見出し画像

Suchmosの"water" (英単語一つで人生の本質が学べる! 44)

Suchmos  サチモス

muddy  汚れた、濁った

Mars 火星

Gimme  「give me」の口語ver.

I will always change not to change.  変わらないために、常に変わり続ける。


さて、今回は筆者が大好きなSuchmosについてである。

というのも、6/10に、彼らバンドの夢であった横浜スタジアムのライブ映像が円盤化され、発売された。

その名も、『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM 2019.09.08』!


画像4

早速鑑賞させていただいたが、横浜スタジアムにて生で観たSuchmosのパフォーマンスがに再度感動を受けました。なんて良い音楽なのだ、、、。

Suchmosへの愛がさらに深まったところで、今回Suchmosについての記事を書くことに決めたのである。


本題に入ろう。

"Stay Tune"で日本の音楽界に新たなる旋風を巻き起こしたSuchmos。彼らの読み方が分からないと言う人もいると思うので、カタカナ表記すればサチモス。筆者が愛して止まないバンドである。今回は、Suchmosと楽曲について語ってみたい。

※全ては、個人的感想です。これが絶対!と言っているわけではありません。感想や解釈は千差万別です!


2016年に上記の"Stay Tune"を披露してからというもの、彼らは爆発的な人気を得た。一時期のライブチケットは即完売し、高い競争率を叩き出すほどの人気ぶりだ。その当時の彼らの個人的イメージは「お洒落バンド」で、身体を揺らし、独特な心地よさに浸りながら音楽を楽しんでいたものである。当時アップテンポな曲ばかり流行っていた状況に、「音楽は一義的ではないぞ」と一矢報いてくれた。チルでメロウでスロウな彼らの楽曲は、当時の音楽に対する固定概念を破壊してくれたのである。

それだけでなく、"Stay Tune"の歌詞にもある「頭だけ良いやつもうgood night」のように、自ら考えることなく周りに流され都会に染まってしまった者に対する批判のような、反抗精神のようなものも、生活に生きづらさを感じていた筆者にとってはグサッと心を射抜かれるものがあり、一瞬で虜になってしまった。

今は2020年。ファンになって4年もの年月が過ぎているのだが、それまでに1st Full Album 「THE BAY」、2nd ALBUM 「THE KIDS」、Mini Album「THE ASHTRAY」と次々最高傑作の楽曲たちを披露してくれた。そして2019年、現時点(2020/06/13)での最新アルバム3rd Full Album『THE ANYMAL』を発表してくれた。

(↑Suchmosのディスコグラフィー)


正直、この『THE ANYMAL』を聴いた時は衝撃であった。「今までのSuchmosはどこに行ってしまったのか」と思わんばかりの変化ぶりであった。今までの一般的な以前のお洒落さは消失し、シネマティックなサイケデリック・ブルースへと変化した。

もちろん、昔から感じていた楽曲からどことなく感じる、ふつふつとした熱量、土着感のような闘志は一貫して感じるのだが、『The Anymal』は質感が全く異なる。

歌詞は以前の具体性を持った力強さをなくし、抽象的な概念へと転換される。まるでジャケットが映し出しているように楽曲に形はなく、聴いていると常にどこかを旅して目的もなくふらついているような感覚だ。

スクリーンショット 2020-06-07 11.03.27

この頃Suchmosが言及していた、「変わり続ける。変わらずにいるために。」はまさに『The Anymal』への言葉だろう。人は変化を恐れる。変化には一定のリスクが伴うため、生存本能が邪魔をするのだ。しかしダーウィンの進化論によれば、環境に変化できないものは絶滅の運命を辿る。時代の特性や流れに合わし、順応することが生き抜く術、そして進化をする術なのだ。なので彼らは変化に恐れることなく自己表現の道を選択した、ということになろうか。

そして、そのような変化の中でも「決して揺るがないもの」、それらをこのアルバムを通して証明したような気もするのだ。あらゆる音楽に触れ、あらゆる音楽を体感する。その中で見えたのは恐らく「自分自身とは何か」であろう。全く異なるジャンルに挑戦しても、相反することを行っても、一貫して共通するもの、それをSuchmosは探す旅をしたのだ。そのように感じる。

スクリーンショット 2020-06-07 11.08.21


前振りが長くなってしまったが、本当の本論に入りたい。

今回は『The Anymal』の1曲目に配置されている曲、"water"を取り上げたい。


オープニングナンバー"water"。時計の針音と共にメロトロンのサウンドが立ち上がってくるコズミック・ブルースの“WATER”は、タイトル通り「水」がモチーフになっている。

