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第2章 ワインオープナー①

それを差し込む時、
まずはコルクの状態を知る必要がある
乾燥していないか
芯は真っ直ぐ入っているか
力加減は?

そして引き抜く時も、
コルクは割れていないか
芯の深さは足りてるか
そして再び力加減は?
最後に梃子の原理で一息に

ッぽん!!!と、
美味しいワイン

この章は、
コルク抜栓の如く
丁寧に乗り越えた恋愛をご紹介

時代遅れの平成恋愛ケーススタディが
令和時代に通用するか
賛否両論聞いてみたい

ちなみに、こう話す私は
下戸中の下戸
アルコール消化酵素は
人並みはずれて少ない
大学時代はカルアミルク練習から
大五郎イッキまで
入門編から荒療治と
様々試すも、
2度の救急車でもう懲りた

Part1『出会い〜熟成』

2003年、時代はSARSが蔓延し始め
六本木ヒルズというステータスの象徴
立ちこぞってスタートアップや外資ITが
爆発的な事業拡大に成功し出す時分

その頃私は某東京六大へ入学
将来のビジョンや野望もなく
平民ど真ん中を過ごさん
と言わんばかり
六大卒というステータス
今思えば安い達成感に満たされてた
しかしどこかで
勝ち得た高揚感も同居した
所詮は義務教育の産物だろう

大学の入学式とガイダンス後
予備校で知り合った競馬オタク玉田と
サークル勧誘でざわめく校内周った
彼に手を引かれ、
遠く視界のはずれにあった
体育会馬術部のブースで
気がつけば二人で勧誘を受けていた
『俺が馬?どこの貴族だよ
性に合わん、金もかかるだろ』

不信感しかないくせに
その週末は、海月の如く
主体性のないまま
江戸川区の実家から2時間半かけ
多摩にある厩舎まで向った

京王めじろ台駅から
さらにバスで20分
『軽い小旅行だ、
通うやつの気が知れん』

この時点で入部はまずない

厩舎のテラスで賑わう新歓イベント
新入生は男3人女6人ほどいた
先輩たちも7割は女性で
想像以上の女性社会が待っていた

馬に餌やりしながらバーベキュー
これがキャンパスライフか

馬のケツを追いかける友人と
女のケツを追いかける私
色めきだった歓迎会に
安いっぽい妄想が膨らむ

学部や授業の情報
通学やスケジュール
共通の趣味、そして馬の話
触れたことのない空気感
それとそこそこの有益な情報と
ちょっと焼き過ぎた肉に
その日は妙な満腹感で厩舎を後にした
もう2度と来ることはない
今日はいい経験ができた

歓迎会帰りのバス車内
座席はまばらに混んでいた
玉田は車内前方離れた処で
私含め3人しかいなかった
残りの1年男子伊藤と
競馬をしているようだ

私は後方扉の前あたりで
偶然立ち話になったと1年女子と
たわいない世間話が始まった
学部や出身地、なぜ馬か
この距離本気で通うのか
それ以外の会話はあまり記憶にない
つまり、それがのちに妻である

まさかその後縁もゆかりもない東北で
子供3人を授かり16年連れそうとは
妄想は愚か、想像すらしなかった
記憶に残る会話らしい会話はなく
京王線めじろ台駅までの時間を埋めた

その後、前泊しながら朝5時の
馬の朝飼い(馬の朝飯)をする
体験入部を経て、
片道2時間半を通う道を私と玉田は選んだ

モテそうという邪な気持ちと
案外早起きで馬のいる生活が
非日常過ぎる刺激を感じ
私は入部してした


一方妻は根っからの動物好きが
動機とあるだけに、私たちより先に即決

それぞれがぎこちない騎乗を繰り返し
下積み1年はあっという間に過ぎた

妻は体育会という空気が合わず
その1年を終える頃、早々に退部
一般の乗馬クラブへ移籍した

意外にも不純な動機の私は
愛馬に邪推を鋭く読まれ
手入れ中太ももを蹴飛ばされながらも
玉田に負けたくない
そして、部内恋愛に勤しんだ結果
大学3年まで在籍した

当時、妻とは男女として
お互い意識すらせず
妻が部を離れても彼女とは
友達関係が続いた
人並みな表現では
「男女の友情」
とでも言おうか
恋に、進路相談に
今となってはほぼ全て
お互いに男女遍歴が分かるほど
よく愚痴や不満、モラトリアムな
男女関係を続けていた。

まだオープナーを刺す以前の話
ワインは寝かせるほど深みが増す
コルクの様子も探るかのような
そんな出会いだった

■使い道

食わず嫌いはするものじゃない
ストライクゾーン(趣味)にこだわるな
悪球(馬術)だとしても
振って(経験して)みる
時には誰かに振ら(影響)されてみる
案外深層心理は自分で振っているもの
それがホームランを打つ
(幸せな結婚)ための
選球眼、そしてミート力に
いずれ繋がる

■次回

ワインオープナーPart2
『失恋、過ち』

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