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12シトライアル第三章       疾風怒濤の11時間part21

第七十五話 疾風怒濤の11時間のプレリュード
 俺と河本こうもとの男子チーム。信岡しのおか芹奈せりな、いや、主に信岡だな。ともかくあの二人がパンと焼きうどんの材料を調達している間に、俺たち二人は俺が企画したパエリアの材料を買い揃えようとしている。
「この時間だし、結構割引き品とか狙えそうだね。頑張って安く済ませよう!」
なんか河本が主婦みたいなことを言ってる…コイツ将来専業主夫になったりしないだろうか。ダメなことではないが!

 閑話休題。
きしくん、絶対入れたいものは?」
「んー、エビとイカと…あと貝は何かしらはほしいな。」
何と言っても今回はシーフードパエリアにしたい。理由?特にない!単純に海の幸が好きなんだよ!
「じゃあとりあえず鮮魚売り場行こうか。」
「そうだな!」
ということで俺たちは鮮魚売り場に向かった。

「うーん、エビとイカは20%オフのパックが売ってるね。消費期限も明日のお昼までは保つみたいだし問題なさそうだね!」
「そうだな。ただ貝類は目ぼしいものないな…」
「どうする?」
んー、困った。どうしようか…とりあえず他に使うものでも買いに行くとするか。その間に新しくいいものが入るかもしれない。てことで、
「一旦ターメリックとオレンジとパプリカ、それからオリーブとかもあれば買っとこうぜ。」
「そうだね。」
ということで、鮮魚コーナーを後にした俺たちは、

「あ、てっちゃーん!そっちいいのあったー?」
女子チームの芹奈に出会した。そう、出会したのは芹奈だけだ。それが何を意味するかって?
「ちょっと委員長!勝手に行かないで!」
「ゴメンゴメン!」
芹奈は完全に、リードを外したペット状態だ。とりあえず進捗確認するか。
「信岡、そっちの調達進んでるか?」
「ええ、まあなんとかまず焼きうどんの材料は揃ったわ。あとはパン用の小麦粉だけ。そっちは?」
「とりあえず、エビとイカは割引きのやつ買えた。貝類ほしかったんだけど今は目ぼしいのなかったから、一旦その他をこっちに買いに来たんだ。」

「そう、それじゃああたしたちの方が早く終わりそうね。終わったらあたしたち、先に帰ってていいのかしら?」
「うん、いいけど小麦粉とか重いけど信岡さん、大丈夫そう?」
「お気遣いどうも。心配いらないわ。」
「そっか、それじゃああとは僕たちに任せて!」
「了解。あ、そうだ、岸!ちゃんと全部買えたら連絡よこしなさい!いいわね?」
ちょっと何言ってるかわからない。何の必要があってそんなこと…コイツ、俺への嫌悪半端ないのに、わざわざ連絡とらせようなんて、何企んでやがる…というかそもそも、

「…俺、お前の連絡先知らないんだけど?」
そりゃお互い好感持ってないやつの連絡先なんて知ってるわけないだろ。だがしかし、
「ほら!これ!連絡先くらいくれてやるわよ!あんたに何かあって食材が来なかったら、明日は一大事よ!」
俺に何かあって、なんて言われた時は、一瞬コイツが所謂いわゆるツンデレ属性というやつなのではないかと思ってしまった浅はかな俺を殴りたい。
「それに、パエリア担当は岸、あんたよ。あたしだってパエリアって案が出た以上食べたいもの!」
「それはわたしも!」
なんだろう、ホントに最近信岡がわからない。ちょくちょく素直になるのは一体何なんだろうか。いつか心理学でも勉強しようかな。

 閑話休題。ということで、なぜか信岡と連絡先を交換した俺は再び河本と食材調達に入る。
「とりあえず、パプリカとオレンジ、それからオリーブもあったね!」
「そうだな、あとは調味料コーナーでターメリック仕入れて、もう一回貝見に行くって感じだな。」
「それじゃあ行こうか!」
「だな!」
ということで腕にカゴをかけ、俺たちは歩き出す。

「よし、ターメリックもこれでオッケー!あとは貝か…何かいいのあってくれ!」
「祈るばかりだね。」
俺たちは足速に鮮魚売り場へ戻った…のだが、
「結局貝、全然ないね…」
「だな…」
ホントにいいものが見当たらない!!
「どうする、岸くん?」
ホントに困ってしまった。んー…あ!そうだ!
「河本、これ、今日持って帰ってくれないか?その代わり、貝は任せてくれ!絶対何とかしてくる!」
「別に構わないけど、一体どうするんだい?」
「一か八かだけど、明日のお楽しみ!」
とだけ言い残して俺はスーパーに河本と商品を残して去っていった。
(岸くん、どうするつもりだろう…それにしても、僕今日全部立て替えられるだけのお金、持ってるかな…ちょっと卸してこよう。)

 家に着くなり俺は寝る準備を済ませた。明日の朝、9時にバスは学校を出る。それを考えると、あそこに行って間に合うのは…遅くても6時くらいだ。となると、朝は5時には起きないとな。などと思っていると、机の上でスマホが震えている。
「もしもし?」
『もしもし、岸?調達の方はどうなの?』
「あー、なんとか貝以外は無事に買えたぞ。」
『で、その貝はどうするのよ?』
「明日の朝にはなんとかする。一か八かだけど、安心しといてくれ!」
『一か八かなんて安心できないわ!どうするの?』
「そんじゃあ、もう寝るぞ。」
『あっ、ちょっ、岸!』
ブツッと俺は電話を切り、眠りについた。明日、頑張るか!

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