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12シトライアル第二章       アンカー番号12番part15

第三十三話 俺のいない日常 教室編
 「時間だぞー、席に着けー。日直は9番のきし…は今日は休みって連絡が来てたな。じゃあ今日は10番の工藤くどう、日直よろしくなー。まず号令。」
「起立、気をつけ、礼。」
(てっちゃん休みかー、どうしたんだろう…大丈夫かな…)
(今日はのんびり過ごせそうね。)
ただただ平和な2年A組であった。

 そして昼休み、
とおるー、リレーの練習行くよー。」
桃子とうこがリレー練習のために徹を呼びに2年A組の教室に来た。しかし今日、徹はいない。
多田たださんだったかしら。今日は岸のやつは休みよ。体調崩したとか言ってたわ。」
「そうなの…いないんだ、徹…あなた、信岡しのおかさんだっけ?昨日徹を極めてた。徹の休みの理由、まさか信岡さんのサソリ固めのせい?よくも徹を…」

桃子が何やら禍々まがまがしいオーラを纏っている。珍しくキレているのだろうか。そしてそれを悟ったのか、流石の朋美ともみも腰が引けている。
「えっ、ちょっと、ちょっと待って!!そうだったら素直に謝るから!!あなたにも!アイツにも!」

しかし、すぐに桃子のオーラは消えた。
「大丈夫、あれくらいで壊れる徹じゃないって知ってるから。体育祭で同じ組の同じリレー選手だからあなたと距離を詰めたかっただけ。今のは演技だから気にしないで。これからよろしくね、信岡さん。」
「距離詰めたいからってあんな怖いオーラ出さないで!!まあ…よろしく…」
相変わらず掴みどころのない桃子と、徹以外には意外と弱い朋美であった。

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