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2023年度からのマンツーマンディフェンスの基準改定を徹底解説【ミニバス】※2023/5/30追記あり
昔からバスケをやっているおじさんにはあまりなじみがないかもしれませんが、U12、U15カテゴリーにはプレーヤー、審判、TO(テーブルオフィシャル)とは別に「マンツーマンコミッショナー(MC)」という役割の人がいます。端的に言うと「ゾーンディフェンスを取り締まる人」です。
バスケにおけるMCとは何ぞや、という話とともに、2023年4月から主にU12カテゴリーにおけるマンツーマンディフェンスの規定について改訂があったので解説してみます。(U15 も変更になっていますが、今回はU12での影響が大きいです。)
育成世代はゾーンディフェンス禁止
まず大前提の話として、U12、U15という育成の世代ではゾーンディフェンスは禁止である、ということを知っておかねばなりません。
なぜゾーンが禁止なのかというと、この年代、特U12で試合に勝つことだけを考えるとゾーンディフェンスをした方が圧倒的に有利だからです。
ゾーンを突破するにはきちんとしたやり方を知ってないといけないので、そうなるとゾーンの練習とその対策ばかりすることになり、本来身に着けないといけない1体1の技術だったり、フィジカルの強化だったりというのが疎かになってしまいます。
それじゃあ育成の観点としてどうなの?ということでじゃあゾーンは禁止にしましょうよと。
本当にゾーンを禁止にするのが育成世代にとっていいかどうか、は賛否あるところなのですが、今日のところは一旦これを前提で話を進めます。
マンツーマンの定義
ゾーンはダメで、マンツーマンにしなさいよ、ということなのですが、マンツーマンとは何か、という定義がこちら。
〔マンツーマンディフェンスとは〕
① マッチアップが5人共に見られること。
② スイッチは可能であるが、エリアを守り続ける目的のスイッチは許容され ない。
③ オンボールディフェンスは、マッチアップし、ボールマンのシュート・ドリブ ル・パスを制限しようとすること。
④ オフボールディフェンスは、マークマンとの関係により、ポジショニング・ ビジョンを取ること。ヘルプ、トラップ、ローテーションが発生することは可能とする。
⑤ マッチアップの状況からポジショニング・ビジョンが適切ではない状況が 生じた場合、組織的,意図的でなければ個人のミス、技術不足、判断であると見なして、瞬間の現象を捉えるだけではゾーンディフェンスであるとは見なさない。
⑥ マッチアップの状況からトラップが生じた場合、ゾーンディフェンスをしているとは見なさない。但し、これを意図的、組織的に連続して行う場合は目指すマンツーマンディフェンスではない。(スクランブルディフェンス状態)
これは読んで字のごとく、でしかないのですが、ちゃんと1対1でマッチアップして人を守りましょう、ということです。
ゾーンディフェンスはその逆で、人ではなくエリアを守るディフェンスです。
〔ゾーンディフェンスとは〕
① ディフェンスプレーヤーが特定のマッチアップを意識せず、組織的,意図 的にエリアを守ること。
② マークマンの動きに対して、適切なポジション対応をしていない(例:マー クマンについていかないこと)状況が継続的に行われていること。
③ マークマンの動きに関係なく、ボールマンを守り続ける状態。
④ 隊形を問わず、5人・4人・3人・2人・1人がエリアを守るもの
⑤ マッチアップが明確ではない状態が続くディフェンス(例:トラップを続ける 中で途中エリアを守る等)
MCの問題
MCはマンツーマンの規定に反している場合に黄色旗を振って注意喚起をし、その状態が5秒以上続くと赤旗を振って試合を止めて指導をいれる、という役割の人です。赤旗が振られると当然ペナルティもあります。
私もMCをやったことがあるのですが、めちゃくちゃ難しいです。難しすぎてやれる人が少なく、練習試合ではもちろんMCは入りませんし、市内大会レベルだと準決勝以上だけ導入、とかになっています。(都道府県によるかもしれませんが)
他の人がやっているのを見ても、なぜ黄色旗を振っているのか全く理解できないことも多く、赤旗になると説明のために試合が長時間止まってしまうので流れも途切れてしまい、試合が面白くなくなってしまっていました。
特に問題なのは、これまでの基準だと基本的には違反が起こっている事象のみを見て判断するので、
①違反に見える事象が単にプレーヤーのスキル不足から起こっていることが多く、単純に下手な子ほど違反しやすい
②逆に上手い子が予測で動いた結果(本来ならばナイスプレーとして称賛されるべきものが)、違反だと判断されてしまい、思い切ったプレーができなくなる
