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アフタヌーン ティー

雑誌の『東京のホテル特集』や、『お一人様特集』で見たことあるアフタヌーン ティー。そこには3段の円形皿にスコーンやサンドイッチ、色とりどりのケーキが乗せられている。いいなぁ、いつか頼んでみたいな、食べたいなと数10年。ついに、食べる時がきました!

「良かったら忘年会を兼ねてランチしませんか?ここのホテルでアフタヌーン ティーはどうですか」

ママ友、雪さんからの誘いに私とキョーコさんがのった。キョーコさんとは、スタバにて珈琲一杯で粘る仲。ここに雪さんが加わると、こんなラグジュアリーな展開になるのねぇ。

「ご予算もあるでしょうし、他に候補があれば教えて下さいね」

続いてそのような気遣いのラインも来たが

「予算?働いているから大丈夫ですよ!ぜひ行きましょう」

と送る。キョーコさんからは「さすがバジルさん、かっこいいですね!」とお言葉が。そんなかっこいい?ワタシ…。

木曜日、自転車でホテルに向かい、中で迷いつつ2階のレストランへ。約束の11時を少し過ぎてしまったこともあり、2人は先に着いていた。入り口には大きなクリスマスツリー、更に店奥にも、薄暗い中でキラキラ光る大きなツリーが見える。

検温、消毒を終え中に入ると、水の音が近づく。何と店内に噴水池が!!ビーナスのような女人が持った壺から水が溢れ、流れ落ちている。水面はユラユラ、キラキラしている。私達は、その前のソファー席に案内された。向かい合わせに6人は座れそうなところを、3人で独占する。

フリードリンク制なので、まずはメニューからドリンクを選ぶ。キョーコさんは、ネクター何とかという紅茶。雪さんと私はオーチャード ホワイトという紅茶。

紅茶はポットで用意され、目の前で注がれた。たちまちモモの香りが漂う。そういや、ネクターって桃だね、ジュースあるよね。オーチャードは、際立つ個性のない飲みやすいお茶だった。

前菜は、スコーン(プレーン、チョコレート)、フォカッチャ、ピクルスと、ガラス器の盛り合わせ。1番上は、サラミのようなハムに白アスパラが巻かれたもの。まずはこれから食べた。すると下に卵フィリングと薄くて丸いパンを発見。メニュー表にはサンドイッチと書かれている。何て斬新なんだ。でもこれでトランプはできん。

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次にものすごいタワーが運ばれてきて、ここから好きなケーキを選ぶのかと思ったら、全部食べていいケーキ、これぞアフタヌーン ティーだった。写真は2人分。

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1番右上の食べる皿と飴細工の蓋は一つ、中にはチョコパフ、焼きメレンゲ、ミニマドレーヌがそれぞれ2個づつ入っていた。さあ、どれから食べよう。どれから食べたと思いますか?

…右下のプリンアラモードから食べました。何故ならプリンやカスタードが私は好きだから。好きなものは最初に食べる方です。で、このプリン、甘さ、固さが私好みでかなりおいしかった。あと大きさも。お腹が冷えやすいので冷食にあたるプリンは、普段ほとんど食べないし食べられないが、これぐらいのサイズならいいんだわさー。

で、次はその横、ピスタチオと思われるケーキを食べる。近くのケーキ屋(店名思い出せない)で真四角のピスタチオケーキが1500円ぐらいで売っているのを見て、ずっと気になっていたのだ。その話をしつつ、話題は子どもの誕生日にどこのケーキを買ってあげるかについて。それからケーキを崩さず運ぶのは難しいって話など、甘いケーキを食べながらケーキの話が続く。

「思い出した!〇〇だ!」

私、雪さんが思い出せなかったピスタチオケーキがある店の名をキョーコさんが思い出す。冴えてるねっ。でもキョーコさんの肌が一段ときれいに見えるのは照明のせいかな。

それから2段目一番右、カヌレを食べる。モチモチ、好みの食感だ。カヌレってこんな食べ物だっけ?フランス生まれ?とは思えない素朴さだ。飲み物、2杯目はネクターを頼む。

話は、えーっと子どもの話だったかな、幼稚園のことかな。出会ったのは別の場だが、2人の子は同じ幼稚園の上のクラスにいる。ちょっと良い気持ちになっちゃって、あまり覚えてない。私は酔っていた。

「バジルさん、顔が真っ赤だよ」

前に座るキョーコさんに言われて気づく。身体も熱い。カヌレの横にあった茶色いボールは、ラムボールといいお酒が入っていたらしい。めっちゃ弱い、弱くなったなー私、フフフ。

昔、職場で、出前でとった盛り蕎麦で、酔ってしまった男を思い出す。どうも麺つゆに使われたみりんの酒成分が、抜けてなかったらしい。上司が器を下げに来た親父さんに、忠告していた。

それで最初にスコーンを食べてしまったこともあり、もうお腹いっぱいに。

「それぞれ味も違うし、味わって食べたいですよね」と雪さん。ほんと、そう。甘いのは変わらないけど、一つ一つ微妙に味や食感が違い、ものすごくこだわって作られているのがわかる。

残り30分を前「持ち帰り用箱を頂きたい」とウエイターに頼むも「衛生上、できないんです」と断わられる。ああ、タッパーをもってくりゃ良かった〜!

仕方ないので、エンジンをかけ食べ始める。ミニシュークリーム、サンタクロースケーキ、おいしい、おいしいけどもう甘いのはちょっと辛い。

「ビニール袋とか、紙ナプキンに包めばもって帰れるんじゃないですか」と雪さん。「ですよね」と私。ポケットティッシュ入れの中にビニールがあることを思い出し、探して出す。これで持ち帰れる!持ち帰りに向かない上段のグラスに入ったデザートを食べる。ほろ苦い煮りんごだった。上のクリームは半分よける。

見ると雪さんの一人用の3段タワーには、プリンアラモード一つだけだ。「さっぱりしたいから、とっておいたの」と言う。私が最初に手を付けたプリンが、雪さんにとってはフィナーレを飾るもの、それもお口直し的なものだったようだ。

キョーコさんも、同じく持ち帰りに気持ちは向いていて、大きなカバンから何やら袋をだした。キョーコさんはいつもカバンが大きい。常に心配で持ち歩いてしまうそうだ。

上段右の食べられる皿と飴を2つに割り、一方をキョーコさんに渡す。私の手に残った飴は、アメリカンコーヒーに落ちて溶けた。

下段左のチョコ系、中段左のチョコロール、上段真ん中のマカロン付のケーキ、それからミニマドレーヌとメレンゲを隠すように袋の中におさめ、ショルダーバッグの上部に入れた。

雪さんのタワーは残りゼロ、完食していた。細いのにすごい。年齢を未だに聞けずにいるが、おそらくまだ30前半で、私、キョーコさんより7.8つ若そう。

雪さんに千円札を数枚渡し、会計をお願いした。私の時給、およそ3時間分のお値段だがホテルのアフタヌーンティーの中ではかなりお得な設定だと思う。

それからホテルを出て駐輪場に。幼稚園の迎えに急いで漕ぐ。一気に現実に戻った。

ケーキは半ば潰れてしまったが、夜、子どもが寝た後に、チョコ好き甘いもの好きの住人にあげた。

「え、潰れてる!」

「え?じゃあ、食べなくてもいいよ!せっかくもってかえってきてあげたのに!」

「食べます、ありがとうございます」

翌朝、丸いケーキの底板が机に置かれたままだった。食べたら片付けましょう。






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