スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームを観に行く人が履修すべき作品とは?
はじめに
どうも、バートレットです。はじめましての方ははじめまして。そうでない方はまた会ったな。生きてるぞ。
今回唐突に筆を執った理由が、今世間がスパイダーマンで大騒ぎになっている空気を肌で感じ取っちまったからでございます。
というのも、どうやら1月7日に日本封切りが予定されているスパイダーマン映画最新作「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」の日本語版主題歌が決まり(一応これについては様々な意見があるようですが置いておきます)担当アーティストのファンも続々スパイダーマンを観に行くと決意したは良いが「過去作何履修すればいいの!?」と混乱状態に陥っている方を少なからずお見かけしました。
また、MARVELファンやMCUファンも今回のスパイダーマンには並々ならぬ注目を注いでおり、「今回のスパイダーマンはヤバい」と毎日がお祭り騒ぎ状態です。そんな世間の風に当てられて「スパイダーマンってそんな凄いのか、俺も見に行こーっと」と思ったそこの貴方。
いや、何も予習せずに普通に観に行ってもいいっす。
というのも、こういうのは後から過去作観て「あ、実はこういうことだったんだ」という観方も普通にありだと思います。少なくとも私はそういう観方を否定しませんしむしろそれでもいいとすら思ってます。
ただ、「でも過去作観てないと楽しめ無さそう」とか「過去作の知識を平然と要求してくるのがMARVEL映画なんだ! 俺は詳しいんだ!」というご意見があるのもわかります。実際そういうお話を聞いて「過去作履修しなきゃ」と考えている方も少なからずいらっしゃると思います。
と、いうことで、今回は「どうせなら過去作履修してから観に行きたい」という貴方のために、何を観たらよいかを解説します。結構長くなるんですが頑張ってついてきてください。
今回のスパイダーマンで過去作履修を特におすすめされる理由
まず大前提として、「なんで過去作履修が必要なんだ?」というところからお話します。
そもそも、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」はソニー傘下のコロンビア・ピクチャーズと、ディズニー傘下のマーベル・スタジオという2つの会社が共同で制作しています。で、重要なのは後者の「マーベル・スタジオ」。
この会社がこれまで送り出してきた作品は全て、「世界観が何らかの形でつながっている」という特徴があります。映画もドラマもアニメも全部つながってるのです。スパイダーマンも過去にマーベル・スタジオで2作品制作されていますが、他のマーベル・スタジオで制作された映画と同じ世界観という設定である上に、他の映画の登場人物がスパイダーマンの映画で出てきたり、スパイダーマンが他の映画に出てきたりすることが平然と行われています。
スパイダーマンの原作はアメコミで、「マーベル・コミック」という出版社から出されています。あ、今のうちに言っておきますが同じアメコミでも「バットマン」とか「スーパーマン」とかとは別会社ですからね。
で、そもそもこのマーベル・コミックで出されているアメコミはだいたい全てが同じ世界観の中で展開されています。本来の世界観とは別の世界観を作っても、それを「並行世界」という形にして世界観に組み込むこともあります。マーベル・スタジオは同じことを映画でやったというわけです。このマーベル・スタジオが生み出す映画の世界観を「マーベル・シネマティック・ユニバース(略称・MCU)」と呼びます。
で、MCUの恐ろしいところは、「ある作品で起きた出来事が他の作品の展開に影響を与える」というところにあります。極端な話、ある作品で登場人物の一人が命を落とした場合、別の作品でその登場人物の追悼が行われている、なんてこともあります。故に、MCU作品を本格的に追いかけようと思ったら過去作もしっかり観る必要がある、ということになります。
ただ、今回の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」はそれだけでは終わりません。予告で出てきたこのおじさまに注目していただきたい。
この背中からえらい勢いでロボットアーム出してる人、「ドクター・オクトパス」とか「ドック・オク」とか言われている人です。本名は予告編の中で言ってる通り「オットー・オクタヴィアス」。
