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12シトライアル第二章       アンカー番号12番part31

第四十九話 繋げ!2400m!
 さてさて、遂にやってまいりました!本日のメインイベント!色別対抗選抜リレー!!この種目で優勝が決まると言っても過言ではない。
桃子とうこ、トップバッター、頼んだぞ…!」
「任せて…とりあえず一走は一位で通過する。そしてあとはみんなに任せる。」
「心強いよ、ありがとな。」
我々の切込隊長は俺の前クラスメートの多田ただ桃子とうこ。できればここで差をつけてもらいたい。

 「位置について、よーい…」
パァン!と勢いよく銃声が響いた。桃子はベストタイミングでスタートをきれたようだ。こうなったら相手に男子がいようと関係ない。そんな俺の予想通り、桃子は一位でバトンを繋いだ。
「桃子、ナイス!」
俺は拳を差し出し、桃子もそれに応えてグータッチしてきた。
とおる、みんなもだけど、何よりもアンカーの徹にかかってる…頑張って…!」
「あー、サンキューな!」

 さあ、桃子が作ったリードを守ったまま、黒組は一位で六走の金本玲かねもとれいにバトンを繋いだ。上手くバトンは繋がったようだ。金本も手応えを感じたか、快調に走っていた…のだが!
「ウッ…」
金本のスピードが突然落ちた。足捻ったのまだちゃんと治ってないのか?!なんでそこまで無理してまで走るなんて言ったんだ!もっと自分の体労ってやってくれよ…!そしてそんな足を痛めている金本を尻目に後続がどんどん走り抜けていく。堂々のトップが転落、最下位へと。すると…

「玲!!諦めないで!!どんなに遅くてもいいから!!そのバトンを!!私に繋いで!!」
次に控えている下北しもきた心愛ここあが金本にげきを飛ばした。普段は犬猿の仲の二人だが、目指しているものが一緒なら力を発揮するとどこかで聞いたことがある。ただいがみ合っているだけじゃないのだ。そんな下北の言葉に応えるべく、金本も最後まで前へ進み続けようとしている。これは、考えてる暇はないな…!俺は金本の方へ駆け寄り、
「金本!あとちょっとだ!頑張れ!!こんな痛めてる足でこんなに頑張ったんだ!無理はしてほしくなかったが、ホントにあと少し!そしたらあとは俺たちに任せろ!」
すると金本は最後の力を振り絞り、痛む足で最後のスパートをかけた。そして、

「心愛!あとお願い!!」
「任せて!!まだまだいけるから!!」
金本はなんとか走り切り、今まで上手くいかなかった下北とのバトンパスも綺麗にできた。そして受け取った下北は最初からフルスロットルで飛ばしまくり、みるみる他のランナーに追いつかんとしている。あ、見ている場合じゃない!
「桃子!コイツを保健の先生のとこに連れて行ってやってくれないか!」
「安心して、言われずともそのつもり。こっちは任せて徹はレースに集中して…!」
「ありがとう!行ってくる!」
金本の引き継ぎは済ませた。あとは俺のレースに集中するだけ。なんとしても、俺は負けられない…!
「えっと、玲ちゃん…だっけ?ほら、肩貸すから保健の先生のとこ行こ?」
「すいません、ありがとうございます…」
そんなやりとりをしているうちに、下北は順位を二位まで上げていた。そしてそのまま二位でバトンパスだ。ランナーはあと5人。全力全開で一位を獲りに行こう!!

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