ショートショート 『ほっこり』を募集

『あなたが『ほっこり』するのはどんな時ですか?誰かの行いにほっこりしたとき、または、ほっこりされたときのエピソードを教えて下さい。募集期間は本日から10月末まで。みなさんのほっこり体験を審査員一同お待ちしています』

noteエッセイお題は『ほっこり』。募集を始めた日から、noteのタイムラインに『ほっこり』が溢れだした。近頃、投稿がなかったり、普段小説しか書かないnoter達も、ほっこりエッセイを書き出した。
皆がほっこりを書くのも無理はない。大賞は100万円とかなりの金額。他、優秀なほっこりはドラマ化される可能性もある。

さて、気になる中身だが。
子どもとほっこりの相性は良いのか、やたら子どもとのエピソードが目立つ。中には偶然にしては出来すぎているほっこりエピソードまで見受けられる。

おばあちゃん率も高い。おじいちゃんでなく、おばあちゃん。ほっこりと高齢女性は相性がいいのか。それも身内ではなく、顔見知り、もしくはスーパーや病院ですれ違った程度のおばあちゃんがよく出てくる。

コメント欄もほっこりで溢れた。
ほっこりしました!ほっこりさせられました!ほっこりっていいですね!私のほっこりエッセイも読んでください!

あるnoter、仮にバジルとしよう、思いついたほっこりエピソードを投稿しようとした。彼女は、ベランダで子どもと一緒に育てたピーマンを、半分に切って肉詰めにしたら「ピーマンがお腹一杯で苦しそうだ」と言われた話をほっこりエッセイにした。若干ずれている気もしたが、そこは強引にカバー、最後は『ほっこりしました』の一文で綺麗にまとめた。

推敲を繰り返し、10月31日11時55分に投稿ボタンを押すが、でた表示はエラー。

なんなの?また押す。やはりエラー。
バジルはイライラしてきた。100万円よ、このほっこりに100万かけてるのよ!親指を連打するもエラー。

何度か繰り返すうちに、時刻は11時59分に。
くそっ。次こそ。
心を込め、ゆっくり投稿ボタンを押す。
画面が青く変わった。

『申し訳ありません。ほっこりの過剰摂取により、サーバーがエラーを起こしました。よって皆様に投稿して頂いたほっこり作品は、全て消去されました。
今後、ほっこりはあなたの心に留めて置くようおねがい致します』

〈了〉



…いやー、ほっこりするおはなしですね!





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