日記:思い出のアニメイトは、カレーの匂い

カレー屋の前を通ると、当たり前だけどカレーの匂いがする。
特にインド系のカレー屋は結構しっかり匂う。

そのインドカレーの匂いを嗅ぐたびに、真っ先に思い出すのは何故かアニメイトだった。

昔高校時代一番行っていた地元のアニメイトすぐ横にインドカレー屋があったからだとは思う。
だけども別にアニメイトに行くたびにそこのインドカレー屋に通っていたとか、そのインドカレー屋が美味しそうで気になっていたとか、そういうストーリーは何もない。

マジでただ「よく行くアニメイトの横にインドカレー屋があった」だけでしかないのだ。

でもよく考えると、たぶん、僕が知った初めてのインドカレー屋だからだと思う。

初めて嗅いだカレーがカレー屋の全てだと脳内の無意識下で思ってて、カレー屋の近くにはアニメイトがあるものだと刷り込まれてるのか。
おもしろい。

ただ、インドカレーを嗅いだときの感覚は、なんというか、「引っ張り出されてくる」感じ、昔の思い出が。

インドカレーを嗅ぐと、昔のアニメイトに通っていたときの確かな感覚、ママチャリをギィギィ漕いでいた感覚、手汗の感覚、あのときの狭いアニメイトの感覚、漫画を何を買おうか、グッズを何を買おうか、悩んだ感覚、クラナド、ひぐらし、リトバス。
そういう感覚が、ただの記録としてではなく、あのとき感じた感覚そのものが引っ張りだされてくるのだ。

あのときはお金がなく、家からアニメイトに行くだけで往復1000円は使う。
安いじゃないかと思うが、当時高校生。バイトも許されていない。日頃渡される昼飯代をちまちまと溜め込み、そのお金でようやく漫画一冊を買ってるような時代。
片道一時間半ほどかけてチャリでアニメイトに行っていた。それをだいたい毎月やっていた。
あっさりタクシー拾って帰る今では到底やらないこと。

その時にしかない感覚。

そういう感覚が、思い出として引っ張り出されてくるのだ。
そして、そのきっかけとなる、アンカーボルトとなる存在になるものは、多分他にも色々ある。
だからたまに高校時代だけよく聴いた曲とかを引っ張り出して聴き返してみると、あの時の通学路なんかを思い出すこともある。

この曲を聴くとあの時の青春を思い出す………というといい話のように聞こえるので、昔聴いてた曲なんかを聴いてはみるが、やはりインドカレーほど、強烈に過去を思い出すことはない。

曲はなんだかんだ聞き返すので、その曲にはたくさんの思い出が詰まっていて、高校時代もあれば大学時代もある。色んな思い出を想起する。が、ぶっちゃけ「インドカレー」は、近くにない限り行かないし、僕も別にインドカレーマニアではないので、あれだけ定期的にインドカレーの匂いを嗅ぐ機会が、そもそもない。今住んでる近くにも、通勤路にもない。
インドカレーと思い出を重ねる機会が、僕の中でアニメイト以外になかったようだ。

そういう事情も重なり、「インドカレー=アニメイト」という誤った方程式を脳みそが勘違いしたまま、インドカレーに縁がなかったことで、両者はいつの間にかどうにも切っても切れない関係になってしまったようだった。

だから僕はあんまりインドカレー屋には行かない。
どうか僕の脳みそには、「インドカレー屋の隣には必ずアニメイトがある」と、勘違いしたままでいてほしいので。

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