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【金管バンド】ファースト・セクションバンドのようになるには

おはようございます。音楽家、チューバ奏者、指揮者、金管バンドディレクターの河野一之です。

寒いの苦手な河野です。

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【金管バンド】ファースト・セクションバンドのようになるには

金管バンドに携わらせていただいてもう少しで20年ぐらいになります。諸先輩方に比べたらまだまだひよっこで、もちろん勉強中の身なのですが、今日はファースト・セクションのようになるにはという題名で書いてみます。

みなさんご存知の通り(知らないかもしれませんが笑)、コンテストを有する国の金管バンド業界には階級があります。(コンテストで何回勝ったかとか、何位だったとかで階級が変わるシステムです。)

日本にはまだないので、今回はイギリスのものを紹介すると格上から順に以下のような順です。

  • Championship Section

  • 1st Section

  • 2nd Section

  • 3rd Section

  • 4th Section

となります。(オーストラリアやNZはA,B,C,D Gradeなど)

チャンピオンセクションというのはイギリスに現在2,000団体以上ある金管バンドの頂点のバンドたちで構成をされているセクションです。英国各地を8等分に分け、その各地域に約10団体ずつチャンピオンシップ・セクションがいるとすると約80団体しか存在しないトップ中のトップのセクションです。(Cory, Dyke, Foden'sなど)

そして1st Sectionも強豪ばかりで、いつでもチャンピオン・セクションに移り変わろうとコンテストを頑張っています。

ウェールズ地区の1st Section Band、Ebbw Valley Brass(エブー・ヴァレイ・バンド)

チャンピオン・セクション・クラスに今の日本のバンドでなろうとするのは少し現実的ではないので、その一歩前である1st Section並みの演奏を目指すにはという題で今日は書いてみます。

楽譜に書いてあることを忠実に

英国留学中もそうですし、日本の英国のチャンピオンセクションバンドで指揮を振られている方がお越しになった際もそうですが、とにかく

楽譜に書いてあることをまずしっかり再現する

ことを重視される方々が多いです。

記号

よく読んでみると楽譜に書かれているのは音の高さや長さを表す音符だけではありません。例えば、

  • 強弱記号(fやpなど)

  • 表現記号(Articulation、アクセントやテヌート、スタッカートなど)

  • 速度記号(Allegro, Ritardando(rit.)やacceleなど)

  • 発想記号(Dolce, cantabile, leggeroなど)

  • その他各種演奏指示のための記号(Mute, standing, Cadenzaなど)

などなど軽く出しただけでも大きく分けて5種類です。こういう記号が示す表現方法をその曲に合わせて表現する必要があります。

この中でも特に自分が感じる点が以下の三つです。

音量、スタイル、ヴィブラート

音量

有名な話ですが、金管バンドの強弱の幅はとても広いです。100名超えのオーケストラと同様の大音量から弦楽器や人の囁くようなウィスパーボイスなごく少量の音量まで幅広くあります。

特に日本では吹奏楽のご経験者な方々が金管バンドに大多数いるため、吹奏楽と同様のpで演奏をされます。しかし、実際金管楽器と打楽器のみで構成されている金管バンドにおいて、音量の差というのは少ない楽器の種類で音楽上の表現をより豊かにする手段の一つです。

これが音量の差が少ないというだけでかなり単調な音楽になりやすい、しかし、逆にその音量をコントロールしすることによってより幅広い表現ができるわけです。

スタイル

オーケストラであれば例えばジャズっぽい曲をやる際にはサックス奏者を呼んできたり、コントラバスにピッチカートを多めにしてもらうなど金管バンドに比べるとジャズの表現は簡単だと思います。

ですが、金管バンドには繰り返しになりますが、金管楽器と打楽器しかありません。なので、ミュートの種類分けやマウスピースの変更もそうですが、奏者自身がジャズのフィーリングやビート感、音色を理解し表現しようと努める必要があります。

どんなジャンルの音楽でも然りで、民謡やポップス、ファンクやロック、讃美歌、金管バンドらしい音などそれぞれのジャンルに合わせたスタイルで演奏することで強弱と同様により幅広い表現をつけることができます。

ヴィブラート

吹奏楽ではメロディーを演奏する以外には金管楽器はヴィブラートはあまり使用しません。逆にヴィブラートをかけようものなら下手をすると、「音が揺れている」という指摘を受け矯正されることもあります。

しかし、金管バンドではヴィブラート(以後V)は必須です。Vをすることで、奏者同士の音色や音程をまろやかに調和させることが可能であったり、音楽の表現をより深めることができます。またいつも同じVではなく、例えば細かくかけてみたり、大きくかける、音の出だしからかける、少しストレート・トーンを入れてからかけるなど、その曲のスタイルに合わせてさまざまな種類のVを表現の一つとして行います。

そしてオプションですが、先述した指揮者たちが口を酸っぱくして仰られることのもう一つがこちらです。

音価(音符の長さ)

以下の場合に音価は無視されやすいように思います。

  • フレーズ終わりの音の長さ(四分音符なのか、八分音符なのかなど)

  • スタッカートが付いている場合、全て32分音符のように極短い音になる

  • タイで繋がっている音

などなどあげ始めたらキリがありませんが、音符が示す音の長さは金管バンドにおいて、というかどのジャンルでも重要です。なぜなら作曲家は無駄な音符は楽譜に書いていないはずだからです。

記譜よりも長く伸ばしてしまう、短くしてしまうは極論編曲となってしまいます。その音の長さは十中八九作曲家が意図して書いているわけです。

「こんな感じ?」で演奏せず、確信を持った演奏をしたいものです。

最後に

このように、とにかくまずは楽譜に書かれてあることを正確に、そして楽器を通したり、他者にお聞かせする際は表現が小さくなりがちなのでとにかく大袈裟にやることが大切です。(色々なお考えがあると思いますが、河野の持論です。)

こういった切磋琢磨が1st section、ひいてはチャンピオンセクションへの道を開きます。

少なくとも今現在現場にいさせて頂いている河野としては音楽に取り組む時にこれらの必要性を強く感じています。

ぜひ、楽譜をよく読んでみてください。そこから音を出した方が楽しいですよ!おすすめです。

Thank you

Kazz


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