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『分身』東野圭吾【読書感想文】

少しお腹が痛い。昨日書き忘れましたが、初期から腹痛があり、時々痛みに襲われます。ウィルスは全神経を傷つけながら、身体の中で生き延びる道を探しているのでしょう。私の免疫系が戦っています。深夜に書いた療養日誌のようなものに、スキ、励ましのコメントありがとうございました。

今日は、少し前に読み終えた小説の感想を書きたいです。羊のドリーについて調べて、それを書き出しに使い、生殖医療とそれを取り巻く法律についてもよく調べてから感想を書こうと考えていた私。なんと見栄っぱりっだったことでしょう。自分を大きく見せる必要はないのです、わからないことは素直にわからないと書けばいいのです。

この小説は、東野圭吾さん曰く『変身』の売れ行きが芳しくなかったから、つぎは『分身』だ(笑)と書いたそうです。(もちろん冗談が入ってると思います)。

外見が同じ2人の女性(主人公)が異なる生活圏にいて、それぞれに関わる登場人物がいて、更にその人達も一方だけでなく、他方の女性にも関りがあるようで、読みながら頭がこんがらがりました。例のウィルスに罹る前とはいえ、読み進めるのが結構大変でしたが、終盤、どっかで繋がり、すっきりするんだろうと、望みを持ちページをめくり続けました。

それでまあ、序盤から、そういうことか!と繋がっていき、所々読み直すと、なお興味深くはありましたが、すっきりかというと、そこまででもないというか、色々な問題を残し投げかけてくる作品でもありました。

印象強く残ったことに、生殖医療全般に関わること、特に体外受精については今と認識が異なる、というところがあります。今は浸透しているその技術も、当時(20数年前)はまだ研究段階にあったということです。(←私が小説を読み終えた時に思ったことで、実際は違うかもしれません)。

この数十年で生殖医療技術は格段に進歩し、できることが増えた、しかしどこまでが許容されることなのか、法律がまだまだ追いついていない現実があり、しばしば新聞やネット上でも論議されています。技術が発展した先に行き着くであろう倫理的な問題を、20年以上前に考えフィクションとして世に出した東野さんは、もう何なんでしょうか。この作品も当時はそれほど売れず、注目されずだったそうですが、東野さんの想像が、先を行き過ぎちゃったせいではないかと思うのです。

こちらも、『変身』同様、随分経ってからドラマ化されました。主演女優(2役)のイメージは合っています。私、内容が気になり全話のあらすじを見てしまいましたが、なるほど、その方が絶対に話としていいし、画になるわーというクライマックスのあり方でした。小説は最後がねー、引っ張ったなー、それ早くに見たかったなーって終わり方なんですよ。

ちょっと何いってるかわからないと思う方は、小説を読んでから、ドラマ視聴、もしくはあらすじを読んで下さい。なお、小説を読む際は、人間関係図を書くため、ペンとノートが横にあるといいと思います。主役の2人の名前は、鞠子と二葉で、それぞれ北海道と東京に住んでいます。



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