ということで、上手い子にとっても下手な子にとっても優しくない基準となっていました。
変更点
そういった課題を解消しようとしたのが今回の改正です。
ポイントは、特にU12で厳しい基準で振られていた旗をU15と同じにしますよ、ということで、もうちょっとディフェンスの自由度を上げて旗を振る頻度を少なくしましょう、という内容です。
①予測の許容
これまでは、「基準規則に違反した時は⻩⾊旗を挙げる(基準規則第9条)」ということで、「ゾーンとまでは言えないけどマンツーとも言えない」状態は違反としいたのですが、それだと良かれと思って事前に予測して動いたプレーがマンツーマンの規定から少しでも外れてしまうと違反とされてしまう、という弊害がありました。
なので、これを緩和しましょう、というのが変更点。
危険を察知して,あるべきポジションを離れて危険なエリアを守りに⾏く ことは、重要な良いプレーであり、「予測⼒」を⾼める事は重要。
4-3-1 オフェンス側が有利となる攻撃があると予測できた場合、ヘルプすることは可能とする。
8-1-1 マンツーマンディフェンスを行なっている前提において、予測に基づくプレーとコミッショナーが判断した場合、基準規則違反とは見なさない。
ここでのキーワードは「予測」です。
②トラップ3原則の撤廃
予測に基づくと必然的にトラップディフェンスが起こるのですが、これまでU12ではトラップディフェンスは条件付きでしか認められていませんでした。
5-2-5 U12において、トラップディフェンスが可能となる条件は次の3つとする。
① ドリブルが行われているとき、またはドリブルが終わったとき
② パスが空中にある間に移動できる距離で、パスを受けた瞬間にトラップ を成立させることができるとき
③ 自分のマークマンとボールをコントロールしているオフェンス側プレー ヤーとの距離が約2~3mで、移動が容易にできるとき
これがトラップ三原則と言われていたものなのですが、この条文がなくなり、
5-2-5 全ての場面においてボールをコントロールしているプレーヤーへのトラップ は許される。
となりました。
これが一番大きな変更点です。
※U15では元々認められています。
③意図的、組織的かどうか
1-3-1 マンツーマンコミッショナーが、5人のディフェンス側プレーヤーが個々の マッチアップを意識せず、組織的,意図的にボールマンのプレーを守ってい ると判断した場合は、注意や警告の対象となる。
3-3-6 マッチアップの状況からポジショニング・ビジョンが適切ではない状況 が生じた場合、組織的,意図的でなければ個人のミス、技術不足、判断で あると見なし、瞬間の現象を捉えるだけではゾーンディフェンスであるとは 見なさない。
「意図的」、「組織的」というのは判断が難しいのですが、そこに込められている思いがQ&Aにありました。
その現象の原因は「指導者による意図が働いているか(意図的)、チーム としての練習してきていることであるか(組織的)」を見て欲しいとの考 えで記載した。子供の意思や技術不足によるものではなく大人の指示(意 図的・組織的、組織的でなくても個人に支持しているなど)により動きが なされているという判断ができるものであればよくない、ということになる。
事象だけでは判断しません、という変更になっていますので、偶発的にそのポジションにいるだけでは旗は振らなくてよい、ということになりました。
④赤旗1回目の対応方法の変更
9-1-3 1回目の赤旗は警告でありマンツーマンペナルティは記録されないが、罰則として相手チームにボール保持が与えられ、相手チームのフロントコートのスローインライン(U12ではスコアラーズテーブルの反対側のセンターライン の延長線上)からのスローインでゲームを再開する。
これまで、赤旗の1回目は注意のみで、ボールの保持の変更はありませんでした。なので1回目はやり得になっていたのですが、それが是正されました。
まあ①~③の変更によって、赤旗が上がるシチュエーションは圧倒的に減るはずなので、それでも赤旗が上がるというのはかなり悪質なケースということになるとうことで妥当な変更だと思います。
ちなみにマンツーマンペナルティというのはフリースロー1本&マイボールが相手に与えられるといもので、2回目の赤旗から適用されます。
また、このペナルティが2回(U12では3回)になると、コーチが退場となります。
※5/30追記
第4Q(及びOT)残り2分以下の場合は1回目の赤旗であってもペナルティが適用される、という規定がU12でも適用されることになりました。(これまではU15のみ)
以上がマンツーマンに関する変更点です。
今回の変更によってU12における黄色旗、赤旗が減り、試合がスムーズに運ぶことを願っています。
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