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近くにあった楽しみ

スタンディング・ウーマン
ロン・ミュエク

美術に興味のある人であれば、1度は目にしたことがある圧倒的な存在感の老女。
写真の彼女は【スタンディング・ウーマン】という、ロン・ミュエクの作品である。
高さ4mにもなる巨大な作品だが、その表情はどこか憂いを含んでおり、そのリアルな風情と大きさに奇妙な感覚と違和感を覚えるのではないだろうか。
入場して直ぐに来場者を迎えてくれる彼女は何処を見てもリアルに表現されており、腕の血管や皮膚の質感、年齢と共に重ねられた皺はまるで血が通っているように生き生きしている。
圧倒的な存在感で我々を見下ろす彼女は、ただの彫刻ではなく人生や生死、自分の在り方について語りかけて来るようである。

水の記憶
塩田千春

ひんやりとした空間に設置された見るものを驚愕させるこの作品、塩田千春氏の【水の記憶】である。
私は一目見て心奪われ、夢中で撮影をした。(撮影可能エリア)
1隻の船に絡みつく赤い糸、水の記憶という作品名でありながら何故赤い糸なのだろう?と素朴な疑問が生まれる。
ここからは私の短絡的な考察に過ぎないのだが、赤=生命の色
船=人との関わりが深い物。つまり、人々と物に【絡みついた命の糸】を表現しているのでは無いかと私は考える。
船に乗る1人1人に命があり、人生がある。
船は壊れるまで何世代も人と共に寄り添い、生活を支え乗員と共に生きた空間を共有する。
赤い糸は【命の軌跡】であり、物体だけではなく空間など目に見えない不確かな物を現しているのではないだろうか。
(あくまで考察であり作者の意図とは全く関係ないと思います。詳細を知りたい方は是非公式サイトを閲覧してください)

↑公式サイト

オン・クラウズ (エア-ポート-シティ)
トマス・サラセーノ

巨大なバルーンを黒のベルトで連結させたこの作品は人が中に入ることができる。
見ているだけで楽しい作品だが、考察するには私の知識と感受性では難しいものであった。
公式サイトによると、光とダイナミックさで雲のように絶えず変化し続ける可能性を示唆しているらしいのだが、個人的には肺胞に見えて仕方がなかった。

このように十和田市現代美術館には体感型アートが多く、美術作品に触れる機会が少なかったり、初めてだったりする子供たちでも飽きずに楽しむことができる。

20年間、青森県民として生活していたが十和田市までは距離がありなかなか行く機会が無かった。
先日、祖父の法事で帰省した際に美術館巡りにハマっていると両親に伝えたところ連れて行ってくれたのだ。
基本的にお触り厳禁な事が多い美術作品に直接触れることができ、360度文字通り体で感じ取れるなんて素晴らしい。

青森県に行く機会がある方は是非足を運んで欲しいと思う。


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