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12シトライアル第二章       アンカー番号12番part9

第二十七話 昨日の敵は今日の…
 「それじゃあ今日はこれで解散です!それでは明日から早速昼休みに練習するので、集まってくださいね!委員会とかでどうしても来れない人は予め教えてください。絶対にみんなで勝ちましょう!!」
初めての集まりはこれで終わった。まさかアンカーになるなんて1ミリも思ってなかった。これは責任重大だな。

「あんた、ホント大丈夫?クラスの代表もなんとか獲ったみたいだけど、その程度でアンカーなんて務まるのかしら?」
信岡しのおかが煽ってきた。だからつい、
「お前こそ、走順、俺の一個前らしいじゃないか。しくじんなよ??」
煽り返してしまった。信岡の顳顬こめかみに青筋が。あっ、これヤバい、殺られるやつだ。そう思ったのだが、

「…まあ、ない話じゃないわね。その時はフォローしなさいよ?」
あれ?コイツが穏便に済ませようとしてる?
「とりあえず、今回は仲間だもの。よろしく頼むわ。」
そう言って信岡が右手を差し出してきた。無視するのも悪いと思ったので、
「ああ、こちらこそ、とりあえずよろしく。昨日の敵は今日の友ってな…」
そう言って俺が信岡の手を握った刹那、

「ぐわあーーー!!やめろ!やめろ!ギブギブギブ!!!」
信岡が俺の右手を掴んだままコブラクラッチを極めてきた。信岡の細い腕が俺の首筋に深く食い込み、息の根が止まる…!やむなく俺はタップアウトした。コイツを一瞬でも信じた俺が馬鹿だった!!

「何があっても、あたしはあんたを味方だと思ったりしないから!少しでもリレーで手を抜いたり気を抜いたりしたらその瞬間あんたの息の根をとめてやるわ。覚悟なさい!」
やっぱり昨日の敵は今日も敵だった…

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