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12シトライアル第二章       アンカー番号12番part27

第四十五話 借り者競走?!Ⅱ
 金本かねもとのアクシデントはあったものの、その後もレースは滞りなく進んだ。そして一年女子最終レースの第六走。ここで登場するのが下北しもきただ。
「では、第六走のお題を発表します!お題は…あなたの憧れている人、です!それでは、よーい、スタート!!」

とんでもないのをぶち込んできたな、実行委員め…案の定、走者はみんな頭を抱えている…約一名を除いて。そしてその約一名はこちら目掛けて全力疾走中だ。まさか…と言うまでもないか。この展開は間違いなく…
とおる先輩!!一緒に行きましょう!!」
ほーーらねーーー!目の前に下北が現れて俺の手を引っ張って来た。まさか一年女子のレースの半分で呼び出しを喰らうとは…思ってもみなかった。

こうして走っていて気づいたことがある。どうでもいいことだが、下北、少々意外だが足速いんだな。そしてそのまま一着でゴールを通過した。この種目では黒組初の一位だ。あ、そういえば…
「では、判定です!あなたにとってこの人は…?」
「はい!部活で一番憧れてる先輩です!」
ホンマかいな!そう心の中でツッコんでしまったが、たしかにコイツが懐いてるの男子だと俺だけかもしれない。流石にストレートに憧れてると言われると照れるもんだな。
「判定は…セーフです!お題クリア!」

「よかったな、下北!」
「先輩、ありがとうございました!一緒に来てくれて助かりました!」
「でも単に憧れてる人なら由香里ゆかりとかでもよかったんじゃないか?」
「さっきも言った通り、私が一番憧れてるのは徹先輩なので!それに、今は由香里先輩は敵チームなので…」
それに似た発言、金本の時も聞いたな…コイツら実は仲良いんじゃね?

 その後もレースは続き、一年男子のレースも終了した。続いては二年女子なのだが…
「第一走、お題は…クラスの面白い人!よーい、スタート!」
相も変わらずお題は人のままだ。そして何やらこちらにゆっくり走って来るヤツがいる。もうお分かりだろう。
「てっちゃーん!来てよー!」
案の定、芹奈せりなであった。最初は手を引かれたが、あまりにコイツの足が遅いので、途中から俺が引っ張っていたのだが、そんなことはどうでもいい。結局四着だ。
「なんかゴメンね、てっちゃん。」
「まあ、知ってたことだし…」
「だから毎度わたしの扱い酷くない?!」

 閑話休題。第二走には同じチームの天敵、信岡しのおかがいたが、まあ関係ないだろう。
「お題は…あなたが一番嫌いな人!」
悪意しか感じねえ!!なんだ実行委員、俺への盛大なドッキリか何かのつもりか?
「よーい、スタート!」
スタートするなり、蛇のような鋭い目つきで信岡はこちらを睨んできた。そして目にも留まらぬ速さで接近して来て…
きし!あたしはあんたが嫌い!だから来なさい!これは命令よ!」

オワッタ…俺は多分青い顔をしていたことだろう。それを見かねてか、
「速く来いって言ってんでしょ!」
言いつつ信岡は俺にネックロックを仕掛け、その体制のまま俺を強制連行していった。そのまま一位でフィニッシュした。と思うと、俺は一回転して背中から地面に叩きつけられた。おそらくフライングメイヤーなる技を掛けられた。その様子を見て、
「判定…は必要ないまでにあなたの嫌いな人ですね!お題クリアです!」
どうしよう、何も嬉しくない…俺は絶大なダメージを抱えて自席に戻った。俺こそ養護の先生のもとに行くべきだったのかもしれない。

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