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「植物図鑑」

植物図鑑 を読了
2009年発行 有川浩著作品

数年前に実写映画化もされている有名作品である
映画化より前に友人から借りていたような記憶がある
途中まで読んでは止め、途中まで読んでは止め、を繰り返し、最後まで読めていなかった
また友人も別に返さなくてもいい、というスタンスだったのでずるずると返却を先延ばしにしていた

本を読もうと決めたがこのご時世、買いにも行けず、
かといって電子書籍よりは紙媒体で、という自分自身の謎の拘りもあり、どうしたものか、と思っていたのだが、
最近本棚の整理をし、そういえば最後まで読んでいなかったなと手に取った次第である

有川浩さんと言えば同じく実写映画化されている「図書館戦争」でよく知られているだろう
自分は「図書館戦争」シリーズは読んだことはないのだが、
これまた実写映画化されている、「レインツリーの国」は友人(本作を借りている友人とは別だ)に借りて、というか半ば強引に押し付けられて読んだ覚えがある

最初は名前から男性作家だと思い込み、読み進めて行く内に男性なのに随分と女性的というか柔らかい文章を書く方だな、と感じた後、
女性だと知り、自分の中でとても腑に落ちたので強く印象に残っている作家さんである

本作は随所にレシピ本のように細かく山菜の調理過程が書かれていて(実際にあとがきにはレシピが幾つか載っていた)、
恋愛ものであるが個人的にはそこまでザ・恋愛小説!という印象は持たなかった
しかし作者自身はあとがきで ''主役カップルが甘ったるく、過去最強に恥ずかしかった'' などと書いており、あとがきでも思わずクスリと笑みがこぼれた

有川浩さんはこの「植物図鑑」を書く際に編集部から「女の子の旅と冒険」を注文されていたようだ
自分のような凡人からするとそういった注文をされると、安直にファンタジーの世界などでの冒険を思い描いてしまうが、作者はこのテーマを非常に巧妙に「日常」に落とし込んでいる

四季折々の草花の景色の中で男女の関係がゆっくりと変化していく様を自然と汲み取ることが出来る
2人の間に何が起こり、何がきっかけで気持ちの変化が生まれたのかが丁寧に、繊細に表現されていると思う
だからこそ作品全体に流れる時間や雰囲気が緩やかで優しい
読み終わるとともに暖かい気持ちが込み上げてくる作品だった


まだ読んでいない本が数冊、手元にある
時間をかけて読んでいこうと思う


とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)
''道草''恋愛小説。

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