選ぶ勇気

何かをやったら何かはできない。
当たり前のことだが、この「一つを選ぶことで他の選択肢をあきらめること」がとても怖い。

転職活動中の今がまさにそうだ。ある程度自分に合いそうな仕事を絞れたものの、そこから一つを選ぶのが怖い。何も選ばなければ「これから何者にでもなれる」状態にワクワクし続けられるし、選んだ先で失敗して「あっちを選んでおけば…」と後悔することもない。「この仕事を選んだらこういう人生になりそうで、逆にこの仕事だったらこうなりそう」と都合よく妄想できるので居心地がいい。

何も選ばず選択肢がある状態は安心感があり楽だ。

まだ働いていた時、毎日同じことをやり続けるルーティンワークに嫌気が差してしまった。

「この仕事を続けたらこんな風に働き続けてプライベートはこうで、でこんな感じで死んでいくなぁ…。あぁ〜これつまんない人生じゃん」

と将来に絶望してしまった。選択肢から一つを選んだ結果失敗して強い後悔をしたのだ。選択肢から一つを選ぶこと自体は悪くない。ただ、選んだ道がどうだったかに関係なく、何かを選ぶ事で「成功失敗」を感じてしまうこと、他のもっと自分に合っていたかもしれない選択肢をなくしてしまうことが怖い。

就活で内定先が決まったもののその会社でいいのか思い悩む「内定ブルー」もこの感覚に近い。実際私は内定ブルーになったし、就活の時期はどんな仕事をするか考えていた時が一番楽しかった。

この感覚はプライベートでも出ている。XやYouTubeの流し見だ。とにかく色んな情報に触れていたいという意識があって、自分の興味関心に関係なく色んなことを知れる媒体を見てしまっている。

色んなことが知れて選択肢も増えた現代において決断力は重要なスキルで、その決断力が私にはない。やはり決断しなければ楽だ。

ただ、何か一つを選び行動してこそ生きてる実感を感じられるとも思う。

例えば転職活動。色んな選択肢があって色んな妄想をしてワクワクしているが、生きてる実感はそこまで感じない。やはり実際に働いて体を動かし他者貢献を肌で感じ、それでお金を稼ぐ方が生きてる実感がある。
プライベートも同じで、興味のない情報を流し見するのは虚無感しか残らない。読みたい本やドラマをじっくり見たりランニングをしたりして、一つの事に没頭した方が生きてる実感が湧く。

遊園地に行って何をするか考えるのは楽しいが、生きてる実感を感じるのはその中から選んで実際にアトラクションに乗っている時なのだ。

一つを選ぶことは怖いし、どの道を選んでも「これでよかったのか」と絶対考えるだろう。だけどそんな怖さや後悔も含めて「たった一つを選ぶこと」と向き合いたい。あきらめることを受け入れる勇気を持ちたい。その先にこそリアルな人生がある気がする。