これまでに2回を通して、日本人が持ち得ない水のイメージを提示してきたわけだが、それは浮遊する流動的な水のイメージと、キリスト教の死と再生のイメージであった。


形を持たない水の流動性。そして死を通して再生させ成長を導き出す水の神秘性。

なぜだろう。Suchmosは日本のバンドであるはずなのに、この二つのイメージが"watrer"という楽曲にまとわりついている。

画像3


歌詞の中にある、"Everyone has the waters"。これは人々が持っている澄んだ心、ピュアな精神なのではないかと筆者は感じた。大地を尊び地球という一つの生命体に感謝をする気持ち。我々にとっても、地球にとっても生きていく上で重要な「水分」。それと同等な、かけがえのないものを本来我々は持っているのだ。

しかしながら、あらゆるものが「自動」になり「機械任せ」になってしまった現代の機械文明では、その水が枯れつつある。「火星のクレーターでランデブー」、つまり、火星には水分がないように、機械によって人々の心に潤いはなくなり、乾いた心で愛を求め合ってしまう現代社会。人と人の肉体的な繋がりは薄れ、ネットという無機質な中で自分の拠り所を求めてしまう、現代はこのような現状になっていると伝えているように感じる。

次いで、「機械文明」に犯されつつも人々は母なる大地を耕すピュアな「水」を持っていると主張しながらも、その直後には"Everywhere anyone has the muddy waters"とも言っている。つまり、我々は「汚れた水」も持っていると。

マディー・ウォーターと聞けば、アメリカのシカゴでブルースを広めたマディー・ウォーターズ(Muddy Waters)を思い出す。ブルース要素が強い『The Anymal』を踏まえると、両者は関連性がありそうだが、ここでは「汚れた水」と直訳しよう。

我々は水を持っているが、時にその水は汚れている。そう、人間は純粋さを持っているとは言うものの、常に純粋であるわけではない。インスタを開けば金持ちや美男美女に嫉妬してしまうし、人に卑しい気持ちだって持ってしまうこともあるだろう。特に、日本人は「臭い物に蓋をする」習性があるため、自身の内なる悪に目を瞑ってしまいがちだが、完璧な人間などいないのである。純粋さもあれば、卑しい部分もある、それが人間だ。

つまり、人間は非常に流動的な生物なのである。機嫌が良い日があれば悪い日もある。人に優しくしたい時もあれば、自己中心的に動いてしまう時もある。善と悪、どちらも兼ね備えているのが人間なのだ。"so sad"と"so happy"と相反する感情が歌詞にあるように、人間は水のように流動的なのだ。

ただ、機械文明の発達によってその人間らしさでもある流動性は削られ、水が一切いらない機械そのもののようになりつつあるのである。なので"Gimme some water"というように水を欲しがっているのだ。

見事に水の持つ浮遊性、流動性が曲中に現れている。

そして、水が枯れて仕舞えば人間は機械人間になってしまう。すなわち、このままだと果樹園に育つ一つの果実であるような人間は「死」を遂げてしまう。

だが、この曲は果たして一貫して悲観的な歌だろうか。後半にかかるピアノのハイトーンの滑らかな旋律。まるで世界がここから始まりそうな、光に包まれ今にも悪夢から目覚めそうな感覚。決して「死」では終わっていないだろう。「再生」の道が取り残されていることを明確に感じる。

ここに、水の持つ「死と再生」のイメージを感じてもおかしくはないはずだ。

機械によって人間の心は侵食されつつも、彼らの音楽や人々の内奥にある純粋さが心に再度潤いを与え、新たな息吹を吹き込んでいく。

さらに上に記した"water"のライブバージョンのロケ地は、なんと「教会」である。キリスト教と深い繋がりを持つ教会。まさに「死」から「再生」への道を感じ取ることができる。廃れつつ現代社会から旅立つ様子を、祝福してくれているような感覚だ。


追記

日本人が水に流動性と「死と再生」のイメージを持つのは珍しい。恐らくSuchmosは様々な海外のアーティストに触れることによって、そのイメージを自ずと吸収したのだろう。そして、彼らは海をこよなく愛している。日々海と向き合う中で、水の流動性を感じとったのではなかろうか。


Suchmos  サチモス

muddy  汚れた、濁った

Mars 火星

Gimme  「give me」の口語ver.

I will always change not to change.  変わらないために、常に変わり続ける。


See you !!!


感想付きでシェアしてくれると感激です、、、。議論が好きなので、お話ししましょう!!