12シトライアル第一章 13日の金曜日part4
第四話 13日の金曜日Ⅳ
なんか知らんが、今日はどっぷり疲れた気がする。一週間、いや、一ヶ月分くらいの疲れを一気に喰らった感じだ。帰り道、突然スマホが震えた。
『お兄、これ買ってきてくれない?』
画面に表示されたのはその文言と、一緒に送られてきたHBの鉛筆1ダースと285円+税と書かれた値札の写真である。疲れてる時に買い物かよ、とは思ったが、どうせ帰り道なので買って帰ることにした。
「お会計307円です。」
「ありがとうございましたー!」
こうして買い物を済ませて帰路についた。疲れる1日だったが、それでも家に帰れば平和だ。とみんなも思うだろう。違うのかって?
「ただいまー。」
「お兄、おかえり!お邪魔してるよー。」
そう。否、である。コイツは俺の従妹の小森歩実。ちなみに一つ年下だ。俺を「お兄」と呼んでいることからもすぐわかるだろうが、コイツは俺を本当の兄のように慕っている。
「ほら、買ってきたぞ。」
「ありがとう、お兄!」
俺は歩実に買ってきた鉛筆を手渡した。コイツは絵を描くのが好きで、しばしば俺に文房具を要求してくる。無論、さっきのメッセージも歩実からのものだ。
「お兄、膝乗っていい?」
目を輝かせながらそんなことを聞いてきた。実はコイツ、ブラコンだったりする。昔からずっとそうだったので、今更何も気にしてはいないのだが。
「勝手にしろ。」
「ではお邪魔します。」
(コイツも重くなってきたなー。)
そんなことを思うくらいには兄、もはや通り越して親のような自覚を持ってしまっている俺も重症かもしれない。だがこの感想が弁明しようがないノーデリカシーシンキングそのものだという自覚ももっているだけまだマシだろう。妹として可愛がってはいるが、流石にブラコン相手はすぐ疲労が溜まるものだ。何だ、コイツは…
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