この人、俳優さんは「アルフレッド・モリーナ」という方が演じていますが、実はアルフレッド・モリーナがこの役を演じるのは2回目です。では1回目はいつかというと、2004年に公開された「スパイダーマン2」。18年ぶりに再登場というわけです。
で、なんとこのアルフレッド・モリーナが演じるドック・オク、その「スパイダーマン2」の設定を引き継いで登場するらしいというからさぁ大変。ちなみにこのスパイダーマン2は2002年に公開された映画「スパイダーマン」から始まる3部作の2作目で、この3部作は担当監督の名前をとって「サム・ライミ版スパイダーマン」と呼ばれていますが、このサム・ライミ版スパイダーマン、MCUの関連作品ではありません。要はMCUとは別の世界ってことです。
しかも話はそれだけで終わらないんですよ奥さん。予告で出てきた電気バチバチ出してるこのイケおじを見てください。
これは「エレクトロ」と呼ばれるキャラクターですが、このエレクトロを演じる俳優の「ジェイミー・フォックス」も、2014年の「アメイジング・スパイダーマン2」でエレクトロを演じています。こちらも8年ぶりに再登場。
このポスターの左上にいる男がまさにエレクトロなんですが、なんか外見すっごく変わってますよね。ただ、予告編の中ではこの状態のエレクトロと思しき姿も出てきています。探してみてください。
で、このアメイジング・スパイダーマン2、2012年に公開されたアメイジング・スパイダーマンの続編で、この2作を合わせて「アメスパ2部作」なんて呼んだりしますが、アメスパ2部作もMCU外の作品です。ついでにさっきのサム・ライミ版とも別世界です。
はい、つまりMCUについに「MCU以外のスパイダーマン」の要素が合流してしまったのです。こんなことは前代未聞……というわけでは実は無いんですが(実は似たようなケースだと思ったらそうじゃなかったぜという事が1回あったんだよね)、この「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」をよりディープに楽しむなら、過去に映画化されたスパイダーマンも観ておくといいぞ、ということになります。
サム・ライミ版スパイダーマンが3作品、アメスパ2部作が2作品、そしてMCUのスパイダーマンもこれまで2作品出ています。スパイダーマンを追いかけるならこの合計7作品を見ればいい……というわけではありません。
さっき言いましたね? MCUでは他の映画の登場人物がスパイダーマンの映画で出てきたり、スパイダーマンが他の映画に出てきたりすることがある……と。それではMCUのスパイダーマンはこれまで何回MCU映画に登場しているのでしょうか。答えは……5回でございます!
MCUにおけるスパイダーマンの動向を追いかけようと思ったら、5作品観る必要があります。この5作品にはMCUのスパイダーマン映画も含まれます。で、厄介なことにこの5作品を観ても「MCU世界におけるスパイダーマンの動向」がわかるだけ、というおまけ付き。他の3作品、スパイダーマン以外の登場人物も大量に出てくるクロスオーバー作品としての側面が存在します。しかも肝心のMCUスパイダーマン映画にも必ず他作品からの登場人物が出てくるのでまぁ、何も情報を仕入れないといきなり平然と出てきた登場人物に対して思わずこう言いたくなります。
汎用性高いなこの画像。
まぁそんなわけで、むしろ何も履修せずにいきなり観に行って、「あれって何だったんだ?」という疑問を持った状態で過去作を観て、後から疑問を解決していくという観方もOKです。無理して全部予習することはないんですよ。復習だって出来ます。
それでも「スパイダーマンはきっちり予習してから観に行きたい!」という貴方のために、スパイダーマンを理解するために必要な作品をご紹介しましょう。
レベル1. MCUのスパイダーマンが直接出てくる作品
まずは、「スパイダーマンだけ追いかけたい!」という人のために観ておくべき作品です。クロスオーバー作品もありますが、スパイダーマンの動向だけを追いかけるならば、スパイダーマンが出てくるシーンだけしっかり観て、後は話の大筋を掴む形で観るようにすれば良いでしょう。
1. 「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)
いきなりスパイダーマン映画じゃねぇのかよ!? というツッコミが聞こえてきますが許してください。これがMCUにおけるスパイダーマンの初登場映画なんです。いやホントに。
タイトルにはキャプテン・アメリカって書いてあるんでキャプテン・アメリカのシリーズ作品ではあるんですが、実際のところはクロスオーバー作品です。ポスター見れば分かる通りキャプテン・アメリカ以外にも登場人物が大量に出てきて戦います。
