見出し画像

「商品企画はお客様への思いやり」、オンとオフを跨いでご縁を繋ぐ、<京都ぎょくろのごえん茶>に訊いた、商品企画への想い

副業からスタートし、ネットショップ運営や催事出店などを経て今や京都に複数の実店舗を持つに至った、<京都ぎょくろのごえ>茶>の柴田彩巴さんに商品企画やオフラインでの販売のコツなどをお話をお訊きしました。

**

柴田さん自身の経歴とごえん茶を立ち上げるに至ったエピソードを教えてください**

柴田さん:以前はアパレル・ファッションの関連企業に勤め、テキスタイルを取り扱う仕事をしていました。その当時から交際している方(現在は夫)の祖父母が金沢でお茶屋さんをしているのですが、その方から「お茶っ葉が全国的に売れない状況に瀕しているので、ネットで販売することはできないか」と相談を受けました。

交際しはじめたころにそんな相談をされたら「なんとかしてあげたい!」と思うのが乙女心じゃないですか(笑)。そこで仕事をしながら片手間でもできることはなんだろうと考えた結果「小ロットから、お茶のオリジナルパッケージを作ります」というサービスを立ち上げたのが今日に至るきっかけです。

<京都ぎょくろのごえん茶>とはどんなお店ですか

画像1

柴田さん:ごえん茶は「日本一たのしいお茶屋さん」を目指しています。

「美味しいお茶屋さん」はたくさんありますし、とくに京都であれば老舗とよばれる伝統あるお茶屋さんもたくさんあるなかで、私たちのような小さなお茶屋さんが何で日本一になれるのかなと考えたとき、楽しさなら負けないと考え「日本一たのしいお茶屋さん」とブランドコンセプトに掲げています。

「日本一たのしいお茶屋さん」というキャッチコピーは、立ち上げ時のメンバーの雰囲気だったり、商品企画だったりもコンセプトに影響しています。

美味しい茶葉を売って美味しいお茶を飲んでもらうのはお茶屋さんである以上、当たり前だと思うのですが、それだけではなくたとえば、千利休さんが茶室という空間であったり、そこに活けられた花であったり茶菓子を通してお茶会というコミュニケーションを楽しんでもらうように工夫したように、私たちはその工夫にあたる部分を商品企画に落とし込んで、現代のお茶屋さんとして楽しさを提案し、お茶という商品を大切な人とのコミュニケーションの一つとして日々の生活に取り入れていただきたいと考えています。

「BASE」を選んだきっかけと選んでよかった点

画像2

柴田さん:最初は仕事をしながら片手間で、という感覚だったので、リスクなくはじめられるネットショップ作成サービスということで「BASE」を選びました。

今ではただたんにかんたんにネットショップが立ち上げられたという点だけでなく、Instagram連携など時流に応じて新しい機能がどんどん追加されていく点も気に入っています。

管理画面の操作もかんたんなので、ネットショップの運営を詳細な説明がなくとも、担当者間で業務内容を引き継ぎやすいのもいいいですね。

あと無料ではありませんが、ネットショップのデザインを購入することができるのもいいです。私たちのように商品ラインナップが多い場合でも、お客様に対するお店の見せ方や導線に配慮したショップデザインにかんたんにカスタマイズできるのは便利だと思います。

また、「BASE」はオンラインだけではなくオフラインのイベントなどもたくさんされているので、ポップアップイベントに出店したことがきっかけでお客様と後に通販やSNSのご縁に繋がる機会が得られる、というのもうれしいですね。

「BASE」関連の催事とほかの催事の違いは?

画像3

柴田さん:まず、SHIBUYA WANDERING CRAFTのような合同イベントの場合はほかでは出会うことのない出店者さんに出会えるのがいいですね。

バイヤー目線の合同イベントだと、どうしても出店者の傾向が似通ってくるように思うのですが、「BASE」がキュレーションする催事はほんとうに多彩なブランドが一堂に介するので単純にその出会いが楽しいです。

また、出張をともなう催事の場合は、後から予想していなかった困りごとが出てくる場合もあるのですが、「BASE」のスタッフさんは困ったときにいつも助けてくれるので安心して参加できます。出店条件もとてもいいですよね(笑)。

ちなみに私が実店舗を立ち上げたきっかけもポップアップイベントなんです。イベントのさいのお客様の一人がたまたま物件にくわしい人で、空きが出たさいに連絡をくださり、実店舗をオープンするご縁に繋がりました。

売上目標は立てていますか?

