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ベテランの配球、楽天炭谷の配球が楽天を勝利に導く!楽天-ロッテ3回戦ー2022年4月26日

はじめに 

プロ野球2022年シーズン、今日はパリーグの2022年4月26日楽天-ロッテ3回戦を見たので私なりの考察を書きたい。

試合内容

本日は2022年4月26日楽天-ロッテの3回戦は、千葉マリンスタジアムで行われた。楽天は田中将大投手、ロッテは小島投手の先発で始まり、初回浅村選手の犠牲フライで楽天が先制する。3回裏4番レアード選手のタイムリーツーベースでロッテが 同点に追いつく。4回表楽天は浅村選手のショートゴロの間に1点を勝ち越し。楽天田中投手は7回1失点被安打3の素晴らしい内容で、小島投手も7回2失点被安打6でまとめる。8回楽天2番手のプセニッツ投手からロッテ2番マーティン選手が同点タイムリーを放ち同点となる。その後1打勝ち越しの場面で楽天はなんとか粘り同点止まりで試合は9回へ。9回ロッテは1アウト1,2塁のチャンスを作るが無得点。10回の表に楽天はマルモレホス選手の勝ち越しタイムリーヒットが出て、3-2で楽天が勝利した。

今日取り上げたいポイント

8回ロッテは同点に追いつき、流れはロッテに傾きつつあった中で、9回楽天は安楽投手がマウンドに上がる。ロッテは1アウトからエチェバリア選手が内野安打、岡選手がレフト前ヒットを放ち、9回裏1アウト1,2塁のピンチを迎えた楽天の炭谷捕手の配球を考察したい。このサヨナラのピンチを救った炭谷捕手の配球は、ピンチを抑えただけでなく10回の楽天の勝ち越しへの流れをもたらした素晴らしい配球だったと思う。

一人目の打者:和田選手への配球

和田選手に対しての配球はどのようなものだったかを振り返りたい。
1球目:ストレート 142キロ - バントでファール
2球目:チェンジアップ 132キロ- ボール
3球目:チェンジアップ 134キロ ファール
4球目:ストレート 142キロ 見逃し三振

引用:スポーツナビ

炭谷捕手の配球のうまさー和田選手への配球

和田選手には最後インコースのストレートで三振を奪うのだが、2球目のチェンジアップはボールとなったが和田選手はほぼ反応していない。3球目のチェンジアップは甘くなったが3塁側へファールを放った。おそらく和田選手は変化球系に合わせにいくイメージで打席で待っており、その結果ファールとなったと炭谷選手は感じたのだと思う。
そのため炭谷選手はインコースへストレートを要求し安楽投手は見事投げ切り見逃しの三振を奪った。その前2球連続でチェンジアップを投げていたことやその時の打者の反応を見て、炭谷捕手は和田選手はインコースのストレートは頭にないと判断したと思う。
和田選手は全く頭になかったインコースのストレートに反応することができなかった。炭谷捕手の裏をかいた素晴らしい配球だと感じた。
この回エチェバリア選手の内野安打からも分かるように、ロッテに流れが傾いている回であったが、この三振で流れは5分になったように思う。

二人目の打者:山口選手への配球

山口選手に対しての配球はどのようなものだったかを振り返りたい。
1球目:ストレート144キロ - 見逃してストライク
2球目:ストレート144キロ - 空振りでストライク
3球目:ストレート 144キロ - 空振りでストライク

引用:スポーツナビ

山口選手と安楽投手の勝負の布石

実は開幕3戦目の3/27 ロッテ山口選手は安楽投手からホームランを打っている。その場面を振り返りたい。

引用:スポーツナビ

その時のホームランの映像はこちら。

映像から分かるように決して甘いボールではなく、外の低めの変化球を山口選手がうまくすくい上げホームランにしたのである。

炭谷捕手の配球のうまさー山口選手への配球

山口選手には3/27に外のスライダーをホームランにされている。その時の捕手は安田選手で炭谷選手ではないが、炭谷選手はおそらくその時の状況も知った上で配球を組み立てたと思う。
山口選手が代打で告げられると炭谷捕手はすぐにマウンドに行き安楽投手と話をすることで間をおいた。この間の取り方もベテランならではであり、安楽投手を落ち着かせたのだと思う。

