改めて「数学的な見方・考え方」とは

これまで何度か「数学的な見方・考え方」について考えてきましたが、自分が考えていなかった視点に出合い、再び考えるきっかけを得ました。


ここでいったん立ち止まりちと思います。

そもそも、数学的な見方・考え方とはなんでしょうか?

文部科学省(2018)では、以下のように示されています。


算数科の学習における「数学的な見方・考え方」については「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、根拠を基に筋道立てて考え、統合的・発展的に考えること」


そんな数学的な見方・考え方について、志田(2022)は次のように捉えています。


見方・考え方は具体的な事象をまとめ、抽象化、一般化するときに働かせるものであり、その働かせ方は子どもの中で少しずつ変容しながら成長していくものと捉え、長い時間をかけて成長を支えていくことが大切



前半部分を読んだとき、自分の解釈と異なっていると感じました。

これまでの私は、数学的な見方と数学的な考え方に分けて捉えていたように思います。

分けて捉えると、授業前半の見通しを持つ場面では数学的な見方を働かせ、その後数学的に考えていくことになります。

しかし、そのような考えであれば、わざわざ数学的な見方・考え方と表記する必要がないと考えます。

志田(2022)を読んだとき、「具体的な事象をまとめ、抽象化、一般化するときに働かせるもの」ということは、授業の後半で働かせるものなのかと疑問に思いました。

ですが、「授業のこの場面ではこの見方」「この場面ではこの考え方」と明確に位置付けることなどできません。

そう考えると、「具体的な事象をまとめ、抽象化、一般化する」ことは授業場面を限定することなく、授業中絶えず行なっていることが考えられます。

見通しの場面で「この考え使えそう」と思った子どもはその考え方で問題を解いていき、自己内でまとめることもあります。

そのサイクルを1時間の授業中、何度も回していると捉えるとスッキリしました。

この捉えがあっているかどうかは定かではありませんが・・・・


せっかくですので、最後に「深い学び」と「数学的な見方・考え方」の関わりについて触れて終わりたいと思います。

「深い学び」の過程を杉能(2017)は次のように記しています。


「深い学び」とは、算数科の新しい数学的活動(問題解決の過程を遂行すること)の一部である。子どもが考えを振り返り、「統合・発展」していく過程のことであり、そこで気付いた「数学的な見方・考え方」のよさを自覚していくことである。


この中で、キーワードになるのは「統合・発展」ではないでしょうか。

先ほどサイクルを回すと述べましたが、言い換えるならば統合・発展までのサイクルを回すと言えるでしょう。

このサイクルを子どもが自覚できればよいのですが、なかなか難しいのではないでしょうか。

そこで教師が登場し、教師が価値付け、クラス全体に広めていく。

こうやって書き出してみると、だいぶスッキリしたように思います。


参考文献

志田倫明(2022)「算数教科書のわかる教え方3・4年」石井英真監修.学芸みらい社

文部科学省(2018)「小学校学習指導要領解説算数編」日本文教出版

杉能道明(2017)「『数学的な見方・考え方』と『深い学び』とのつながりについての考察」岡山大学算数・数学教育学会誌『パピルス』第24号

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?