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[MAZDA AUTOZAM AZ-1]について

マツダにて、バブル期に5チャンネル化した際のうちの一つ、[オートザム]より1992~1995年の間に販売された二人乗りの軽自動車。

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軽自動車では唯一無二であるガルウィングドアを搭載し、特徴的な外観はスケルトンモノコックボディにて構成されている。この為、外板はFRPで構成されており、基本的には取り換えも考慮され設計されていたことが伺える。ガルウィングの上部は、透過率が30%のガラスで構成されておりグラスキャノピーデザインとなっている。窓は手動式(廻し)で、側面下部の一部分しか開閉しない。

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EGはスズキから供給されていた、F6A型三気筒660ccターボEG。アルトワークス、カプチーノにも搭載されているこのEGは、9000回転からがレッドゾーンとなる。実際、9000回転以上までスムーズに廻せるが、最大トルク発生である4500回転以上では、トルク感があるわけではない。このEGを、時計回り90°横向け・ミドに配置している。EGに伴い、動力系や足廻りの一部もスズキから供給されている。車重・ボディサイズ・エンジンレイアウトや座高も相まって、このエンジンの速度域でも、すっ飛んでいくような感じを味わえる。サーキットの速度域よりも、街乗りや峠道でより快感を味わえるハンドリングマシンである。

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ハンドリングは、MRの特性も相まってかなりクイックである。ノンパワステであるが、より路面・タイヤインフォーメーションが伝わってきて、コーナーリングは何よりも楽しい。だが前部の荷重は軽めであり、ブレーキング時ですら滑っている感じがあった。クイックでありながら荷重不足な感じとかなりピーキーな仕様であった。これは、もともと前部に設置予定であったスペアタイヤを、安全基準を満たすために運転席後ろに移設したことも影響していたと思われる。

ロックtoロックが2.2回転であることは有名であるけれど、じつは最小回転半径が小さいわけではないので、思っているより小回りは利かない。

内装は、特性にあわせてかなりストイックである。メーターは、垂直ゼロ指針のホワイトのフルスケールメーター。シートはバケットタイプが標準で据えられている。しかも、助手席側はレールではなく直接ボルト付けされているので、スライド移動することはできない。これは搭乗時のハンドリングを考慮したといわれている。トランスミッションは、5MTのみであるが、個人的には心地よいストロークである。車高の低さやサイドシルの高さと厚みも相まって、かなりのタイト感が味わえる。身長が180cm以上では、相当乗りにくい。

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MRの特性でもある軽快なハンドリング・実用域で使い切れるEG・レーシな内装、後ろから聴こえてくるEGなどのサウンド、ガルドアなど、このクルマには乗り手をその気にさせる、奔る楽しさに必要な要素が詰まっている。実用性の全てを捨てて、走ることだけを追求しているこのクルマは[スーパーカー]であることに相応しい1台である。

しかしながら、このクルマの販売は芳しくなかった。モデル抹消までに、約5000台しか販売されていない。バブル崩壊直後であったことや、実用性がなかったことなどがあげられるが、個人的には別チャンネルの[ユーノス]で、ロードスターがほぼ同価格帯で販売されていたこともあると思われる。

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奔ることを追求したこのクルマは、趣味性が高く、けっして沢山売れることはなかった。しかし、峠道などで飛ばしてみればゴーカートのような快感が味わえるし、速いクルマに乗っていると感じさせてくれる気持ちいいクルマである。外から見ていると、走っている姿、特にリア廻りのスタイルは、まさにスーパーカーである。

観ていただけているだけでも大変嬉しいです。 もし、いただけたら恐縮しながらもとっても感動します。 今後とも覗いていただけましたら有難いです。