前回スライダーをホームラン打った場合に、打者は同じ球はないだろうと打席に入るので、ストレートかチェンジアップを狙う可能性が高い。
その中で炭谷捕手はアウトコースのストレートを要求する。おそらくボールになってもいいというアウトコースのストレートで、安楽投手が見事なコントロールでアウトコースいっぱいのストライクを投げ切った。安楽投手も素晴らしい投球だった。
このアウトコースのストレートがストライクになったことで、ほぼ勝負は決まっていたのだと思う。
僕が初球ボールでもいいと言ったのはこの場面で山口選手が何を待っているかまず捕手としては探りたい、その中で絶対にサヨナラにしたくない場面で一番安全なのはアウトコースの甘くないボールとなる。
この一球で炭谷捕手は2つのことを手にした。
①1ストライク0ボールというカウント
投手有利なカウントに初球で持っていくことができた。
②山口選手の反応
このアウトコースのストレートに全く反応しない山口選手の見送り方を見た炭谷捕手は変化球待ちであると読み切ったと思う。

そこで炭谷捕手は山口選手のインコースにストレートを要求する。
通常サヨナラを控えたい場面で、前回ホームランを打たれている打者にインコースストレートは、状況的に要求しづらいボールである。
そのため山口選手も初球ストレートで2球目変化球が来る可能性があると考えつつ、インコースにストレートの可能性は低いだろうと思っている。
そのため、炭谷捕手のインコースストレートは裏をかき、山口選手は振り遅れて空振りをする。元来山口選手はインコースが好きなバッターであるので、反応はするが変化球待ちのため振り遅れてしまう。
・2球で2トライク0ボール。
・2球ともストレート。
・2アウト1,2塁
・1打サヨナラの場面
この場面通常で考えると変化球を落とすのか外に逃げる変化球を投げるのか、一番安全な球を選択しがちである。ストレートを2球続けていて、3球続けて打たれるのは最も嫌なパターンで、通常キャッチャーはそれを選択しづらいと思う。

炭谷捕手が3球目に選んだボールは?

結論から言うと炭谷選手は3球目、再度インコースストレートを要求した。そして山口選手は空振り三振をした。
素晴らしい裏をかいた配球であった。
みなさんがキャッチャーの時に、サヨナラの場面でストレートを3球続けることが出来るだろうか?もし打たれたら、「勝負をなぜ焦った?」「なぜストレートを続けた?」「ストレートを続けたら打たれるに決まってるだろ」などなど数々の批判が思い浮かばないだろうか?

さすがはベテランの炭谷捕手という配球だったのではなないだろうか?
バッターも2球ストレートが来たことで変化球が次に来るという気持ちも出るし、1ストライクの時以上に2ストライクの時の方がバッターは変化球をケアしなければならない。
そうした中で2球目の空振りを見て、最も安全なのは裏をかいたインコースのストレートを続けることであると炭谷捕手は判断したのだ。
見事に3球三振に仕留めた。

最後に:炭谷捕手が流れを作った1勝

このアウトはロッテのサヨナラを防いだだけでなく、楽天に流れを持っていく好リードだったと思う。現に10回に楽天は勝ち越して勝利したのだが、それはなによりもこの炭谷捕手のリードが生んだ流れだったのではないだろうか。
こうした炭谷捕手のベタランの味のある好リードを是非取り上げたいと思い、今日はこのnoteを書いた。自分がキャッチャーの時にこれと同じ配球ができたかというと出来なかったな、と思う配球で炭谷捕手の打者心理の読み方、打者の観察力、思い切った決断力、こうした炭谷捕手のリードが楽天に大きな1勝をもたらしたのである。

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