柴田さん:本店、寺町店、催事、ネットショップと4チャネルごとに売上目標を立てています。

実店舗やネットショップは過去の動向などを参考に目標を立てやすいですが、催事は難しいです。毎年出店している催事だと過去の売上から持っていく商品ラインナップや在庫数を調整し目標を立てることも可能ですが、初出店の催事の場合は予測すること自体が難しいので、過去の似たような催事の場合いくらだったのか、売れ筋商品だけ厳選して持っていくなどと工夫して売上目標を立てるようにしています。

また先ほど、4チャネルごとに売上目標を立てていると話しましたが、個々にお客さんを取り合っているわけではなく、たとえば催事がきっかけで出会った企業さんと後に卸取引のご縁に繋がったり(初期のころと比較すると、今は取引先が20倍以上に)、催事で発見して後から通販で買っていただいたり、催事がご縁で実店舗にお越しいただいたりと互いのチャネルが作用しあって、それぞれのバランスが大切だなと感じています。

**商品を企画するさいに心がけていることを教えてください

**

画像4

柴田さん:基本的に商品企画は私とデザイナーの2人で月1回、企画日として設けている日に行います。そのなかでリサーチしたり打ち合わせしたりしています。

私たちはアーティストではないので「自分たちが作りたいものを作る」というよりも、たとえば「◯◯というお店に商品を卸すとしたら、どんなものだろう」と考えてみたりします。

私たちの商品は誰かにプレゼントしたさいによろこんでもらえる、ということが多いので、商品企画はお客様に対する思いやりだととらえています。「どういうものをもらったらうれしいかな? 楽しい気持ちになるのかな?」ということをつねに考えながら商品企画をしています。

企画日に関わらず商品についてはいつも考えているので、たとえば、切手を貼るとそのままお茶が手紙として送れる「chayori」という商品名は、デザイナーとのLINEのやり取りの最中に1分くらいで決まりました。

実店舗やポップアップで工夫していることを教えてください

画像5

柴田さん:まず、什器ですが既存のものを使うだけでなく、ネットショップのデザインもカスタマイズしているように、什器も自分たち専用のものを作って遠くから見ても商品が目立つように高さを出してみたり、これもネットショップに商品カテゴリというものがあるように、ポップアップでも多種多様なラインナップがひと目でわかりやすいようにセグメントをかけて陳列することで、お客様が気になった商品群を一気に見てもらえるよう工夫しています。

そうやって、なるべくお客様に足を止めていただき、すぐに水出し玉露などのお茶の試飲を勧めてみることで「美味しくて、こんな可愛いパッケージのお茶があるんだ」と味もデザインも楽しんでもらうようにしています。

また、ギフトショーなどの展示会の場合ではバイヤーさんが頭の中で売り場をイメージしやすいようにブースを魅せることも大事にしています。

今後の展望を教えてください

画像6

柴田さん:やりたいことはたくさんあります。たとえば、「CHACHAランド」を作ることです。とにかくここに来たら、お茶屋さんなんだけどすごく楽しい!いろんなものがいっぱいある!と感じていただける、アトラクションのような空間です。このように、お茶とともに楽しさを追求していきたい、と思っています。

近い将来でいうと、今年度中に金沢にもお店を出す予定です。金沢のお店は最初にお話しした祖父母のお店を、ごえん茶での経験を生かしてリニューアルします。

ごえん茶の原点とも呼べる祖父母らによって代々100年近く続いているお茶屋さんなので、想いも引き継ぎながら、ごえん茶らしさのあるお店を作りたいです。せっかく金沢にご縁をいただくのですから、今までの京都のお茶だけでなく石川県産のお茶も取り扱いたいと考えています。

今は急須を持っていない家庭もありますし、ペットボトルのお茶も普及しているので全国的に廃業される町のお茶屋さんが多い世の中ですが、私たちのお茶のパッケージを握りしめて「これもらったんだけど美味しかったから買いに来たの!」とわざわざお店を訪れてくれるお客様もいらっしゃるので、「お茶っていいね!楽しいね!」と思ってくださるお客様と縁をつないでいきたいなと思っていますし、全国的に廃業を検討されるお茶屋さんが多いのならば、楽しいパッケージを使っていっしょに手を取り合って日本全国の産地のお茶商品を企画提案から販売までできるのではないか、と考えています。ごえん茶は、いっしょに働くみんなやお客様と、これからも楽しく成長していきたいです。

「京都ごくろのごえん茶」オンラインショップはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?