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12シトライアル第一章       13日の金曜日part10

第十話 悶絶!コブラツイスト
 俺は、さっき食べてしまった、紗希さきが作ったフレンチトーストの成れの果てを食べて胃を壊し、胃薬を飲み、トイレに籠ること15分。いつもより15分遅い出発で遅刻かなりギリギリだ。

 万全でない体調の中、走り続けた俺は朝礼開始の鐘とほぼ同時に教室に入った。
「ギリギリセーフ…か…」
きしー、早く席に着けー。」
先生言われ、俺は席に着いた。

 5分後、朝礼は終わった。ということで、俺はもう一つの課題の克服を始めた。
「お、おはよう、信岡しのおか。」
「ええ、おはよう」
やはり素っ気ない。そう、もう一つの課題、それはこの一学期を地獄として過ごさないため、隣のコイツ、信岡しのおか朋美ともみとの関係を改善することだ。しかしこの様子を見るに、これは俺、相当嫌われているな?だが、一学期の間隣である以上、ずっと天敵であってはお互い疲れるだけだろう。少なくとも俺はコイツに敵意はない。できれば仲良くはしておきたいものだ。まともにコミュニケーションをとれるようにしよう!

「信岡って好きな食べ物とかないの?」
「……」
「行ってみたいところは?」
「……」
「得意科とかって…」
「うるっさいわねー!何なのさっきから?!ウザったいことこの上ないわ!!」
そう言いながら、信岡は俺の懐に潜り込み、即座にコブラツイストで俺を締め上げた。信岡の細い手脚が的確に首元や脚に喰い込み、完璧に極まっている。

「グアーーー!!!ちょっ!待て待て待て!ギブギブギブ!!!」
「いいこと?あたしを怒らせたら確実にこんな具合で2秒で仕留めるから!わかった?」
「はい、すみません、だから…解いてください…ませんか、信岡…さん…?」
そう言うとようやく技を解いてくれた。ホントに気を休める暇もなさそうだ。フィジカルでコイツに勝てる日は来ないだろうな。…怒らせないようにしよう。にしても、コブラツイストなんていったい全体どこで覚えてるんだ、コイツは…すぐにはやられないようにボチボチ鍛えなきゃな…

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