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ジュニパーベリーの蒸留の話

ジュニパーベリーと言うと、言わずと知れたジンの材料です。松脂のようにとも例えられる特有の香りを持つ木の実です。せっかくnoteに移ってきたので、思いっきり好きな話ができるので楽しみです。

早速このジュニパーベリーに、松脂の香りをもたらしている物質を見てみましょう。

α-ピネン

針葉樹全般に含まれていて、名前のピネンと言うのも英語のpine(マツ)から来ているのでとてもわかりやすいです。

蒸留と言う作業をやってみると単純なのですが、中で起きている化学変化は非常に複雑で、当然全てを記述することはできません。ただし得られた蒸留液の香りからある程度どんなことが「起こっていたか」は推測できるので、その辺をお話しできたらと思います。

結論を先にお話しすると、水で蒸留したジュニパーベリーの蒸留液には、針葉樹のような香りが含まれず、フルーツのような甘い香りだけが残りました。

私はアルコールでなく水で蒸留を行っているのですが、時にこのことが重大な影響与えることがあります。ジュニパーベリーの蒸留では特にこのことが顕著に現れています。

先ほどご紹介したα-ピネンと言う物質は不溶性と言って、水に溶けない性質があります。つまりアルコールで蒸留するときは、問題なく蒸留液のほうについてきてくれるのですが、水で蒸留してしまうと、水に溶けないα-ピネンは蒸留釜の方に取り残されてしまうわけです。

かくしてこのジュニパーベリーのハーブウォーターを、例えばジントニックに加えるとえもいわれぬフルーティーなフレーバーのカクテルになります。ぜひ一度ご体感下さい。

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