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ロジラテ思考_イノベ塾「スターバックス中国の失敗と#D03

ご存じの通り、スターバックスは美味しいコーヒーだけでなく、ゆったりとくつろげる空間を、サードプレイスと名付けてサービスしています。

サードプレイス戦略はスターバックスにとって、根幹となるコンセプトですが、顧客が求める視点で見たとき、違った景色が見えてきます。

今日は、中国でスターバックスが事業展開したとき、風土習慣の違いによって、新たなイノベーションが生まれたという話です。

1.事例 スターバックス中国が直面した変化

  スター バックス は 「サードプレイス」 という 言葉 で 表さ れる よう に、 場所 の 価値 を 重視 し て い た ので、 デリバリー フード に 参入 し ませ ん でし た。 30 分 後 に 届い た コーヒー は 泡 も 匂い も 消え、 味 も 劣化 し て しまう と 考え た の だ と 思い ます。 ところが スター バックス は、 2018 年 の 売上 減少 (中略)

スター バックス が 参入 し なかっ た デリバリー フード で 飛躍 し た のが ラッキンコーヒー という スタート アップ です。

2018 年 1月 から サービス を 開始 し、 わずか 1 年 で 2, 000 店舗 を 構える 驚異 の スピード で 拡大。(中略)

家 に 届け て もらう こと も、 家 を 出る とき に 買っ て 会社 に 届け て もらう こと も、 先 に 買っ て おい て 会社 に 行く 途中 で ピックアップ する こと も でき ます。 

藤井 保文. アフターデジタル2 UXと自由  日経BP

2.何が起こったのか?

1)2017年時点でスターバックスは500店舗に拡大し、売上げも
  順調に伸びていた

2)2018年、デリバリーサービスを行うラッキンコーヒーが現れ、市場
  を奪われた(1年で2000店舗拡大)

3)スターバックスは、「コーヒーの味重視とサードプレイス」が戦略
  だったので、味が落ちるデリバリーサービスは参入しなかった

3.何故それが起こったのか?

【仮説】
1)サードプレイス戦略は歓迎されていたが、中国人はデリバリーサービス
  で飲食するライフスタイルを好むのではないか?

2)中国では、デリバリーサービスを仕事としている人達が大勢いる。
  このことは中国人がデリバリーサービスを好んでいる証ではないか?

【課題】
1)ラッキンコーヒーの品質を確認

2)スターバックスが行うスタバらしいデリバリーサービスの定義
  明らかにする

4.調査の結果分かったこと

1)ラッキンコーヒーはオーダー後、30分以内の配達は守られていた
  が、取扱方の問題でコーヒーの味が配達中に落ちていた。

2)ラッキンコーヒーの配達員のミッションは30分以内配達だった。
  そのため寄り道や他社のオーダーを受け、効率的な配達ルートを
  考えることを優先していた。

5.何をする(戦術)

1)スターバックスは、サードプレイス戦略に縛られることを止めた。
  良い味のコーヒーを早くお客様に届けることをミッションとした
スターバックスNOW戦略を打ち立てた。

2)他社のオーダーや、寄り道をしない専属配達員を確保。ただし配達料金
  は他社より上がった。(スタバらしいデリバリーサービス)

6.起こったイノベーション

1)サードプレイス戦略に縛られることなく、市場の変化と顧客の要求
  に合わせたスターバックスNOW戦略に移行し、売上げを回復した

2)ラッキンコーヒーは、追い詰められて粉飾決算してしまった。

7.ロジラテ思考ノートで情報を整理してみると

このお話をロジラテ思考ノートで情報を整理すると、イノベーションの種がどうやって生まれたのか見えてきます。

当初のスターバックスの失敗は、スタバの理念であるサードプレイスが災いしてデリバリー事業の参入に遅れたことです。

企業として考えると、サードプレイスという理念は世界の人達に受け入れられて成功した根幹ですから、これを否定するなんてあり得ないですよね?

でもスターバックスはサードプレイス戦略を捨ててスターバックスNOW戦略を打ち立て、大きく事業転換したように見えます。

しかし、私はそう思えません。
何故なら、サードプレイスもスターバックスNOWも、顧客が最も喜ぶことは何かという視点で考えれば、どちらも大きな違いはないからです。

これは本質を考えればキーワードは「顧客への貢献」です。しかし本質を考えず、サードプレイスという概念だけで経営すると、途端に「顧客への貢献」が見えなくなります。

こういう経営者って、世間を見回すと結構いませんか?
本質も見極めるためには、ロジラテ思考でビジネスを観察することは、非常い大事なことだと思います。







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