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#6 「頑張って」より辛い言葉

私は7月に右側乳房全摘出の手術
8月に甲状腺の全摘出の手術をした。

手術が失敗することなんてほとんどないと思っていたとは言え、部屋をある程度整理してから入院した。

学生の頃の友人を適当にフォローしてるInstagramのストーリーで「手術します。このあと投稿がなかったら失敗したと思ってください。」(Twitter構文、お菓子作り界隈の決まり文句)を流した。
そして踊ってるGIFをふんだんに散りばめた。

↑踊ってるゲイツくん

そもそも病気のこと伝えるのは伝えられた側にとってもプレッシャーになるだろうから言いたくなかった。
だけど、このまま死んでしまったら、知らされてなかったことも唐突に友人が死んでしまったこともショックかもしれないと思って発信した。
できるだけ明るく告げた。


癌になってから「頑張って治しましょうね」って言われるのが嫌だった。
最初から癌になったところを全摘出するって方針だったので、頑張ることがないからだ。
頑張っているのは私ではなく、外科医の先生である。
手術後に私が頑張ろうと頑張らなかろうと傷口は塞がり回復する。
そりゃ手術直後はキツくて2日ぐらい目をつぶって耐えるフェーズがある。
(患部の腫れ、痛みで力入れられない、体力がなくすぐ疲れる、吐き気、腰痛)
だが、副作用があるわけでもなくリハビリがあるわけでもない。

だから、友人たちにも「頑張ってね」と言わせたくなかった。まあ「頑張って」以外の言葉見当たらないんだけどね。
もちろん心配してわざわざメッセージを送ってきてくれるのは本当に嬉しかった。
声をかけてくれた人に「別に私は頑張ることないので」と言うのは屁理屈人間すぎる。
だから「とは言うものの千絵ちゃんも頑張ってね」と言われたら「ありがとう」と返していた。

そんな中「人生の夏休みだと思ってゆっくり休んでね」と言ってくる人がいた。
手術後数日は上記のように耐えるだけで何もできない日が続くし、退院しても子育て中だしもうすぐ社会復帰予定の私がゆっくりはできない。
こんなきつい夏休みがあってたまるかよ。の一言だった。

今確認したら、数個前のやり取りに「頑張ってとしか言いようがないが」と書いてあったので(頑張ってと言われなくないんだろう)と思って絞り出してくれたんだろう。優しい。


流石に癌患者に「人生の夏休みと思って」とは言わないけど私も同じこと言ったことあるかもなと反省した。

退職して有休消化中の人に言ったことあるかもしれない。
「有休消化中は、人生の夏休みだと思って存分にのんびりしてみてもいいんじゃないですか?」と誰かに言った気がする。あの人に言ってしまったなっていう記憶がないのが逆に厄介。3人くらい該当者がいる。謝罪するにも誰に言えばいいだろうか。


大学4年間は「人生の夏休み」と言われる。
自分の大学時代を思い返すと確かに呑気だった。
もっとやるべきことやればよかったな〜っと思う。
踏まえると、

「人生の夏休み」=全力で楽しめる長期休み

というのが前提だと思う。
病気の人や精神的に追いやられてる人に言う言葉じゃない。

「頑張って」という言葉以上に気軽に言う言葉じゃないんだなと学ぶことができた。
人を思って言った言葉なのに言われた側はあまり嬉しくない言葉ってもっと日常に隠れている気がした。

癌にならなければ気付けなかったことだ。
こうやって人間として成長していきたい。

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