話の大筋としては強大な力を持つヒーローが好き勝手に活動されると色々と困るから、ヒーローたちを国連の管理下に置くという協定が結ばれるんですが、ヒーローたちが「管理下に置いて貰えば色々と安心」という派閥と「管理下に置かれたらいざという時に困る」という派閥に真っ二つに分かれてしまい、ヒーロー同士で揉める、というお話です。
で、この作品のスパイダーマンの立ち位置なんですが、登場人物の1人であるアイアンマンことトニー・スタークにスカウトされるという形で登場します。まだ映像化されてないんですが、どうもMCUにおけるスパイダーマンことピーター・パーカーは以前から活動していたようで、その活躍を見たトニーが「君の力が必要だ」と言って仲間に引き入れるんですね。全体的な登場時間はそんなに多くないんですが結構活躍します。
2. 「スパイダーマン:ホームカミング」(2017)
MCUにおけるスパイダーマン初の単独作品です。……左下になんかいますね。はい、先程言ったアイアンマンがこの映画にも登場します。単独作品と言いつつ他のMCUヒーローが出てくる、それがMCUクオリティ。
冒頭では先述した「シビル・ウォー」でのスパイダーマンの登場シーンがスパイダーマン視点で描かれます。この作品の中でスパイダーマンはヒーローとしての決意を固め、大きく成長します。
あ、それと重要ポイントが一つ。マリサ・トメイのメイおばさんは必見です。
他の映画や媒体でメイおばさんを知っている人達がこのメイおばさんを見た時は衝撃が走りました。
3. 「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018)
さぁスパイダーマンが登場するクロスオーバー作品2発目でございます! 登場するヒーローはシビル・ウォーの比ではありません。20人近くの主役級キャラクターが入り乱れてのお祭り騒ぎです。
……全滅とか不穏な単語がポスターに書いてありますけど別に全滅はしません。ただ……一応こればかりは本編を観ていただきたい。そして私を含め、リアルタイムで鑑賞していた人はここから1年生殺しを喰らいました。スパイダーマンの動向もここでは敢えて触れませんが、めっちゃ活躍するのでご安心を。今回のノー・ウェイ・ホームに登場するドクター・ストレンジとはこの作品が初対面となります。その意味でも観ておいて損は無いです。
4. 「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)
スパイダーマンが登場するクロスオーバー作品3発目です。インフィニティ・ウォーが前編で、こっちが後編って感じですね。スパイダーマンだけを追いかけるならばこれが4作品目になるんですが、これに関しては後から他のMCU作品を見て、その上で改めて見返すことをおすすめします。これまでのMCUの総決算的な作品でもあるのですが、スパイダーマンを追いかけているだけでも感動ポイントがちょくちょく出てくるのでお楽しみに。
後、個人的には窮地に陥ったピーターを助けたある登場人物に関しては「世界最強のおねショタ」と勝手に呼んでますのでおねショタ好きな方も必見です。いやマジで。あそこの場面、あまりの尊さに映画館で見てたおねショタ好きは合掌したと思う。うん。
あ、それと上映時間は3時間近くあるのでそれなりに覚悟して見てください。
5. 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019)
スパイダーマン単独作2作目で、MCUの「フェーズ3」と呼ばれる作品群の最終作でもあります。
さて、まずは最初に注意を一つ。
なんと予告編でスパイダーマン役のトム・ホランドがネタバレ警告するという前代未聞のプロモーションを打ち出して来るほどにはネタバレ注意な作品です。そう、なんとこの作品、先述の「エンドゲーム」の直後からスタートします。物語もエンドゲームの顛末が前提となっているので、この物語をしっかりと理解したいのであれば、事前にエンドゲームはしっかりと見ておきましょう。
この作品はノー・ウェイ・ホームの物語にそのまま繋がるようです。予告編の冒頭で何故スパイダーマンがあんなことになっているのか、その理由はこの作品で語られます。ちなみに、この作品に出てくる「ニック・フューリー」という偉そうな男ですが、実はガチで偉い人です。
以上5作品が、「MCUスパイダーマンの動向を追いかける上で最低限必要な作品」となります。スパイダーマン「だけ」追いかけるならば、この5作品を抑えておけばOKです。
