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バフェット氏が年次書簡で触れなかった三つの問題What Buffett Left Out of His Letter: Succession Details, Geico, Precision Castpartsガイコ、プレシジョン、後継者

キャッシュは過去最高の1670億ドル

バークシャー・ハサウェイ<BRK.A><BRK.B>のウォーレン・バフェット最高経営責任者(CEO)は24日、毎年恒例の株主宛て書簡を公開した。内容は前年より広範囲に及んだが、投資家が注目している三つの事柄には触れなかった。

その三つとは、バークシャー傘下の自動車保険ガイコと、航空機部品メーカーのプレシジョン・キャストパーツ<PCP>、そして後継者問題だ。

書簡は前年の10ページから16ページに増え、主要子会社の鉄道大手バーリントン・ノーザン・サンタフェ<BNI>とバークシャー・ハサウェイ・エナジーが直面する課題について説明した。バフェット氏はまた、2023年末のキャッシュポジションが過去最高の1670億ドルに達し、今後の投資環境は厳しいとの見方を示した。

ただ、ガイコの再建と直面する課題についての説明はなかった。ガイコは2023年に保険収支を黒字に転換したものの、自動車保険契約が10%近く減少し、ハイテクへの投資不足もあり、かつては業界第2位だった契約件数をライバルのプログレッシブ<PGR>に奪われた。

バフェット氏はまた、バークシャーが2016年に340億ドル(プラス30億ドルの想定債務)で買収して以来、期待外れとなっているプレシジョンにも触れなかった。プレシジョンは2010年にバーリントンを傘下に収めて以来、バークシャーにとって最大の買収案件だった。

93歳のバフェット氏は、バークシャーの副会長を務めるグレッグ・アベル氏が、「あらゆる点でバークシャーのCEOになる準備ができている」と述べたが、それ以外の詳細は明らかにしなかった。アベル氏は61歳で、バフェット氏の後継者になることが確実視されている。

バフェット氏とバークシャーの経営陣を信頼している株主にとっては、これで十分なのかもしれない。

しかし、もっと説明が欲しいという声もある。CFRAのアナリスト、キャシー・セイファート氏は、書簡の公表前に「後継者問題について、より詳しい情報を得ることはできないだろうか」と期待していた。

JOHANNES EISELE/ AFP VIA GETTY IMAGES

不透明なコムズ氏とウェシュラー氏の役割

例えばバフェット氏は、トッド・コムズ氏とテッド・ウェシュラー氏について多くを語らないが、彼らは現在バークシャーの株式ポートフォリオの約10%を運営している。

バフェット氏がCEOを辞めた後は、彼らが3500億ドル以上のポートフォリオ全体を管理することになるだろう。2人は10年以上前にバークシャーに入社したが、投資家は2人の実績と、「バフェット後」のバークシャーで彼らがどのような役割を果たすのかについて知りたいのではないだろうか。

バークシャーのアベル副会長と保険部門を率いるアジット・ジェイン氏は、5月4日の年次株主総会でバフェット氏と共に質問に答える予定だ。しかし、コムズ氏とウェシュラー氏の正式な役割は決まっていないようだ。

バフェット後のバークシャーにとって重要な問題は資本配分だろう。これはバフェット氏の得意分野だ。1965年にバークシャーの経営権を手にして以来、彼は年間350億ドル以上のフリーキャッシュフローを振り分けてきた。これには株式や債券の購入、企業買収、自社株買い、あるいは単に現金のままにしておくことも含まれる。

アベル氏が単独で行うのだろうか。それともコムズ氏やウェシュラー氏との共同作業になるのだろうか。

ジェイン氏はバフェット後もバークシャーに残るのだろうか。ジェイン氏はバフェット氏のお気に入りで、1980年代半ばにバークシャーに入社して以来、保険事業で数十億ドルの利益を上げてきた。彼は今年末に73歳になる。

ジェイン氏の後任は誰だろう。ジョー・ブランドン氏だろうか。彼は保険会社アレガニーの元CEOで、2022年にバークシャーがアレガニーを買収した際にバークシャーに加わった。しかし、ブランドン氏も65歳と高齢だ。

アベル氏の後継問題も気になる。バフェット氏の「次の次」は53歳のコムズ氏だとの見方もある。コムズ氏はバークシャーの株式ポートフォリオの一部を管理し、4年間ガイコを率いた経験もある。彼はJPモルガン・チェースの取締役でもある。

ガイコは黒字転換も契約数が減少

ガイコは2022年の18億ドルの赤字から、2023年には36億ドルの大幅な黒字に転じた。他の自動車保険会社同様、ガイコも過去1年で保険料を17%も引き上げた。ただ、その代償として契約件数は10%減った。

かつて自動車保険でステート・ファームに次ぐ第2位だったガイコは、昨年契約件数を10%近く伸ばしたプログレッシブにその座を譲った。プログレッシブの契約数は約2000万件で、ガイコの推定1600万件を上回った。

ジェイン氏は昨年のバークシャーの年次株主総会で、ガイコはテレマティクス(リアルタイムの運転情報を利用して自動車保険の価格を決定する手法)の採用が遅れていることを認めた。プログレッシブはこの分野のリーダーで、株価は26日に最高値を更新した。プログレッシブの時価総額は1000億ドル以上だ。

ガイコはプログレッシブに対してどの程度の競争力を持ち、いつになったら持続的な成長を取り戻すのだろうか。そして、バフェット氏が2020年に一時的なものだと説明したコムズ氏のガイコへの移籍は、いつまで続くのだろうか。

投資家はまた、プレシジョンの再建にも関心を持つだろう。バフェット氏は2020年の書簡で、プレシジョンの買収価格が高過ぎたことを認めた。バークシャーは2020年にこの買収に関連して約100億ドルの費用を計上した。

バフェット氏は「プレシジョンは私が初めて犯した過ちではない。しかし、これは大きな間違いだった」と書いた。

プレシジョンの2023年の売上高は23%増の93億ドル、税引前営業利益は30%増の15億ドルだった。しかし、これはプレシジョンが独立していた2015年3月期の100億ドルと25億ドルに届いていない。

バークシャーがプレシジョン買収に支払った330億ドルをS&P500指数に投資していれば、約800億ドルに増えた計算になる。

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