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【強霜が】 詩。

 意味放棄絶対反対 -

一晩にてすつかり
土は霜に覆はれ
望むと望まざるとに関はらず
玄帝の謁見に
顔を出さなきやならぬ -
この鷹揚に振舞ふ天上人は
これから段々と本性を顕はにして
息の白さを濃くさせる 我々
地べた棲まひの者らの。

何が欲しいのか
私には想像もつかない
だけどたぶん
行き着いた - どん詰まりの場所で
私たちの魂を
凍えさせるのが
この人物?の
役割であり、嗜好であると
知つておくべきなんだらう。

あゝ強霜よ強霜よ
猫のあなうらにはちと酷だ
或る徑では遠慮し賜へ
と、そこに
むく犬が私の頬つぺたを舐める為に
跳びついて來る
彼にとつての極寒は
まだまだおとなはない
子供は風の子、の
幾層倍寒きを平ちやらなんだから
だが何か語らうと云ふ
意識を濃密に感じさせる
呼吸には
さうともメッセージが。Woof woof woof。

(今日書いた詩 - )

玄帝が一瞬ニヤリ
寒くなつてきた
己は猫みたいな嚔する
北国ではどんなだ?
まづは自分だ
てのが世界標準だらうが
せいぜい暖かいカッコ工夫して
明日は通院だ
青ちやんと焼酎やる話したけど
痛飲とまでは己は出來ない
〈たかし師の冬どうされた病ひ厭く くにを〉そんなふう。

松本たかしには
〈罌粟咲けばまぬがれがたく病みにけり〉の一句あるが
暑さ ではなく冷えの日々に
どう過ごし得たのか
虚弱の中に凜烈たる意識を
猛くと私は見て
アンソロジーの本を
ぱたりと閉ぢる
例の枯れ葉の栞を挟み...

〈くるしみなく死んでゆくにはモラトリアムが己が脚引つぱる人の生涯 くにを〉

だから、私たちは今宵まで
ぬくとくなうなうと生きる、が、
「氣づき」の働きにより
直に寒中へ
ほつたらかされやう。Fin。

©都築郷士

筆者近影。

も一つオマケに。どん。

〈霜踏んだ芋ばたけよ「開発」されて くにを〉

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