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【3巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る


こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは3巻の振り返り記事となります。

1巻、2巻の記事はこちらから👇

記事は以下のフォーマットで進めていきます。

・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク

今回の記事は多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。

【3巻】延友の信頼vs甘えていたナオ

3巻は、ナオが黙って参加を決めた池袋ガールズベッドバレーに、練たちが潜入するところがメインストーリーです。

ナオが甘えていた部分は一つ。何も言わなくても延友に伝わると思っていたところです。事前に一言さえあれば、延友やチームメイトへ心配をかけることもなかった。もちろん、話せばガールズベッドバレーは止められていたのでしょうが。

小学校時代、女性グループに馴染めない延友を救ったのがナオだったように、延友も変わらずナオを信頼し、本気でナオのことを考えている。お互いのことを理解し、必要な存在であることが伝わってきます。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)3巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て3巻より引用しています)

心に響く名言

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3巻で名言と言われたら、このコマを思い浮かべる方が多いと思います。元チームメイトの南を見つけてしまい、本気でプレーできていない練に対する小田切のセリフです。

このセリフ自体が有名ではありますが、実はこのセリフの前には小田切の前置きのセリフがあります。それがこちら。

......これはちょっと練さんの受け売りが入ってるんですけど....

この受け売りと言うのは、練がかつて小田切に発したセリフです。

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1巻の振り返り記事にも書きましたが、少女ファイトの基本は救いの連鎖なのです。

例え漫画の中で描かれていない過去のシーンがあっても、キャラクター達が確実に年月を重ねて成長している様子が見られるのは、日本橋ヨヲコ先生の作品全体の特徴だと思います。キャラクター1人1人が生き生きとしているの で、現実世界にも実際に存在し、生きているかのような気すらしてきます。(もしかして私だけですか?)

話が脱線しましたが、本気でプレーできない練が立ち上がる大きなきっかけとなったことがあと二つあります。

一つは、過去のチームではなかった本音を言い合える仲であると言うこと。

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気を遣わないことが、逆に気遣いであると言わんばかりのチームメイトからの叱咤激励。練にとってはこのチームは今までと違うかもしれないと言う期待を抱かせるには充分すぎたのでしょう。

もう一つ練が立ち上がるきっかけになったもの。

それは絶対的な味方である小田切の存在です。

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「練さんは なんでもいんです」というセリフは、無条件で自分を受け入れてくれる絶対的な味方であることと同意です。家族以外で、自分のあるがままを受け入れてくれる存在は、本当に辛い時の心の支えになります。世界中を敵に回したとしても、練への信頼は揺るがないであろう小田切の想いの強さが感じ取れます。

【注目のシーン1】

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このシーンは3巻冒頭にて登場します。唯隆子を一般推薦で落とした理由を、別所監督から聞かれるシーンです。こちらは注目というよりも、生け花に詳しくなかったので、「真(しん)」ってなんだろうと思い、調べてみました。

生花とは、草木が大地から芽生えて育つ姿を、生き生きとはずみを見せていける様式です。生花には、正風体(しょうふうたい)と新風体(しんぷうたい)があります。
正風体は、一本にまとまった水際から、真(しん)・副(そえ)・体(たい)と名付けられた役枝(やくえだ)によって形づくられます。三つの役枝は、おのおの独自の働きを有して、たがいに関連しながら伸び立っています。
参考文献:『池坊専永の花を生かすいけばな』(池坊専永/講談社)
真は天地の間に生じる万物の代表としての人を象徴しますから、一瓶の中心に位置させ、天地の真意にたがわないように、まっすぐ立ち上がらせます。
参考文献:『新訂専正池坊の生花』(諸泉祐陽/講談社)

陣内監督は生花において正風体の真について語っており、そして中心となりまっすぐ立ち上がらせる真とは、陣内監督自らがバレー部へと誘致したを指すのだと思います。

バレーと生花の共通点として、各々が独自の働きを有しながらも、関連しあって初めてひとつとなる点があります。

唯隆子も真となりえるような選手であるが、突出した才能を持つものが多くいれば強いという訳ではない。互いの不足部分を支えあいながら、チーム全体が調和している状態を目指すのが陣内監督の目指すバレーということですね。

【注目のシーン2(おまけ)】

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)3巻27Pより引用

ミチルが、ナオの所在を調べる時に1コマだけ出てきた、史郎(しろう)という後輩。イケメンかつ名前が出たことにより、かなり注目していたのですが、今のところ再登場の機会はなし。密かに再登場を願っています。

過去作とのリンク

今回は少し趣向を変えて、過去作『極東学園天国』から直接の繋がりはないけれども、デザインの原型として『少女ファイト』へと転生したキャラクター達を紹介します。

練のデザインは、高津勘介が原型

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『新装版 極東学園天国』(日本橋ヨヲコ/講談社)2巻より引用

確かに性別こそ違えど、面影を感じますね。

式島シゲルの髪型は、平賀信号が原型

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『新装版 極東学園天国』(日本橋ヨヲコ/講談社)1巻より引用

これは、もう直球で似てますね。

千石のデザインは、服部六郎が原型

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『新装版 極東学園天国』(日本橋ヨヲコ/講談社)2巻より引用

目とヒゲの部分に面影を感じます。

と言うことで、3巻の振り返りはおしまい。

私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。

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