レベル2. MCUスパイダーマンに関係のある人物が出てくる作品
先程も言ったとおり、MCUにおいてスパイダーマンは他の映画の登場人物とも積極的に絡んでいきます。ここでは、その中でも特に関係の深い登場人物の作品をいくつか紹介しましょう。
1. アイアンマンシリーズ(2008~2013)
MCUのスパイダーマンを語る上で、アイアンマンを避けて通ることはできません。と言うのも、MCUのスパイダーマンの師匠は、アイアンマンなんです。実際、MCUのスパイダーマンが着用しているスーツのうち、2着はアイアンマンことトニー・スタークが作りました。
同時に、MCUそのものにおいてもアイアンマンの存在は非常に重要です。何しろ「MCUのすべての始まり」、MCUの記念すべき1作目はまさにアイアンマン1作目なのです。
つまり、MCUのスパイダーマンをより深く理解するための取っ掛かりとして、まずアイアンマンを抑えておくのは重要と言えるでしょう。ただ、アイアンマンの動向を追いかける際にも、アイアンマンの単独作だけ追いかけるというわけには行きません。アイアンマンはスパイダーマン以上に他の作品に出てきます。先程挙げたシビル・ウォーやインフィニティ・ウォー、エンドゲームにも出てきますし、当然それ以前のアベンジャーズシリーズにも出てきます。間接的な登場作品も含めるともっとあります。アイアンマンの存在はそれだけMCUにおいて大きな影響を及ぼしていると言っても過言ではないのです。
ちなみに日本語吹き替えは故・藤原啓治氏が務めています。氏が演じるあのちょっと軽薄で、しかし確固たる意思を持つ声は多くの人を魅了しました。
吹き替えと言えば、テレビ放映版では池田秀一氏が演じたこともあります。シャアの声で喋るアイアンマンもなかなか面白かったですね。
それと、MCUスパイダーマンにも少なからず関わってくる「ハッピー・ホーガン」も元々はアイアンマンの登場人物です。演じている「ジョン・ファブロー」はアイアンマン1、アイアンマン2で監督を務めていたのですが、それ以降のMCUではハッピー・ホーガンに全力投球してますね。ただ、個人的にはアイアンマン2こそ、ハッピーがめちゃくちゃ輝いていた作品だと思います。
2. 「ドクター・ストレンジ」(2016)
「ノー・ウェイ・ホーム」で登場するドクター・ストレンジの初登場作品です。彼は元脳神経外科医の魔術師で、交通事故で両手の機能を失ってしまったことをきっかけに魔術師になるための道を歩み始めます。
一応、ドクター・ストレンジは単独作が1本だけなので、これだけ抑えておけばOKです。スパイダーマンと一緒に追いかける上では、先述したインフィニティ・ウォーとエンドゲームを抑えておけばOKでしょう。そして、ノー・ウェイ・ホームの後の展開が来年公開が予定されている単独作2作目「ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス」で描かれるようです。ただ、こっちを本格的に理解するためには予習対象となる作品が格段に増えるので注意が必要です。具体的にはドラマシリーズが1本と映画が4作。さぁ大変だ。
3. アベンジャーズシリーズ(2010~2019)
はい、出ました、MCUの醍醐味である大規模クロスオーバー作品群でございます。2012年の「アベンジャーズ」、2014年の「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」のどちらも、主役級のヒーローたちが同じスクリーンの中で大活躍する作品です。インフィニティ・ウォーとエンドゲームは先述したのでここでは割愛しますが、何故この2作をレベル2にしたのかというと、「スパイダーマンを追いかける上で避けて通れないアイアンマンを追いかける上で避けて通れない」からです。ややこしいな。
何しろアイアンマン3はアベンジャーズの出来事を踏まえた上で物語が展開されていますし、スパイダーマン初登場作のシビル・ウォーで描かれる事件はエイジ・オブ・ウルトロンの出来事がきっかけなのです。どちらもアイアンマンに割と少なからず影響を与えた作品ですし、アイアンマンことトニー・スタークという人物を理解するためにはアベンジャーズもしっかり抑えることが重要になるわけですね。
4. サム・ライミ版スパイダーマン3部作(2002~2007)
この作品は先述したようにMCU作品ではありません。
