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【少年野球】試合に出られない親子へ(3)

 ここまで「責任はすべて監督にある」と述べてきた。
 指導者は「タイムパフォーマンス」という観点から、野球というスポーツ、そして少年野球の現場が取り残されていく危機感を感じなければいけない。
 しかし自分のチームの監督にその意識が欠けていることが分かったところで、親としては何も出来ないのが現実だろう。
 監督の采配は依然として「絶対」で、その理由については親も子も想像力を働かせて補うほかはない。でもどんなに考えても、自分の子がずっとベンチにいる理由が「気に入られていないから」以外に思い当たらない場合などは本当に苦しい。

 そんな状況に陥っている親の皆さんへ私から提案したい。

 【なぜそのチームを辞めないのか?】

 少年野球の世界など何も知らない友人知人に、まず皆さんの子どもがおか置かれた状況を話してみて欲しい。ほとんどの人が「なぜ我慢するの?なぜ辞めないの?」と不思議がるだろう。
 そう言われて皆さんはどう答えるだろうか。「でも・・・」と辞められない理由を次から次へと並べるだろう。
 そこで気づいて欲しい。実は皆さんもすでに「少年野球の不思議な世界」にハマり始めてしまっているのだと。

 ハマってしまった理由は様々だろうが、そのひとつには、試合に出ることだけではない良い経験もできていると感じているからではないだろうか。
 そこでまずは「何のために続けているか」を子どもも含めて話し合って整理するすることをお勧めする。

【試合に出られなくても意味があるか】

 少年野球を続ける意味は、試合に出て活躍することだけではない。

「健康的な週末を過ごすため」、「団体行動や礼儀を学ぶため」、「様々な経験をするため」ならば、試合に出ようが出まいが家にいるよりはよっぽどいい。
 また実際に子どもに聞いてみると、試合に出られないことをあまりツライと思っていない場合もある。親の方が敏感になりすぎていることはないか、確認してみる必要はある。

 上記のように、メリットとタイパを天秤にかけ「続ける意味がある」と思えるならば続ければ良い。個人的な目標をもち、いずれは卒団するのだと割り切ることができれば少しラクになる。 
 しかしいくら割り切ろうとしても、理不尽な経験が積み重なると気持ちがぐらつき、また振り出しに戻ってしまうこともあるだろう。


 【親の成長がチームを変える】

  自分の子がチームで理不尽な目にあいつづけている時、それは親にとっても成長するチャンスだと思う。
 多くの親はそこで悩んだり愚痴を言ったりしながらも、ぐっとこらえて卒団まで頑張るだろう。そして最後に「すべて良い経験になった」と締めくくる。
 しかし、そうやって我慢を重ねた分別のある親たちのせいで、チームも監督も放置されて次の子どもが犠牲になっているのが現実だ。
 モンスターペアレント的行動は論外だが、分別のある親たちこそ声を上げる必要がある。
 どんな行動を起こすかはケースバイケースだが、まずは穏やかな話し合いが出来るとベストだ。その際は味方になってくれる第三者に立ち会ってもらうか、それが無理なら録音をしておくと良い。あとになって「言った、言わない」の水掛け論になっては意味がないからだ。

 ただ現実的には、不満を一切口にせず、違う理由をつけてチームを移籍するという方法がいろいろな意味で楽ではある。チームからの流出が増えればかならず噂になるので、そういうチームはいずれ淘汰されていく。
 
 しかし移籍する覚悟があるなら、まずは話し合いが先ではないだろうか。思い切って声を上げてみると、思わぬ人が味方になってくれたり、賛同者が出てきたりするものだ。例え今この瞬間でなくても、皆さんの声がきっかけで何年か後に体制が一気に変わったりすることもある。
 大人たちが互いに協力し合って良いチームを作っていく努力をすること、そのために一石を投じることが、親にとっても大きな成長になることをお伝えしてこの記事の締めとする。

 

 
 
 

 

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