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「言語化されないニーズ」が分かれば必ず成功する話

読者の皆さんは、こんな経験はありませんか?

家電量販店を訪れたとき、何か欲しいものがあるんだけど何も買わなかったり、買ってはみたものの家に帰ったら「あれ? やっぱりこれじゃないよなぁ」とがっかりしたりという経験です。

これは、顧客自身が自分の欲求を言語化できていないことが原因です。


1.顧客の中で何が起こっているのか?

企業が、新たな市場を見つけるためには、顧客自身が言語化できていないニーズや価値を発見することが重要です。

ある都市銀行の興味深い事例がありますので、少し触れてみたいと思います。

この銀行では、最近古くからの顧客が解約したり、預金額が減っていたため、顧客にアンケートをとった結果、ほとんどの顧客が預金の「利率」が低いのを理由に他行へ移っていると回答しました。

そのため、預金金利を引き上げキャンペーンを行い、顧客拡大を目指したのですが、効果はなくどんどん預金者が減っていったそうです。

そこで、アンケートをやめて次の2つの施策で顧客のニーズを探ることにしました。

1つ目は、顧客を観察することです。
何も聞かず、行員が顧客の行動(表情や会話)を観察し、レポートしました。

2つ目は、顧客とコミュニケーションをとることです。
何か起こって、何故それが起こって、どうなったか?をコミュニケーションの中から行員が分析するコミュニケーションです。

その結果分かったのは、顧客がこの銀行に持った不満は次の2つであることがわかりました。
・クレジットカードのしつこい勧誘された。
・クレジットを申し込んでも発行拒否された。

という経験がある顧客が多かったことが解約の理由だったそうです。

このように、顧客は自身の欲求は感じていても、アンケートを書く時にはすっかり忘れてしまい、結局本当の欲求を言語化しないため、企業が翻弄されることになります。

2.なぜ顧客は、欲求を言語化しないのか?

なぜ、この問題が発生するのでしょうか。考えられる理由はいくつかあります。

1)顧客が自分のニーズを明確に認識していない: 顧客自身が何を必要としているのかを明確に理解していない場合、具体的な要望を言葉にすることができません。

2)表面的な回答が多い: 調査やインタビューで顧客が答える内容は、時として表面的であり、本当に感じている不満やニーズとは異なることが多いです。

3)企業側の調査方法に問題がある: 企業が行う調査方法が限定的であったり、質問の仕方が適切でなかったりするため、顧客の本音を引き出せないことがあります。

このような背景から、顧客の真のニーズや価値を見つけることが難しくなっています。

3.顧客が自身の欲求を言語化させる方法

では、どうすれば顧客のニーズを言語化できるのか?

すでに述べましたが、顧客の観察コミュニケーションが一番の近道です。

顧客を観察して、どんなときに笑顔になったのか? または起こったのか?、困ったのかを観察することです。

コミュニケーションとは、顧客に何かが起こった時、何故それが起こったのか?解決すべき課題は何か?どうすれば課題が解決できるのか?について普段の言葉で交わしあうことです。P&G社は、これを見事にやっていますのでご紹介します。

【P&G社の事例】

P&Gは、主婦の日常生活の現場に入り込み、コミュニケーションを通して顧客のニーズを掘り起こしました。

その結果、主婦が洗濯に持つストレスや悩みは以下の2つであることが分かりました。
1)洗濯プロセスのストレス: 主婦たちは洗濯プロセスにおいて、汚れが落ちない、洗濯機に入れる量が分からない、といった小さなストレスを感じていた。
2)作業が面倒: 洗剤の量を計る手間や、洗濯機の設定に悩むことが多く、これが洗濯の負担を増加させていました。

(解決策)
P&Gはこれらのストレスポイントを解決するために、次の2つの特徴を持った新しい洗剤を開発し、大成功をおさめました。

計量不要のカプセル型洗剤: 主婦たちが洗剤の量を計る手間を省くため、計量不要のカプセル型洗剤を開発した。

洗浄力の向上: 洗濯プロセスで最も重要な要素である洗浄力を向上させるため、新しい成分を配合し、頑固な汚れも簡単に落とせるようになった。

新たな市場を見つけるためには、顧客の言語化できないニーズや価値を発見することが鍵です。そのためには、観察や行動分析、深掘りしたインタビュー技法、デザイン思考の導入など、多角的なアプローチが必要です。

これらの手法を駆使することで、顧客の本当のニーズを明らかにし、新たなビジネスチャンスを見つけることがでます。

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