「ノー・ウェイ・ホーム」に出てくるドック・オクやグリーンゴブリン、サンドマンといったヴィランはこの3部作が初出です。実はこの作品、スーパーヒーローの実写映像化で革命を起こした作品でもあります。ニューヨークの摩天楼の中を飛び回るスパイダーマンをダイナミックに表現したあの映像が忘れられない人も多いんじゃないでしょうか。
そして、この作品を3作観終えた後でMCU版のスパイダーマンを観ると誰しもこう思うでしょう。「あぁ、MCUのスパイダーマンってすごい恵まれた環境にいるんだなぁ」、と。師匠の存在って偉大ですね。あと、MCUにおけるMJのストロングっぷりやメイおばさんの衝撃も改めて実感できます。でも一番ストロングなMJはPS4版かもしれない。次点がMCU版MJ。異論は認める。
特にドック・オクとはかなり密接に関わることが予想されるため、ドック・オクが登場するスパイダーマン2だけでも最低限観ておくと良いでしょう。彼が何故再登場することになったのかのヒントも隠されている可能性はありますしね。
ちなみに、この3部作からはもう1人再演者が登場します。J・K・シモンズが演じる「J・ジョナ・ジェイムソン」です。ファー・フロム・ホームのある場面で登場しますし、ノー・ウェイ・ホームでも予告編で姿を見せていましたね。
5. アメイジング・スパイダーマン2部作(2012~2014)
アメスパ、とかマーク・ウェブ版、とか呼ばれているシリーズです。それまで展開していたシリーズを仕切り直して始めるという「リブート」という概念を世に広く知らしめたのがこのアメスパ2部作と言えるでしょう。
割とこのシリーズ、賛否両論あるんですが、少なくともアクションシーンはさらに磨きがかかっていて見ごたえがあるのでそれだけでも一見の価値ありです。何が不運って、ちょうどこのアメスパが公開されている頃、まさにMCUがアベンジャーズを展開していたことなんですよね。しかもどっちも公開年がアベンジャーズの公開年と被るという。再度のリブートでMCUと合流させる、というソニー側の決断はまさに英断だったと思います。
このシリーズからはエレクトロ、リザードが「ノー・ウェイ・ホーム」に登場します。ただ、エレクトロは先述したようにガッツリ姿が変わってるんですよね。何だあのイケおじ。
そして、このシリーズのクライマックスで発生した「ある事件」をオマージュする描写があることが、「ノー・ウェイ・ホーム」の予告編で示唆されています。今度は大丈夫だろうな!? いや、大丈夫だ! MCUのMJはストロングだからきっと……!(まだ言うか)
6. キャプテン・マーベル(2018)
再びMCU作品に戻りまして、MCU初の女性が主役となった作品、キャプテン・マーベルでございます。ただ、キャプテン・マーベル自身はMCU版スパイダーマンとそこまで密接に関係を築くわけではありません。どちらかというとこの作品に登場する「ニック・フューリー」が重要です。ファー・フロム・ホームで登場するニック・フューリーの原点がこの作品で描かれます。もちろん、ファー・フロム・ホームの「ある描写」を理解する助けにもなります。
ちなみに、インフィニティ・ウォーを観てからこれを観て、その上でエンドゲームを観るとリアルタイム視聴勢の気持ちが少しだけ分かります。公開当時にえらい勢いで上がった「サノス逃げて!!」という悲鳴の意味が理解できることでしょう。
7. 「キャプテン・アメリカ」シリーズ(2011~2016)
ニック・フューリーはこのシリーズの1作目「ザ・ファースト・アベンジャー」と2作目「ウィンター・ソルジャー」にも出てくる他、スパイダーマン初登場作品がこのシリーズの3作目である「シビル・ウォー」なので、キャプテン・アメリカも抑えておいて損はないでしょう。ただ、このシリーズ、作品ごとにテイストがガラッと変わるんですよね。1作目が第二次世界大戦の戦中を舞台にしたレトロSFアクションで、2作目が現代を舞台にしたポリティカル・スリラーものとなっています。そして3作目は先述したようにクロスオーバー作品……わぁ大変だぁ。しかも2作目、3作目はそれぞれ「アベンジャーズシリーズ」の展開を踏まえているのでかなり厄介。
ただ、このシリーズを追いかけるとMCUスパイダーマン初登場作品の「シビル・ウォー」の全貌が見えてきます。何より、キャプテン・アメリカとスパイダーマンは「シビル・ウォー」でがっつりと会話もしますし、何なら戦います。何よりMCUのもう一つの屋台骨がキャプテン・アメリカなので、MCUを隅から隅まで楽しみたいなら最優先で抑えておきましょう。
ちなみにMCUの時系列上、最も過去の話がこのキャプテン・アメリカ1作目です。MCUを時系列順に追いかけることになった場合、真っ先に観る作品になるでしょう。
レベル3. MCUそのものに興味が出た場合に観る作品
