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【冬の天体観測】人生、それは、塵芥の中から、宝石を見出すということ。


朱門さん撮影

明治時代に始まった自由律俳句は大正、昭和初期にかけて隆盛しました。

自由律俳句の俳人として名高い種田山頭火の師として知られる荻原井泉水の『春秋草子』に収録されたエッセイ「星を拾う」には、彼が自選の句集を編集する中で、ふと思い出した言葉が書かれています。

「人生というものは、塵芥の中から、宝石を見出すということである。」

そして、その宝石を夜空の星に見立てながら、そこに、星座や星雲を見出すようにして、編集を続けていったそうです。

「あえて数を多く拾おうと心がけているのではない。ほんとうに大きな星を、ほんとうに美しい星を私は拾い上げて、そしてそれを一つの層雲の星系として運動づけたいのである。」

自分の人生に輝くものを見出し、過去・現在・未来へと紡いでいく。

かつてスティーブ・ジョブズも、スタンフォード大学での演説で、こう言っていましたね。

「You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.

将来を見据えて、点(出来事)と点(出来事)を結びつけることはできません。後で振り返って見たときにしか、点と点を結びつけることはできないのです。

So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.

だから、あなたが方は、とにかく点と点が将来、結びつくことを信じなくてはなりません。

You have to trust in something――

your gut, destiny, life, karma, whatever

自分の直観、運命、人生、カルマ、たとえそれが何であれ、信じなくてはならないのです。

Because the believing the dots will connect down the road, it gives you confidence to follow your heart.

なぜなら、点と点が将来結びつき、道を切り開くと信じることは、自分の心に従う自信をあなたにもたらすからです。

Even it leads you off the well-worn path. And that will make all the difference.

たとえそのせいで、あなたが多くの人が通る道から外れるとしても、それこそが大きな違いをもたらすのです。

出来事のつながりや意味を、後になってから理解したという人は、多いと思います。

でも、頭ではわかってはいても、困難な出来事に直面すると、それが、将来に結び付くことを、なかなか信じられなかったりします。

ジョブズの言葉は、そんな私達に、勇気を与えてくれるのではいでしょうか。

出来事と出来事が、将来結びつくと信じることは、自信につながって行くように感じられます。

ここで余談ですが、例えば、人間は、眼の前のネガティブな情報に対して、強烈に記憶に残す傾向を持っているため、現在に近い時代ほど、ネガティブな印象が残りやすいそうです。

また、一方で、ネガティブな記憶は、長期的にはポジティブな記憶よりも消えやすい傾向があるとの研究報告があります。

みんな現代は最悪だとか言うけど、実際には良くなってるよ!ってテーマを扱った書籍には、以下のようなものがあり、どれもデータにもとづいて、「現代は本当に悪くなってるのか?」を検証してますので、未来に対して悲観的な方は、お読み頂くと、いいんじゃないでしょうか。

「繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史」(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)マット・リドレー (著)大田直子/鍛原多惠子/柴田裕之(訳)

「進歩 人類の未来が明るい10の理由」ヨハン ノルベリ(著)山形浩生(訳)

「21世紀の啓蒙 上 理性、科学、ヒューマニズム、進歩」(草思社文庫)スティーブン・ピンカー(著)橘明美/坂田雪子(訳)

「21世紀の啓蒙 下 理性、科学、ヒューマニズム、進歩」(草思社文庫)スティーブン・ピンカー(著)橘明美/坂田雪子(訳)

閑話休題。

その自信こそが、道を切り開く切っ掛けにもなり、そして、荻原井泉水の様に、記憶の中に、星や星座を見出せるかどうかで、人の幸福感は大きく変わていくのだと、そう思います。

だから、記憶に、心があると考えても、いいのかもしれませんね。

また、メタ認知を鍛えると、より効果的だと考えます。

メタ認知とは、「自分の認知活動を客観的にとらえる、つまり、自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認知すること」です。

自分自身を超越した場所から客観的に見ることに加えて、自分自身をコントロールでき、冷静な判断や行動ができる能力までを含めて、メタ認知能力と呼ばれています。

ただ、人間は、約10兆の細胞でできているけど、その内、数千億の細胞は、1日で入れ替わります。

だとしたら、もしかして、細胞レベルでは、半年で、別人になってしまことになってしまい、そうであれば、なぜ記憶が保たれるのか?

この点について、生物学者の福岡伸一氏は、神経回路の作用ではないかと指摘していましたね。

例えるなら、夜空の星が細胞で、星座が神経回路と言えそうです。

宇宙が、私達の身体だと仮定してみると、星座を構成する星が入れ替わったとしても、星座の形が残り、その形の中に、記憶が宿っているとの考え方は、なんだかロマンがあって素敵じゃないですか?(^^)

私達は、意識せずとも、毎日、無意識の内に、星を探して、星座を見出し続けることで、心(命)を繋いで行く生命体なのかもしれませんね。

「人生とは何か?」

との質問に対して、何時何時、そう問われたとき、

「人生、それは、暗くなりて、星を探し、星を編みて、星座を紡ぐことだ。」

な~んて、答えられたら、なんだか、ロマンティックだし(^^)

意外と、本質を捉えているんじゃないかなって、自画自賛の"明"回答なのかも・・・、しれないか、なと。

星空を眺めながら、そう思った夜のひと時でした(^^)

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