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旅の記憶 1994・夏 トルファン #2


30年前の夏
 僕は中華人民共和国 新疆ウイグル自治区
トルファンにいた


バザールにて

無数のテントが並ぶバザールに向かう


この頃の僕たちは
ひとつの街に数日間滞在しては
次の街に移動するというのが
定番の旅のスタイルだった
気に入った街には長く滞在することになり
町中を隅々まで歩いて回る


大きな楕円形のものは ハミウリというウリ科の果物
見つけた時はスイカかと思って喜んだが、スイカほどジューシーでも甘くもなかった


バザールには多くの人と
さまざまなものが溢れていて
現地の生活そのものがあるような
その空間にいるのが
僕は好きだった


売り子と客の掛け合いも見ていて楽しい


店にはたいてい店番の売り子がいて
商品の値段なんかは書いていなくて
直接話しかけて確認する
定価なんてあってないようなもので
外国人の僕らは
高値をふっかけられることになるが
値段交渉をしながら買い物をするのが
とても楽しかった


ロバの荷馬車がバザール内を行き交う


どこから運んでくるかはわからないが
バザールの品々は
ロバの荷馬車が運んでくる
ものすごく遠くの街から
やってきている人もいるようで
いったい何時間かけて
ここに辿り着くのだろうか


荷物を運び終えたあとは荷台に人が乗っている
おそらく来る時は歩いてきたのだろう


上海などの大都市では
普通に車も走っていたが
地方都市では
こんな光景がまだ日常だった


ロバの荷馬車はこの後どこに帰るのだろうか


今はこの場所にもビルが立ち並び
携帯電話も通じるだろう
この時代に旅ができたことが
幸せだったなと写真を見ながら思う

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