このレベルになってくると、もうMCU全部見てくれ、になります。少なくとも、MCUという世界観全体の歴史をまず理解する上では、「アイアンマン」から「アベンジャーズ/エンドゲーム」までの作品群、「インフィニティ・サーガ」をまずは全て網羅することが必要になるでしょう。インフィニティ・サーガを構成する作品は全部で22作品存在します。さらに今もなお作品数は増え続けていて、スパイダーマン以外にも「ブラック・ウィドウ」「シャン・チー/テン・リングスの伝説」「エターナルズ」といった映画や、ドラマ作品では「ワンダヴィジョン」「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」「ロキ」「ホークアイ」、さらに番外編としてMCUの「もしも」の物語を描く「What if...?」なんて作品もあります。「What if...?」にはスパイダーマンもちょくちょく出てくるので、一旦シリーズを全て網羅した後で「What if...?」を観ると良いでしょう。
ちなみに、どういう順番で観ればよいかはDisney+のこちらの記事が詳しいです。事前に全て観ておきたい! という方は是非参考にしてみてください。
レベル4. これ観とくと幸せになれるよ的な作品
えー、実はMCUスパイダーマンを語る上で、ちょっとこれも観とくといいよ、という作品がMCU外にひとつありまして。これもご紹介させてください。MCUも観た上で余裕がある時に観ておけばいいです。
1. 「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」(1980)
いやなんでこの作品だよ、というツッコミは甘んじて受けます。でも仕方がないんや。だってMCUスパイダーマンが思いっきりこんなこと言ってるんですよ。
「ねぇ知ってる!? すんごい昔の映画なんだけど、『帝国の逆襲』!」
えー、実はですね、MCUのスパイダーマンことピーター・パーカーって重度の「スター・ウォーズ」ファンなんですよ。どれくらいファンかって言うと、スパイダーマンとしての戦法に思いっきりスター・ウォーズのオマージュ入れてくるくらいには。気持ちはわかるんだが本当にやるのかと。そして自室にもスター・ウォーズのグッズが並べられてたりします。
ちなみに演者のトム・ホランドはシビル・ウォー公開当時、帝国の逆襲をまだ見れていなかったというオチまであって、その割に賛否両論のエピソード1~3はしっかり観ていてインタビュアーに「これだから最近の若いやつは!」って言われるという笑い話もあったりするんですが、まぁそれは置いといて。
ともかく、スター・ウォーズのエピソード4~6は本当に今見ても素晴らしい作品なので、余力があれば是非見てください。スパイダーマンが取った戦法のオマージュ元を理解する助けになります。
すみません、そしてもう1作紹介したいのがありましてね……。こちらもスパイダーマンの野郎が名前出しやがったんです……。
2. 「エイリアン」(1979)
「下で今彼が困ってる。どうする?」
「えーっと、そうだなぁ……よし、『エイリアン』って古い映画観たことある?」
よしじゃねぇよ! まーた古典を持ってきやがったなこいつ!! お陰でその作戦を聞かされたアイアンマンから「映画好きのガキ」呼ばわりされる始末。しかもきっちり実行して成功させました。何なんだお前。
多分知らない人はいないでしょう、プレデターと戦ったりするアイツです。リドリー・スコット監督のSFホラーの金字塔でございます。引き出し多いんだからピーター君ったら……。
まぁ、ホラー作品なので見る人を選ぶ作品とも言えなくもないんですが、一種のジャイアント・キリングものでもあるので、クライマックスでスカッとするタイプの映画でもあります。終わりまで見たらスパイダーマンが取った作戦の意味が理解できるはず。
どうやって観ればいい?
さて、ここまで色々と紹介してきたわけですが、こんだけ大量の作品、どうやって観れば良いんでしょうか? ということで、ここから先はスパイダーマンやMCUを楽しむ媒体の紹介。
1. Disney+
MCUを含めた様々な作品を見るならばまずはDisney+に入っておくのが鉄板です。なんとMCUの過去作品の大半が月額990円でいつでも見放題。ついでにさっき挙げた「帝国の逆襲」を始めとしたスター・ウォーズ作品に「エイリアン」シリーズなどの往年の名作、「ベイマックス」「アナ雪」「トイ・ストーリー」などのディズニー映画、さらにはナショジオも観れるぞ! ついでに鬼滅もヒロアカもSAOも見放題だ!! やったぜ!!
