12シトライアル第二章 アンカー番号12番part12
第三十話 不幸のツーペア
閑話休題。信岡にコブラ系以外の技のバリエーションがあったことに驚いたが、俺は組の皆様方の力を借りてなんとか信岡から解放された。とにかく救出してくれた皆様に感謝だな。
「何はともあれ、とりあえず通し練、お疲れ様でした!今日はとにかく課題が山積みだと言うことがわかったので、明日からは随時その課題を克服していきましょう!!」
こうして俺たちの初回練習は終わった。本当に散々な目に遭った。
「えーっと、この後、一年の金本さんと下北さん、それから二年の信岡さんと岸くん、一旦集まってください。」
俺たちは団長に呼び出された。理由は火を見るより明らかだ。
「あの…君たち、仲悪すぎないかな?!上手くいかないことは多々あるけど、なかなかあそこまで酷くならないよ?!」
最早団長に驚かれてしまった。そりゃ俺と信岡、下北と金本の相性ほど悪い相性はこの世には存在しないと思っている。
「というわけなので、君たちにはどうにか距離を縮めてもらいたい。できれば仲良くなってほしい。君たちがお互いを嫌い合っているのはわかってる!でもこの黒組のためだ!よろしく頼む!!」
俺は別に仲良くなって平和に暮れせればそれでいいのだが、コイツらは…
「まあ確かに、いがみ合ってるままじゃストレスも溜まるし疲れるわ。私は賛成しようかしら。」
一番乗らないだろうと思っていた信岡が乗ってくれた。都合がいいことこの上ない。問題はコイツらだ。さっきからずっと睨み合っている。仕方がない。
「お前らも、変な意地張ってないで、今回ばかりは協力しようぜ?仮にもお前らは付き合いが長い。そりゃ相手の嫌なところ散々見てきたかもしんないけど、本当はいいところだって知ってるはずだ。だから仲良くなれとは言わない。ただ敵対姿勢はやめて協力的になってほしいんだ。頼む。」
俺の渾身の説得。頼む!届け!この思い!
「まあ、先輩がそこまで言うなら…」
「協力くらいはしますよ、センパイ!」
案外簡単に届いて拍子抜けだ。まあ、これで何はともあれ協力体制は作れたのだが、
「で、距離を縮めるって具体的にどうすればいいんですか?」
信岡が俺の知りたいことを聞いてくれた。
「そうだな…トランプとかで遊んで距離を縮めるのは…どう、でしょう?」
「たしかにレクリエーションを通せば効率よく距離は縮められそうだ。それでいこう!」
こうして、俺たち奇妙な四人による距離を縮めるトランプ会の開催が決定した。
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