところに行き、「10分たったよー」というとお小遣いをくれた。「庭はなんだったの?」と聞くとじいちゃんは

「そりゃあうちの庭の蚊に餌やってもらったんだよ」

なるほど。そういう事か、、じいちゃんは少し意地悪な笑顔でこっちをみていた。その行事は何回かあったと思う。途中から慣れてきて、普通の事になっていたんだろう。そんな変わり者のじいちゃんだった。


大人になり、多分33〜34歳くらいの頃だったか、ちょっとした事情で帰る家がなくなり、一人で住むための家を探すまでの間何日間か公園で暮らしていた時期があった。たまにホテルにもとまっていたし、仲間の家にもいったりしていたが、公園暮らしの期間もそこそこはあった。全部合わせると1ヶ月弱の期間だったと思う。

トランペットケースの楽器が入ってない方に着替えやらを詰め込んであるので、昼間リハーサルやらなんやらをし、夜は仲間と飲みに行き、その後公園に向かう。目黒駅近くの公園が1番多く寝泊まりしたところだったと思うが、代々木公園、川沿いのベンチ、なんだかよくわからん駅の近くの公園などあちこち寝泊まりしたと思う。その目黒駅近くの公園は奥の方にベンチがあり、入り口近くの方にもベンチがある。最初公園暮らし初心者の俺は訳もわからず奥の目立たないベンチに陣取ろうとしたのだが、そこを定宿としている先輩がいたのだ。やはりそこも年功序列、先輩をたてなくてはならないのはどこも同じで、俺は失礼しましたと入り口近くのベンチにベットインした。

夏の夜の公園は静かで、昼間の暑さは落ち着き、そこまできついものではなかった。近くのコンビニで買った寝酒のチューハイを飲みながら寝入る。

俺は繊細な部分とずぼらな部分とが両極端に共存している人間で、そういう環境でも意外とサクッと寝れる。その日も気持ちよく夢の世界へ。何時間寝た頃だろうか。今まで聞いたことのない音、何かのモーターの音だろうか?バイク?掃除機?夢の中で何かにうなされながら目を覚ますとそこにいたのは蚊の大群であった。目に見えるだけでもおおよそ100匹近く。公園の電灯に照らされる短パンから出ている俺の足にはあっちにもこっちにも血を吸ってる最中の蚊達。一瞬パニックになりかけたが、子供の頃の蚊への餌やり体験のせいか、そのまま「ま、いっか」と夢の中へ再突入したのであった。

朝起きるとその日は気持ちのいい快晴の空。まだそこまで暑くはなく、こんな気持ちの良い朝はいつぶりだろうか、などと考えてる暇もない程に体中から痒みが襲ってきた。それも強さでいうと中の下の痒み。うっすらと全身痒いのだ。昨夜沢山の蚊達が血を吸っていた俺の足を見てみると、そこはもうノーマルな部分がほぼ無いと言っても言い過ぎではないくらいの箇所、そう100箇所近く蚊に吸われてたのだ。何故か顔はほとんど無傷であったが、全身で200箇所は吸われたんじゃないだろうか。このあと数日後には1000人とかの人前にたってトランペットを吹かなきゃならない俺の悲惨な姿がそこにあった。

子供の頃の蚊への餌やり体験とこんな形で再会するとは思わなかったが、これはきっと懐かしさからの大歓迎だったんだと思う。証拠に顔を吸う奴はいなかったし、朝起きてその吸われまくった体を公園の水道で水浴びして綺麗に流すと、数時間後には腫れも引いて、そこまで酷い事にならなかったのだ。きっとあまり腫れないように吸ってくれたんだと思う。それは再会を喜ぶ甘噛みみたいなもんだったのだろう。

何事も経験に勝るものはない。そして大事にするべきは仲間である。


〜お知らせ〜
9/29(SUN)
BimBomBam楽団
Gypsy Dining Live ~BBB LAND1~
****Thank you Sold out****

会場:billboard Cafe&Dining

料金設定: 3,500円(税込)+1フードオーダー
1st 14:00 Open/15:00 Start
2nd 17:30 Open/19:00 Start
入替制

※空席が出た場合、当日入場可。

<メンバー>
大山渉(tp)
手島大輔(g)
ヤマトヤスオ(b)
奥田真広(per)
小室響(p)
ゲスト(1st):安藤康平(Sax)and more
ゲスト(2nd):るり(Vln)辻本美博(Cl) and more

BBBLAND01絶賛発売中!
リンク
BBBLAND01 by BimBomBam楽団


そんな我々の活動に少しでも支援していただけたら嬉しいです。サポートしていただいた分は活動にて何倍にもしてお返ししたいと思います。