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12シトライアル第二章       アンカー番号12番part8

第二十六話 12分の1の籤引き
 こうして俺がリレーの代表になった翌日。放課後、メンバーで初めての顔合わせが行われた。このチームは各学年のA組とH組の連合軍である。そしてその中には、
とおる、今年はリレー出れるんだね。おめでとう…」
なぜか、桃子とうこがいた。そういえばコイツ、やけにすばしっこかったっけ。

「お前も今年はリレー出るんだな。」
「出たくて出てるんじゃない。私より速い人がクラスにいなかった…それだけ。別にもしかして徹と同じチームで走れるんじゃないかなって期待して入ったわけじゃない。」
「そこまで聞いてないんだが…」
ホントにコイツ、話し出すと澱みなく喋るんだよなぁ。そして今回はコイツだけでなく、

「結局あんたがリレー出るのね。うざったいわ。」
天敵、信岡しのおかがいる。さらには、
「徹先輩!先輩と同じチームで走れるなんて光栄です!!」
「またあんたがいるのね、心愛ここあきしセンパイの足を引っ張らないように精々頑張んなさいな。あとセンパイ、こいつに負けないように頑張りますから!」
めんどくさい犬猿の仲コンビもいた。

 そうこうしていると、
「それじゃあ走順決めますよー!」
どうやら俺たちの組のリーダーらしき先輩が言った。
「ご存じの通り、この学校はリレーの走順は自由なので我々黒組も好き勝手決めていきましょう!!」
だいぶ適当な人だと思った。どうでもいいけどうちの学校、黒組なんてあるのかよ。なんかいやだな…

「と言っても、なかなか決まらないと思うので、ここは公平に籤で決めましょう。1から12の番号がふられているので、その番号の走順にします!では、引きたい人からお好きにどうぞ!」
マジでこの人大雑把だな。なのになんで準備はいいんだよ!
(どこぞやのぽっちゃり女子と同じだな)

「ヘックション!!誰かわたしの噂してるのかなぁ。まあいっか!」

 他方でそんなことがあったとはつゆ知らない俺だが、籤引きが続々と始まっているので、俺も籤を引いた。そしてその結果、
「あっ、12だから、俺アンカー?!」
俺は12を引いた。そう、アンカーに抜擢されてしまったのだ!

「先輩、頑張ってくださいね!」
「期待してますよ、センパイ!」
「足引っ張んじゃないわよ!」
「徹、ファイト!ファイト!」
口々に叱咤激励を受けてしまった。どうなることやら、俺の体育祭は…

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