メガネが増えるということ


田中(2019)は医師の立場から発達障害の子どもと関わり、診断名について次のような見解を示している、


診断名が付くことのプラス面は、その子の生きづらさやつまずきが、本人の努力不足のせいでも、親の育て方のせいでもなく、「その子の脳のタイプによるものだから」という理解につながる


ただ一方で、診断名が付くことによって子どもの言動のとらえ方が狭まってしまう、画一的になってしまう心配もある



診断名が付くことにより、子どもと関わる際のヒントを得ることができます。

「こういった症状だから」と決めつけてしまうのではなく、個に応じた支援を行うことが必要なのは大前提としてありますが、それでも対応の幅は何もないよりは広がると感じます。

診断名が付いて終わりではなく、そこからが支援のスタートと言っても過言ではないでしょう。

私は、筆者が指摘する「その子への見方が狭まってしまうこと」は意識できていませんでした。



田中(2019)は見方をメガネに例え、次のことを指摘しています。


理解のヒントになる「メガネ」は、たくさん持っていて損することはありませんが、そのメガネを通して見えていることがらが、常に真実とは限らないはずです。あくまでも道具であるメガネに支配されないこと、理解にゴールはないこと


大学院に通ったことでこれまで以上にメガネの数が増え、自分の視野は狭かったと痛感したところでした。

メガネの数が少なすぎても、道具に使われれもダメだということを肝に銘じる必要があります。

理論に踊らされることなく、目の前の子ども理解に十分に努めなければなりません。

勉強すると「自分は何でも知っている」「このやり方以外は受け付けない」というゾーンに入ってしまうことがあります。

謙虚さがなくなり、自分の成長が止まってしまうゾーンだと考えます。

これからメガネの数や種類は増やしていきながらも、メガネに使われることがないようにしたいです。


参考文献

田中康雄(2019)「『発達障害』だけで子どもを見ないでその子の『不可解』を理解する」SB新書

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