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12シトライアル第二章       アンカー番号12番part10

第二十八話 続・無限地獄
 翌日、団長の宣言通り、俺たちの練習は始まった。
「みなさん走りにはある程度自信があると思うので、練習はバトンパスを中心にやっていきます!」
理に適った練習だ。ただし、
「あんた、バトンパスもまともにできなかったらわかってるわよね?」
そう、多分下手をすれば、俺はコイツに消される。そして、

心愛ここあ、アンタ、あたしのバトン、ミスらずに受け取りなさいよ?」
れいこそ、渡し方、確実にね?」
ここにも一触即発のヤツらが。
「じゃあ、一回現状を見るために、一通り、本番同様にやってみましょう!」

いきなり通すのか。そんなの、
「うわぁ!」「ちょっ!!」
「早いよー!」「待ってってー!!」
やる前からわかってた。みんなこうなる。そりゃそうだ。みんな陸上部とかなら希望はあったが、コミュニケーションもまともにとれていない今の我々にリレーなんぞできるはずもない。特にあの犬猿コンビは言うまでもなく全然ダメだった。

「アンタが走り出すのが遅いからどん詰まりじゃない!!」
「違う、玲が渡すタイミングのミス。」
本当に一触即発なので間に割って入ることにしたのだが、
「先輩は黙っててください。」
「センパイは私たちの問題に口を出さないで!」
怒りの矛先が俺に向いてしまった。ダメだ、コイツら、怖い!

 閑話休題。そうこうしているうちに、
「次、きしくん、だっけか?君の番だよ。レーンに出て!」

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