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12シトライアル第二章       アンカー番号12番part3

第二十一話 専属アドバイザー
 「そういうわけでリレー出場枠を巡って勝負をすることになったんだが、どうすれば脚速くなるんだ?」
今日はバイトの日だったので、一昨日決まった出場枠争奪戦について、同じバイト先の俊足女子、真凜まりんに尋ねてみた。

「んー、そーですねー…でも、とおるくん十分速くないですか?」
「並よりは速いが、真凜にも勝てないようじゃきっとアイツらにも勝てない。」
「私のこと見くびってません?!」
「そういうわけではないが、去年俺が負けたヤツと今年も勝負するにあたって、お前と同等以上の速さが必要なんだ。」

そう、真凜は50m走の自己ベストはあわよくば5秒台に差し掛かるんじゃないかというほどだ。つまりコイツに近しいスピードが出せれば50m走自己ベスト6秒2の河本にも勝てる可能性は十二分にある。
「それなら協力しましょう!徹くん!明日って暇だったりしませんか?!」
「えーっと…あっ、明日なら一日中何も入ってないぞ。」
「じゃあ明日私と特訓に行きましょう!必ず徹くんを育て上げて見せます!!」
「いいのか?正直めちゃくちゃ心強い。」
なんと真凜が俺の練習に付き合ってくれることになった。

「ちなみに私、結構一か八かで勝負するタイプなので上手く教えられるかはわかりませんけど、争奪戦だってある種一か八かの賭けというか戦いですもんね。当日の徹くんのコンディションしだいっていう意味で言えば。」
そうだ、コイツ賭け事好きなんだった。しかし、コイツが教えてくれるだけ、本当に心強いものだ。コイツのためにも、リレーの枠は他のヤツらには絶対に譲らない。そう心に決めたのだった。

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