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小説

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どれも短いです。
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記事一覧

創作 「緑のエプロン(緑)」

11月に入ったばかりだというのに、もうクリスマスソングなんて。 「気が早いのよ」 誰にも見…

バジル
1年前
36

創作『消えた友だち(白)』

透き通るような白い肩を、金に近い栗色の髪が滑り落ちてくる。  フェイシアはゆっくりと両腕…

バジル
1年前
26

創作『あなたとピリカ』振り返り

ずっと取り組みたかった創作振り返りを、記事にしたい。 昨年末に、企画『あなたとピリカ』に…

バジル
1年前
25

ショートショート 子育ての外注

福太が3歳になった時、幸子はフルタイムの仕事に復帰した。外資系化粧品メーカーの営業職だ。…

バジル
1年前
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ショートショート 詐称

「こんにちは。予約していたものです」 「ああ、こんにちは。さあどうぞこちらに」男はその女…

バジル
1年前
20

ショートショート 完璧なママ友

「それでね、朝はご飯をやめてパンにしたの。パンにチーズのせて、あと果物好きだから、バナナ…

バジル
1年前
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ショートショート 『ほっこり』を募集

『あなたが『ほっこり』するのはどんな時ですか?誰かの行いにほっこりしたとき、または、ほっこりされたときのエピソードを教えて下さい。募集期間は本日から10月末まで。みなさんのほっこり体験を審査員一同お待ちしています』 noteエッセイお題は『ほっこり』。募集を始めた日から、noteのタイムラインに『ほっこり』が溢れだした。近頃、投稿がなかったり、普段小説しか書かないnoter達も、ほっこりエッセイを書き出した。 皆がほっこりを書くのも無理はない。大賞は100万円とかなりの金額

ショートショート 白いカサブランカ

初めて死体を見たのは中学生の時だった。 それは祖父の葬儀で「ご遺体」と呼ばれていた。 最…

バジル
1年前
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小説『ひと夏の挑戦』振り返る

これはですね、フォローしているみょーさんの企画で、2週間ぐらいで書いたものです。書き出し…

バジル
2年前
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小説 ひと夏の挑戦

「右手でけん玉、左手でヨーヨーをしながら、リフティングを百回する」 一学期最後の日、夏休…

バジル
2年前
25

小説 失恋未満日記

30歳を過ぎると失恋するのも難しいらしい。ただの仲間から一歩抜き出たいと誘った映画の帰り道…

バジル
2年前
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小説 Copy 〜私はあなたで、あなたは私①

ー何故、私は夫に抱かれなければ、いけないんだろう。10歳上の正敏は白髪も大分増え、身体は筋…

バジル
2年前
28

小説 友達の話〜眠れない夜に

眠れない夜に、胸くそ悪い話をこれからしてやろう。俺の友達、ダイキの話だ。 ダイキはその町…

バジル
2年前
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小説 待ちわびたミステイク

「カルーアミルクと、ビールを下さい」 彼が店員さんに頼む。 「あと卵焼きとキムチ豆腐と、焼き鳥をタレでお願いします」 相談して決めたお品を続けて私が頼む。乾杯の前なのに、久々に会った彼の頬は薄っすら赤くほころんでみえる。 「見たことある店員さんだったね」と彼が言うので「うん、あの若い男の子、ずっと居てくれたんだね」と私は答える。仕事帰りに待ち合わせて、よく来た地下の居酒屋。最後に来たのは、パーテーションも消毒液も席に置いてない1月だった。 「こちらカルーアミルクでご