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【オリックス】まわるまわるよ時代は回る【2025年への提言】

 どの球団のファンでもない筆者が、なるべくフラットな目線で、来季への展望を好き勝手提言する恒例企画。今回はオリックスバファローズ編。
 なお本稿の執筆は原則レギュラーシーズン終了時(10/9)より前で、ドラフトを含めたオフシーズンが動き出す前の情報をもとにしていることをご了承いただきたい。

課題

▼一軍(短期的)課題

①守備力のあるレギュラー外野手がいない
 西川はレフト専、杉本は極力DH、森は最終手段、福田と中川圭太は本職内野手、若手は発展途上……となった結果、センターとライトがずっと空席のままだった。打てて守れるレギュラーを獲得したい。

②三塁手の対抗馬不足
 宗佑磨の次の選択肢が高卒ルーキー横山になってしまうのは(横山への高い期待を割り引いても)歪だと思う。出来れば右打ちで、宗の対抗馬となる若手が欲しい。

▼二軍(長期的)課題

①内野手が足りなくなりそう
 T-岡田、安達をはじめ、ベテランの内野手たちにとっては厳しい冬になりそう。頭数が減ると思われるので補充したい。

②25歳前後の外野手の渋滞
 渡部、茶野、杉澤、野口と99〜00年代に左打ち外野手が渋滞しており、しかも誰ひとり一軍に定着していない。二軍の出場機会を若者に譲るためにも、多少の整理が必要だと思う。

今オフへの提言

▼ドラフト

 入札は宗山塁を推したい。中嶋監督が指摘した"慣れ"を払拭するには、アンタッチャブルゾーンである「ショート紅林」にメスを入れる事だと思う。紅林は三塁/遊撃の両睨みにすることで「紅林・宗・宗山」の3人で三遊間を回すと良いと思う。ハズレでも内野手を優先して、いずれにしても三遊間の解体・底上げを図りたい(一軍②/二軍①)。
 2位以降は、山下舜平大や齋藤響介の成功体験から察するに、上背のあるポテンシャル型を穫るように思う。

1位 宗山  塁 内野手 明大
外れ 浦田 俊輔 内野手 九州産業大
上位 村上 泰斗 投 手 神戸弘陵高
〃  今坂 幸暉 内野手 大阪学院大高
〃  有馬 恵叶 投 手 聖カタリナ学園

 また下位〜育成で、ダメ押しで高卒野手を獲りたい。俊足センターの山梨学院・黒沢后琉や、長身でミート力のある日大鶴ケ丘・小針大輝など、二軍の若返りを図りたい。

(遊)△横山聖哉
(左) 池田陵真
(右)△来田涼斗
(三) 内藤 鵬
(指) 元 謙太
(二)△(高卒新人)
(一)△(高卒新人)
(捕) 堀 柊那
(中)△(高卒新人)

▼FA

 今季は静観で良い。西野が行使する場合は「4000万×2年」くらいで相談して、嫌なら退団もやむなしと思う。

▼新外国人

 投手4人とセデーニョは残留を目指すとして「先発2〜3人、中継ぎ1〜2人、野手2〜3人」体制での開幕を目指したい。特に野手についてはセデーニョがどうなろうと、外野のレギュラーを任せられそうな選手を2人は用意したいところだ(一軍①)。
 ただ昨年も書いたが、せっかく山本由伸と吉田正尚のポスティングフィーがあるのに1億そこそこの4Aリーガーで満足するのは如何なものか。もうワンランク上(MLBの準レギュラーレベル)を狙うべきではなかろうか。

 まず浮かぶのがデレク・ヒルだ。今季は3球団を転々としながら(執筆時点で)MLBで53試合に出場し、7本塁打/6盗塁/OPS.691を記録した。センター守備にも定評があり、控え外野手としてならMLBでも需要はあると思うが、
 「あのアダム・ジョーンズも絶賛した日本の名門球団で1番センターやらないか?金なら出すぜ!」
 とアタックしてみて欲しい。調べた限り今季はMLB最低年俸74万ドルの単年契約だったようなので、3倍の210万ドル(約3億円)くらい積めば考えてくれると思う。

 中軸タイプではジョシュ・パラシオスでどうだろう。23年シーズンはMLBで91試合/10本塁打/OPS.692を記録した左のスラッガーだが、今季は20試合ちょっとの出場に留まっている。年齢と年俸はデレク・ヒルと同じなので、こちらも210万ドル(3億円)積めば考えてくれるだろう。

▼トレード

 99〜00年代の外野手問題(二軍②)をここで解決しよう。現役ドラフトも活用しつつ、右打ちの外野手とトレードできると、用兵に幅が出るのではないか。
 狙い目は広島・中村奨成だろうか。毎年ファームでは好調なものの、一軍ではなかなか結果を出せずにいる。一方、広島はセンターを守れる選手が少ない(だから秋山が出ずっぱりになっている)ので、渡部や杉澤であれば需要はあると思う。 

 また福田周平と杉本裕太郎についても、トレード放出を検討しても良いと思う。森と若月の併用について、守備能力を考えれば
 「DH森 ・捕手若月・左翼西川」
 「DH西川・捕手森 ・左翼??」
 を基本線とすべきだと思うが、このハテナの部分もなるべくなら若手を使いたい。そうなった時に、福田と杉本の出番が来季どれだけあるかは不透明だ。であれば、シーズン前の放出にも一考の余地はあると思う。
 もちろん、彼らの選手としての能力を否定しているわけではない。いれば助かることも多いと思う。ただ過渡期のチームにおいて、準レギュラーは25歳くらいの選手(野口や大里、育成の河野など)にやってもらった方が投資になるし、年俸的にも安上がりなはずだ。

●パターンA
(中) デレク・ヒル
(左)△西川龍馬
(二) 太田 椋
(指)△森 友哉
(右)△パラシオス
(一) 中川圭太
(三) 紅林弘太郎
(遊)△(大卒新人)
(捕) 若月健矢

●パターンB
(中) デレク・ヒル
(指)△西川龍馬
(二) 太田 椋
(捕)△森 友哉
(右)△パラシオス
(一) 頓宮裕真
(遊) 紅林弘太郎
(三)△宗 佑磨
(左)△野口智哉 or 中村奨成

▼その他

 今季はかなり猫の目打線になったが、その中でも西川と森の打順は固定してもいいと思う。FAで来たという事は「あなたが打てば勝つし、打てなければ負けます」という立場だと思うので【2番西川】【4番森】を打線の軸としてはどうだろう。データ的な最適ではなかろうと、プロ野球チームは人間が集まる職場なわけだから、高給取りには然るべき責任を負ってもらわねばならない。当然打てなければ批判されるだろうが、億もらっている人間の責務と受け止めてもらいたい。

まとめ

 古くはV9巨人、最近では広島やヤクルトなど、連覇したチームほど世代交代が上手く行かないのは世の常だ。だが今年のオリックスの場合、曽谷や太田椋が独り立ちし、齋藤響介が才能の片鱗を見せるなど明るい材料も多かった。というか「BクラスならBクラスなりに明るい材料を作ってやる!」という現場の意地を感じた。
 ただ現場には限界がある。来季はスクラップ&ビルドの1年になると思うので、フロントが主導して競争・人の入れ替えを促して欲しい。ひとつの時代の終わりは、また次の時代の始まりであるべきだ。

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