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砂かけババアのエルサレム

何処へだって行けると信じてる
背中を真昼の風が押す



午前10時25分、
いつもの様にコタローと眼鏡屋の看板前で待ち合わせる、

変な緑のママチャリ、
スタンドを立ててギアを4から5に入れ、
うんと力を込めて空漕ぎする、

車輪がスピードに乗り切る前に、ドリフトしてイキりながらコタローは来る、いつも

「うす」

コタローは水曜日だけ、"デスブラスト"と書いてあるヤカンを腰からさげている、
中にはピストルとサン宝石のカタログが入っている。

「今日は靴流通センターに行こう」

うん

「ネッチゼリー食う?」

うん

ネッチゼリーとは、成人男性の歯糞と砂糖を混ぜ合わせたローカルおやつ。

「そうだ」
「靴流までレースしようぜ」

うん

「邪魔な奴らはぶっ飛ばせ」
「特に砂かけババアは高得点」

うん

コタローはヤカンからピストルを取り出した

「よーい!」

バン

コタローは自殺願望があったので、自分のこめかみに鉛玉をぶち込んだ。

横たわる、鉛の塊。

群がる、黒い鳥。

砂をかける、ババア。

すれ違う人々。

喜んで鎖に繋がれて、
それでも夜明けを待っている。

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