ちなみに、配信作品の中にはMCU外のMARVEL作品も結構網羅されてたりしてます。X-MENシリーズとか、デッドプールとか。デッドプールに関しては今後MCUへの合流も果たす可能性があるとのことなので、特に要チェックです。
そして何と言ってもMCUのドラマ作品もほとんどここで観れますよ。というかここでしか観れないのもいっぱいあります。先述した「ワンダヴィジョン」とか「ロキ」とかはDisney+だけで観れるので、よりディープにMCUを追いかけたい場合はDisney+は契約したほうが良いです。この記事書いている今はちょうど毎週水曜日に「ホークアイ」の最新話が配信されているので、こちらも要チェック!
しかし、残念なことに、実はMCU作品の中でも「スパイダーマン:ホームカミング」と「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」、「アイアンマン」、「インクレディブル・ハルク」だけは配信対象外です。スパイダーマン関連作品のうち3作が観られないのはつらい! 配信対象外の作品はDVDを借りてカバーすると良いでしょう。
2. DVDを借りる
とりあえずMCU作品を片っ端から観たいならDVDを片っ端から借りるというのも手です。近所のレンタルビデオ店に行ってMCU作品を片っ端から借りていきましょう。
ただ、正直全部借りるとなると1回の出費が馬鹿にならないのと、見放題と違ってDVDを返さなきゃならないのがネックですね。とは言えだいたいの作品はビデオソフト化されているので、抜けや漏れがなく一気観できるのは大きな強みだと思います。
3. Amazon Prime Video
見放題サービスといえば、で真っ先に名前が上がるのがAmazon Prime Videoです。こちらでは2021年11月末現在、サム・ライミ版スパイダーマン3部作やアメイジング・スパイダーマン2部作、そして「スパイダーマン:ホームカミング」が見放題対象となっています。さらにそれ以外のMCU作品も別途料金を払えばレンタル形式で観られます。ただ、Amazon Prime Videoは見放題対象が定期的に入れ替わるので、いつスパイダーマンが観られなくなるかわからないのが辛いところですね。早めに契約して早めに見ちゃいましょう。
4. U-NEXT
U-NEXTでは2021年11月末現在、アイアンマンとインクレディブル・ハルク、そしてAmazon Prime Video同様サム・ライミ版スパイダーマン3部作、アメイジング・スパイダーマン2部作、「スパイダーマン:ホームカミング」が見放題対象です。こちらも見放題対象は定期的に入れ替わるので、契約はお早めに。
5. Netflix
Netflixでは、スパイダーマンが全部見放題対象となっています。もちろん他の見放題サービスでは配信されてなかったりレンタル扱いだったりする「ファー・フロム・ホーム」も見放題! スパイダーマンを抑えるならばNetflixでもいい感じですね。ただし、アイアンマン等のMCU作品がレンタルでも見当たらず……ちょっと惜しい。
以上、見放題サービスやDVDを借りてみる、という方法で観ることができます。まぁ、3つとか4つの見放題サービスでカバーするのは流石に出費が厳しいものもあるので、基本的にはDisney+を契約しつつ、必要に応じてDVDを借りたり、他の見放題サービスのレンタルサービスを利用したりするのが良い感じですね。
終わりに
「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」を始めとしたMCUという作品群は、一度深みにハマるとますます抜け出せなくなる魔性の沼でございます。原作はアメコミですが、原作知識がなくても楽しめるものばかりです。よりディープに楽しみたくなったら原作のアメコミに手を出してみるのも悪くはないでしょう。とは言え、まずは何も考えずに最新作を観て、それからスパイダーマンを始めとする壮大なMCUの世界観を楽しんでみるのが良いのではないか、と思います。知るのに遅すぎると言ったことはありません。優先順位も自分なりにつけていただければと思います。
それでは最後に、今冬のスパイダーマン最新作をきっかけにMCUの世界に足を踏み入れる皆さんにこちらの言葉を贈って、本文の締めとしたいと思います。
「君はより大きな世界の一員となったのだよ。まだそれを知らないだけだ」
──「アイアンマン」より、ニック・フューリー